武蔵野市の至宝「麺屋さくら井」— 行列の先に待つ、魂を揺ぶる一杯の煮干らぁ麺!

10月20日(月)。実は、移転再開店翌日のこの日は、麺屋さくら井再開を狙って、早々に午後休暇を申請していました。ところが我慢ん仕切れず、前日の開店日に潜り込んでフライングして食ってしまったオレですが(笑)。まぁ、予定位通りに取った休みは、予定通りに使わせてもらいましょう!。何せこの日から「煮干らぁ麺」復活と言うことならばなさら!


それにしても、三鷹駅から歩いて10分以上という決してアクセス至便とは言えない場所にありながら、その店の前には常に美食を求める人々の静かな行列が絶えません 。一体、何が人々をこれほどまでに惹きつけるのか?その行列の先に待つ一杯のラーメンには、どんな物語が秘められているのか? 数ある絶品メニューの中でも、特に店主の技量が光ると噂の「煮干らぁ麺」を実食!。

<サッポロ赤星> 麦酒好きが愛してやまない銘柄!キン冷えなグラスに注がれる黄金の液体!気分最高潮!



移転を機に、ドリンクメニューに加わった「サッポロラガービール」、通称「赤星」。旧店舗では瓶ビールといえばアサヒスーパードライ一択だっただけに、この赤星の登場は、ビールを愛する者にとっては何物にも代えがたい朗報です。



キンキンに、それこそ表面が白く曇るほどに冷やされた薄口のグラス。そこに、琥珀色の瓶から黄金の液体がトクトクと注がれていく光景は、それだけで一つのエンターテインメント。きめ細やかな泡が立ち上り、グラスの表面には水滴が輝きます。一口飲めば、しっかりとした麦のコクと、心地よい苦味。喉を駆け抜ける爽快感が、行列で火照った体を内側からクールダウンさせてくれます。



このどっしりとしていながらもキレのある味わいが、これから対峙する煮干らぁ麺の繊細かつ複雑な風味を、見事に引き立ててくれるのです。一杯のラーメンへの期待感を最高潮に高めてくれる、これ以上ない名脇役の登場に、まずは乾杯。

<全体> 柔らかい煮干感!鮮やかな具材!立ち上る芳香!完璧な調和が食べる前から五感を魅了!

目の前にそっと置かれた「煮干らぁ麺」。まず目に飛び込んでくるのは、煮干らしい薄い濁りと泡だちを感じさせるスープ。細かな煮干しの粒子が光を受けて静かに舞い、その奥深い味わいを雄弁に物語っています。そのスープの海に、絹の糸のように美しく麺線が整えられた麺が横たわり、まるで宝石のように配置された具材たちが、それぞれの色彩を主張し合っています。

主役を張るチャーシューの、生命力溢れる鮮やかなピンク色。その上に雪のように散らされた、純白の刻み玉ねぎ。丼の片隅で深い緑色を湛える、香り高きあおさ海苔。そして、それら全てを優しく受け止める、温かみのある白い丼。このレイアウトに非凡なセンスを感じさせます。そして、ふわりと立ち上る香り。それは煮干し特有の攻撃的なものとは無縁の、どこまでも上品で香ばしい芳香。

<出汁> 煮干の力強い風味と上質な苦味と甘味!動物感を忍ばせてリッチ?盤石な旨味が優しく包む!

レンゲでそっとすくい、光にかざすと、淡い茶褐色の液体を見るだけで旨いち確信!。一口、口に含む。まず舌を捉えるのは、片口鰯を思わせる、力強くも品格のある煮干しの風味 。それは一般的にイメージされる「苦み」という単調な言葉では表現しきれない、とても心地よい「香ばしく仄かなビターさ」です。

しかし、その仄かなビターな風味が支配するのはほんの一瞬。すぐさま、その背後から追いかけるように、圧倒的で芳醇な「甘み」と「旨味」の波が押し寄せてきます。これこそが、「さくら井」の真骨頂!。

そして改めて思うが・・・、看板メニューである醤油らぁ麺で証明済みの、はかた地鶏や大山鶏といった国産銘柄鶏をここにもベースに溶かしているのかと?。実に芳醇です。しかし決してどちらかと言えばちょとライト系にも感じる味わいかと。煮干しという個性の強い素材の鋭角的な部分を完璧に受け止め、優しく包み込むことで、エグみや塩辛さとは無縁の、角の取れた丸みのある味わいへと昇華させているのです 。

濃厚でありながら、後味は驚くほどすっきり。甘み、苦み、旨味、そして香ばしさ。複雑な要素が互いを打ち消すことなく、むしろ高め合うことで生まれる奇跡のバランス 。これ意外と魔力的な魅力に満ちた出汁かと思います。

<麺> 絹の如し滑らかな麺肌を持ち出汁の旨味を完璧に纏い喉を駆け抜ける!官能的な喉越し!

ラーメン好きならばその名を知らぬ者はいない「三河屋製麺」に特注した、ストレートの中細麺 。丼の中で、一本一本が意思を持っているかのように美しく整えられた麺線は、それ自体が一つの造形美です。箸で持ち上げると、そのしなやかさと、光を帯びているかのような艶やかな麺肌に気づきます。

真価は、啜り上げた瞬間にこそ発揮されます。唇に触れたかと思うと、一切の抵抗なくつるり、と滑り込み、スープの旨味と香りをその身に余すことなく纏いながら、驚くほどスムーズに喉の奥へと吸い込まれていくのです。これぞ、至高の「喉越し」 。繊細で複雑な味わいを持つスープにおいて、過度に主張の強い麺は全体の調和を更に高めるように感じます。

このエレガントなストレート麺は、自らの存在を誇示しすぎることなく、あくまでスープの完璧なパートナー、最高の運び手として機能します。出汁と麺、二つで一つの完成形。その理想的な関係性が、この中に確かに存在しているようです。

<チャーシュー> 低温調理でポテンシャルを極限まで引き出す!驚くほど柔らかく肉本来のピュアな旨味!

薬味の玉葱の下に隠れて鎮座するチャーシュー。その断面の、吸い込まれそうなほど鮮やかなピンク色は、現代の調理科学が生んだ奇跡「低温調理」の証。精密な温度管理のもと、長時間かけてじっくりと火を入れる 。この繊細なプロセスにより、肉の筋繊維を壊すことなく、旨味と水分を内部に完全に閉じ込めることができるのです 。

箸で持ち上げると、その重みでしなり、自重で崩れてしまいそうなほどの柔らかさ。一口噛み締めれば、醤油ダレの強い風味ではなく、上質な豚肩ロースが持つ、ピュアで濃厚な肉本来の甘みと旨味が、閉じ込められていた肉汁と共にじゅわっと溢れ出します 。このどこまでもクリーンで上品な味わいは、繊細な煮干しスープの風味を一切邪魔することなく、むしろ豊かな肉の満足感だけを静かに、しかし確かに加えてくれます。もはや一杯の丼の中で「極上の肉料理」かもね!。

<他具材> 玉葱荒微塵の鮮烈さ!あおさ海苔の磯の香り!メンマの食感!完璧なアンサンブル!

名脇役たちがそれぞれに重要な役割を果たし、物語に深みと奥行きを与えています。まず、チャーシューの上に輝く「刻み玉ねぎ」。そのシャキシャキとした小気味よい食感は、しなやかな麺と柔らかなチャーシューとの間に明確なリズムを生み出します。そして、玉ねぎ特有のシャープな辛味と爽やかな風味が、煮干しスープの深い旨味の中で鮮烈なアクセントとして機能し、一口ごとに味覚をリフレッシュさせ、最後まで食べ飽きさせない原動力となるのです 。

次に、丼の片隅で深緑のオーラを放つ「あおさ海苔」。一般的な板海苔とは一線を画すこの名脇役は、熱いスープに触れてゆっくりと溶け出すと、凝縮された力強い「磯の香り」を丼全体に解き放ちます 。それは煮干しが持つ魚介の旨味とはまた質の異なる、ワイルドで立体的な海の香り。これにより、丼の中の「海」の世界観は一層深まり、煮干しの持つエグみを巧みに包み込んで、旨味だけを増幅させるのです 。


そして、名脇役として忘れてはならないのが「メンマ」。太く、存在感がありながら、驚くほど柔らかく、それでいてシャキっとした食感も残している 。丁寧な仕事ぶりが伺える上品な味付けで、全体の調和を一切乱しません。これら全てが、味、香り、食感において、互いを引き立て合う「計算され尽くした三重奏」なのです。


<和え玉+生卵> 単なる替え玉ではなくそれ自体完成された一杯!生卵を加えて味わいはクライマックスへ昇華!


まだ終わりません。特に「煮干らぁ麺」を食した者だけに許された、至福の第二章が存在します。それが「和え玉」 。これは単なる麺のおかわり、いわゆる「替え玉」とは全くの別物。提供された丼には、らぁ麺と同じく美しく盛り付けられた麺の上に、ほぐされた鶏チャーシュー、香ばしいフライドオニオン、そして風味豊かなあおさ海苔が添えられています 。



まずはそのまま、よく混ぜて一口。鶏油と醤油ベースと思われるタレが麺に絡み、それ自体が完成された「油そば」として、一杯目とは異なるベクトルで舌を喜ばせます。しかし、本当のクライマックスはここから。別添えで提供される「生卵」を投入するのです。


この卵は、黄身の色の濃さと味わいの深さで知られるブランド卵「那須御養卵」 。その鮮やかなオレンジ色の黄身を溶き、麺に絡めれば、味わいは一変。タレの塩味はまろやかに、そして卵黄の持つ濃厚なコクと甘みが全体を優しく包み込み、まるで高級な「すき焼き」を食べているかのような、官能的で贅沢な味わいが口いっぱいに広がります。

最後に、丼に残った煮干しスープを少量加えれば、全ての旨味が一体となり、完璧なフィナーレを迎えるのです。これは、一杯で二度、三度と味の変化を楽しめる、計算され尽くした食のエンターテインメントと言えるでしょう。


総じまして・・・「単なる美味しい煮干そばでなし!情熱と技術!そして移転してさらに探究心が結実した一杯!」

淡麗にして力強さも感じる煮干しと、それを支える優雅な下味の動物系との調和?。さらにしなやかな麺と、それを纏うスープとの調和。そして、丼を彩る個性豊かなトッピングたちの、計算され尽くした調和。その全てが、奇跡的なバランスの上に成り立っているような感覚。勝手に妄想して芸術性すら思うかと!。行列に並ぶ時間さえも、この至高の一杯に至るための神聖な儀式の一部。その先に待っているのは、あなたのラーメン観を根底から揺るぶる、忘れられない感動ですよ。激しくおススメ!旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。

お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!


