【今週のラーメン５８１７】三鷹大勝軒（東京・吉祥寺）中華麺生玉子　〜永福町系大盛美学！銀のトレーにデカ丼とデカ蓮華！素朴な麺顔にカメリアラードの艶めき！

街の片隅・・・路地裏奥の隠れ家的な大勝軒

吉祥寺！サンロードの喧騒、ハモニカ横丁の猥雑なエネルギー、若者たちの活気が渦巻く、絶えず新陳代謝を繰り返す街。このモダンなカオスの只中で、「三鷹大勝軒」はまるで時代の流れから取り残されたかのように、ディープな路地裏にひっそりと営業してます。まるで自らそれを拒絶するかのように、ひっそりと息を潜めているかのよう・・・。

まぁ、店の在り処を知らぬ者は、まず辿り着けないだろうねー。この意図的なまでの隠遁。それは単なる立地条件ではなく、店の哲学そのもののかもしれませんぜ。この迷宮のような路地を、明確な意志をもって探し当てた者だけを、静かに迎え入れる。客は単なる消費者ではなく、この店の価値を理解する「大勝軒信徒」としての資格を試されておりますー。

＜全体＞永福町系大盛美学！銀のトレーにデカ丼とデカ蓮華！素朴な麺顔にカメリアラードの艶めき！

この店の雰囲気に似合うご店主の寡黙さもナイス！。そして厨房から運ばれてくるのは、永福町系という流派が長年かけて築き上げてきた「形式美」の完璧な具現！。銀色に輝く金属製のトレー。その上に鎮座するのは、ある者は畏敬と親しみを込めて一部では、「洗面器」とも揶揄される巨大な丼。そして、その傍らに横たわる、ずっしりとした重みを持つ大きな蓮華。この三位一体の構図こそ、永福町系の揺るぎない様式です！。

この象徴的な銀のトレーは、「大盛」を注文した者のみに許される特権！。巧みな仕掛けですー。最も挑戦的な麺量を選ぶという「覚悟」を固めたもののみの栄冠？。一種の叙任式？。その瞬間、客と店の間に特別な共犯関係が結ばれますー。

丼から立ち上る湯気は、凝縮された煮干しの香りを聖なる香炉の煙のように立ち昇らせ、鼻腔をくすぐり、食欲の最後の理性を焼き尽くす！？。出汁の表面は、一見すると素朴な醤油色だが、照明を反射して妖艶な光沢を放っている。これこそが、選び抜かれた豚の背脂から作られる「カメリアラード」の艶めき。液体でありながら宝石のような輝きを放つこのラードの層は、これから始まる味覚のドラマが、いかに豊かで重層的なものであるかを雄弁に物語ります。丼の圧倒的な物理的スケール、蓮華の重み、そして銀盆の冷たさ。質実剛健で、しかし底抜けに寛大な精神性の発露！。繊細さやミニマリズムとは対極にある、腹の底から満たされることへの、飾り気のない賛歌じゃぁないか！。

＜出汁＞ラードの豊かな豚コクにやや濃ゆい醤油感？旨味の中にチリリと香ばしい煮干風合い！

蓮華でスープをすくい、まず一口。郷愁にも似た深く、そして穏やかな煮干しの味わい！。昨今の、煮干しの苦味やエグ味までもを前面に押し出した「濃厚煮干し」や「ニボニボ系」と呼ばれる過激な潮流から見れば、このスープの煮干し感は間違いなく「ライト」に分類されるでしょうー。

だが、それは決して風味が弱いことではありません。むしろ、これは永福町系が確立した、煮干しラーメンにおける「黄金比」とも言えましょうか？。苦味は丁寧に抑制され、香ばしさへと昇華されている。その香ばしさを下支えするのが、キリリと輪郭の立った醤油ダレの塩味と、微かに鼻腔を抜ける胡椒のスパイシーな刺激。これらが一体となることで、煮干しの持つ繊細な旨味が増幅され、舌の上で「チリリ」と感じるような、心地よい緊張感を生み出す！。

そして、この味覚の構造全体を優しく、しかし力強く包み込むのが、カメリアラード！。高品質な純粋ラードであるカメリアは、動物系の重厚なコクと甘みを加えながらも、そのクリアな品質ゆえに、煮干しの繊細なアロマを一切マスキングしない。それどころか、煮干しの魚介系の旨味とラードの動物系の旨味が反発することなく共鳴し、互いを高め合うという奇跡的な調和を生み出す！。さらにこのラードは、スープの表面に蓋をする役割を果たし、丼の中の熱を最後の最後まで閉じ込める。これにより、麺は最後まで熱々のスープを纏い続けることができるのですー。

＜麺＞永福町系のシンボリックな多加水細縮れ麺！柔めの仕上がりに出汁が絡みつき滑らかな食感！

製麺を手掛けるのは、この流派と二人三脚で歴史を歩んできた伝説の「草村商店」。加水率の高い、細く、そして強く縮れたその麺は、意図的に柔らかく茹で上げられてます。硬い麺がスープの中でその個性を主張する「柱」であるならば、この麺はスープを吸い込み一体化するための「スポンジ」みたいなイメージ？。その柔らかな食感は、むしろ「しなやかさ」と呼ぶべきもので、無数の縮れがスープの潮流に身を任せ、出汁の旨味、ラードのコク、そして薬味の微細な粒子までをも、その表面積の全てを使って絡め取るようです。

麺をすする行為は、出汁を飲む行為とほぼ同義。前歯でぷつりぷつりと小気味よく切れ、奥歯で噛みしめると、麺自体が含んだ熱いスープがじゅわりと溢れ出し、小麦の甘みと混じり合って唾液腺を激しく刺激！。

＜生玉子＞つけ麺風アレンジ！生玉子のフレッシュさに麺に染み込んだ出汁味が染み入る旨さ！

永福町系の店で、メニューに「生玉子」の文字を見つけたなら、それを注文しないという選択肢はありません。小鉢に割り入れられた生玉子は、完全にかき混ぜず！。卵黄の濃厚なコクと、卵白のつるりとした喉越し。その両方を感じるために、あえて両者がまだらに分離した状態を保つのがオレ流。そこに、丼から引き上げた熱々の麺を投入する。熱を帯びた麺が冷たい卵に触れることで、魔法が起きる。麺の熱によって卵白の一部が僅かに凝固し、白い衣となって麺に絡みつく。一方、卵黄はとろりとしたソースとなって、他の麺の部分をコーティングする・・・。

この状態になった麺を、一気に啜り上げる。するとまず、生玉子のフレッシュでまろやかな甘みが、煮干しと醤油のキリリとした塩味を優しく中和し、味わいの角を取ってくれる。カメリアラードの豊かなコクは、卵黄のレシチンと結びつくことで乳化し、官能的なテクスチャーへと変化！。

自分の手で麺を浸し、卵の絡み具合を調整し、最高の瞬間を創り出す。このインタラクティブな体験こそが、永福町系ラーメンを単なる食事から、忘れがたいエンターテインメントへと昇華させるって感覚ですー。一杯のラーメンの中で、全く異なる二つの味のクライマックスを体験できるこの贅沢！。これこそが、永福町系が提供するダイナミズムの真骨頂！？。

＜チャーシュー＞周囲は醤油ダレがしっかり効いて香ばしき！中はスカっとしつつ出汁を吸い込んで旨し！

チャーシューは、脂身の少ないロース肉。周囲は醤油ダレがしっかりと染み込み香ばしいが、中心部はむしろパサリとした、馴染みあるスカスカな食感。だが、これが計算され尽くした結果で、この肉の繊維の隙間こそが、熱い煮干しスープを吸い込むためのスペースなのです。

噛みしめると、肉自体の旨味と共に、閉じ込められていたスープがじゅわっと溢れ出す。このチャーシューは、自らが主役になることを潔く辞退し、スープの旨味を纏うための「キャンバス」に徹している。その抑制の効いた姿勢は、見事としか言いようがない！。

＜メンマ＞安寧のスリムな短冊型メンマ！薄味仕立てで細縮れ麺に絡んでバランス良い旨さ！

メンマもまた然り。スリムな短冊切りで、色合いは濃ゆいが味付けはさっぱり。その役割は、スープの味を邪魔することなく、柔らかな麺を啜り続ける合間に、シャクっとした軽快な歯触りのアクセントを加えること。ただそれだけだ。しかし、その「だけ」が、この長大な一杯を最後まで飽きさせないための、重要なリズムを生んでいる。

総じまして・・・「路地裏奥にひっそり潜む！王道がっつり永福町系旨さの伝道！時を越える旨さ！」

吉祥寺という若者の街の更に奥まった路地裏。決して恵まれているとは言えない立地にもかかわらず、昼時には満席となるこの光景は、本物の持つ引力の強さを物語っているようです。それは、一過性のブームやメディアの喧伝に頼らない、味だけで人を惹きつける純粋な実力かと！。決してマニアや玄人だけのものではない。その旨さの核にある普遍性は、世代を超えて若者の心にも確かに届く力を持っていると思われます。吉祥寺でのランチに、本物の感動を求めるならば、この店も重要候補かと！激しくオススメ！旨し！なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います！。