阿佐ヶ谷『無冠』、その牡蠣塩は進化の果てに『絶対王者』の領域へ!?

私の記憶の中に、鮮烈な一杯のラーメンが刻まれています。それは阿佐ヶ谷の『無冠』で初めて出会った牡蠣塩ラーメン。一口すすると、その力強い旨味に脳天を撃ち抜かれるような衝撃を受けました。世代的には懐かしい「メローイエロー」を彷彿とさせる輝かしい黄色のスープに、パツンとした食感が心地よい低加水の細麺。あれは紛れもなく、一つの完成形でした。

その記憶を頼りに、あの感動をもう一度と心を躍らせて再訪した日。自信に満ちた期待とともにカウンター席に着きます。元ボクサーだという店主は、その時は居なかったのだが、その静かながらも鋭い眼差しを妄想的に感じつつ、店内に流れる心地よい緊張感。そして、私の目の前にそっと置かれた一杯を見て、息を呑んだー。

<全体> 緻密に配置された具材!静謐な美しさと食欲をそそる緊張感!一杯の芸術作品を創造!

お?微妙に変わった??以前のスープは、その輝くような黄色が特徴的で、まるで鶏油などを主体とした香味油が、その存在を力強く主張するかのようなパワフルさ。「ここに旨いものがあるぞ!」と、視覚からダイレクトに訴えかけてくるような、エネルギッシュなビジュアルだったのです。

そして、画像からも見て取れるように、落ち着いた象牙色?、あるいはクリームベージュと表現すべきでしょうか。それは決して地味という意味ではなく、完全に乳化して脂と出汁が一体となった、技術の結晶であることを示しているようです。淡い白濁のベースに、複数の要素が溶け込んだであろう複雑な色合いの香味油が静かに浮かび、洗練された大人の雰囲気を醸し出しています。これは、もはや視覚で派手にアピールする必要のない、味への絶対的な自信の表れではないでしょうか。

また、そのスープの上に描かれる芸術的な構図。主役である牡蠣の旨味を凝縮した深緑色の「牡蠣アヒージョ」が、全体の印象を引き締めるアクセントとして鎮座しています。麺を覆うように横たわる大判のチャーシューは、美しい淡いピンク色。漆黒の岩海苔が、色彩と食感のコントラストを生み出します。そして中央には、こんもりと盛られたネギとパクチーの鮮やかな緑。これら全てが、偶然ではなく、緻密な計算のもとに配置されていることを妄想的に感じとります。

<出汁> 上品魚介出汁に牡蠣アヒージョ!穏やか味わいから重厚なコクへと変化!旨さが重なる!

透明なレンゲでまず、牡蠣アヒージョが溶け込んでいない部分のスープを一口。ふわりと鼻腔を抜けるのは、以前よりもずっと穏やかで、しかし複雑な香味油の香りです。そして舌の上で広がるのは、淡く白濁した見た目通り、丁寧に抽出されたであろう魚介系のクリアで上品な旨味。このベーススープだけでも、十分にハイレベルな塩ラーメンとして成立しています。

この一杯の真骨頂はここから!。画像で見る通り、粗いクリームの様な牡蠣が確認できる。そのふわふわとしたムースのような質感の牡蠣アヒージョを、少しずつスープに溶かしていく。半分ほど溶かしたスープを口に運ぶと、世界は一変します。上品だった魚介スープの中に、突如として濃厚な牡蠣の旨味の奔流が生まれるのです。穏やかな部分と、牡蠣のコクが凝縮された部分が混じり合い、口の中で複雑な味のグラデーションを描きます。

<麺> 中太麺は重厚なスープを受け止める器!官能的な歯ごたえと小麦の甘みは進化した必然!

正直に告白すると、私は以前の低加水ストレート細麺が大好きでした。パツンとした歯切れの良さと、スープを鋭く持ち上げる感覚は、あのキレのあるスープに完璧にマッチしていました。だからこそ、麺が中太麺に変わったと知った時、一抹の不安を覚えたのも事実です。

しかし、その不安は一口で歓喜に変わりました。この新しい中太麺は、以前の細麺とは全く異なる役割を担うために選ばれた、必然の存在だったのです。画像で見る、あの艶やかで少しウェーブのかかった麺。口に含むと、モチモチとした弾力のある食感は、官能的ですらあります。噛みしめるたびに、小麦そのものの豊かな甘みが口の中に広がります。

そのしっかりとした存在感と広い表面積で、重厚な牡蠣スープを余すところなく纏い、口の中へと運んでくれます。スープと麺が、互いの個性を殺すことなく、高め合い、完璧に一体となる。この一杯が、スープや麺といった個々のパーツの集合体ではなく、全ての要素が連動して機能する一つのシステムとして設計されていることの、何よりの証拠かと!。
<牡蠣アヒージョ> 牡蠣の身の食感を残す!出汁に溶かせば味の起爆剤!麺に絡めれば牡蠣のパンチを直送!

丼の脇に鎮座する、この緑茶褐色の塊。これを単なる「牡蠣ペースト」と呼ぶのは、あまりにもったいないでしょう。画像でその質感をよく見ると、滑らかなペーストではなく、牡蠣の身がゴロゴロと形を残しているのがわかります。これは、牡蠣をオイルで煮込み、その旨味を凝縮させた、まさに「牡蠣のアヒージョ」。

その役割は、実に多岐にわたります。まずはスープに溶かし込むことで、出汁全体の味わいを劇的に深化させる「味の起爆剤」としての役割。次に、麺に直接絡めてすすることで、牡蠣の濃厚な旨味とオイルのコクをダイレクトに舌に届ける「味の集中砲火」としての役割。さらに、レンゲの上でスープと混ぜ合わせ、自分だけの一口を作るという楽しみも提供してくれます。

このアヒージョがあることで、一杯の丼の中にいながらにして、味の強弱、香りの変化、食感のアクセントを自在にコントロールできるのです。この一杯の物語を、単調なものに終わらせないための、実に巧みで、そして贅沢な仕掛けです。


<チャーシュー> 豚肩ロース大判スライス!出汁の熱で脂身は蕩け赤身は火照る!牡蠣出汁滲み旨し!

これは、別皿でビールのアテとしても十分通用しそうな仕上がり!。旨さ抜け目ないです。少しレア感を醸し出す豚方ロースの大判スライス。割と薄めだが味わいしっかり。まぁ肉と脂の旨さは当然で、少し牡蠣出汁が滲んで旨し。私して微かにスモーキーな感覚あったと記憶するが、それは妄想なのでありましょうか・・・。



<ネギとパクチー> 濃厚牡蠣の海に爽やかな風!吹き込む緑の革命!葱食感とパクチーの香りが輪郭際立たせる!

一つの実験を試めす!それは「パクチー」の追加。牡蠣とパクチー。ラーメンの世界では、あまり耳にしない組み合わせかもしれません。しかし、これが驚くべき相乗効果を生み出したのです。

パクチー特有の、あの爽やかで少しクセのある香りが、牡蠣の濃厚な磯の香りとぶつかることなく、むしろその魅力を新たな角度から引き立てます。パクチーの青々しい香りが、牡蠣の持つ深い旨味に軽やかさと奥行きを与え、後味を驚くほどすっきりとさせてくれるのです。こんもりと盛られたその緑の山は、見た目にも鮮やか。濃厚な牡蠣の旨味に舌が慣れてきた頃に、この緑の軍団をスープに浸して麺と共に口に運ぶと、味覚が一気にリフレッシュされます。

そして、忘れてはならないのが、名脇役であるネギの存在です。そのシャキシャキとした食感と、ピリリとした爽やかな辛味が、クリーミーなスープの中で最高のアクセントとして機能します。このネギとパクチーがあるからこそ、濃厚でありながら、最後まで重さを感じさせずに食べ進めることができるのです。伝統的なラーメンの枠組みを超えた、新たな可能性の扉が開いた瞬間でした。

総じまして・・・「店名は『無冠』しかし誰が何と言おうと揺ぎない「王者」の姿」

この進化の物語は、まだまだ始まったばかりなのかもしれません。次に訪れる時、この一杯はまた新たな顔を見せてくれるのでしょうかねー。その期待に胸を膨らませずにはいられません。これは、もはや一つの芸術作品の変遷をリアルタイムで体験する、スリリングなドキュメンタリーかも!?。この感動ぜひあなた自身の舌で確かめてみてくださいまし。「食わなきゃ人生損だよ!」と、心の底から叫びたい、そんな一杯です。激しくオススメ!旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!

お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!





