【今週のラーメン１６１０】天下一品総本店（東京・北白川）こってり・並・細麺

　実家に帰りまして、久しぶりに旧友との飲み。場所は京都駅周辺です。まあ・・・普段の疲れが溜っているところに、家族サービスの疲れが加わっているもんですから、アルコールの回り方は早いのなんのって！　体の老化による影響もあるやもしれません。そこへ「〆にラーメンを食おう」という成り行きになった夏のお盆の午後１１時半。・・・京都駅近辺の名店は既に閉まっております。酔った勢いで「天下一品総本店」へとタクシーを飛ばして食いに参りました！　ちなみに同行者は店に着いたとたんに「もう食えない」というギブアップ宣言（はぁ？？）。私一人で「こってり」と対峙いたしました。ああ・・・デブの道へ一直線であります（苦笑）。しかし・・・、

　この一杯の解説は不要な気がする・・・・、みんなが知らない味じゃないもんな。

　でもね、創業当時から知っているからなればこそ、当時の「神」の味わいは今でも心に残っているのですよ。その当時は、「豚骨＆鶏」といった濃厚ぶりだったという幼い記憶。第一旭で慣れ親しんだ私の感性が、豚骨の煮出しと風合いに鼻が曲がった気分をしたものです。それに・・・松ヤニのようなエキス感、モミジの濃すぎるコラーゲン、それらが混じり合って丼の淵がコテコテなざらつき感が発生し、丼に口を突けるとザラザラしていたものです。当時幼い私は、そのザラツキぶりが気に入らなくて・・・・父に「この丼・・・前の人が使ったあと洗ってない！」と文句を言ったもんです。せっかく連れ出してくれたのに今となっては申し訳ない。しかし・・・、

　
　「濃厚なれど・・・・味つけを敢えて淡くしている」感覚がまた秀逸。

　
　これほど濃厚なエキス感なのに、塩気だけがとても淡麗なので、スルスルと飲めてしまう。コラーゲンが酔った胃袋には重いはずなのに、飲み干してしまうではないか！　これは、「ラーメンのタレ」「豆板醤」など、合わせる味わいを計算にいれておるのでしょう。いや〜、そうであってもデフォルトの味わいも中々好きです。デフォルトこのままで食い尽くしてしまおう・・・と思えど、連れは「味付け追加」をしないのを訝しむ。ならばと、豆板醤を投入！　いや〜・・・・味重ね的な風合いが相まって、これはこれで食欲の増進スイッチが入る思い！天下一品のスープが、創業オリジナルを脱却して、良いと思える数少ないポイントの一つです。さて、次は麺だが・・・・

　「細麺」のスープとの一体感がすばらしい！

　普通麺と細麺と選べる仕組みで、今回は細麺とさせていただいた。理由はない。ただ酔った頭でも記憶に残っているのは、箸でのリフトアップで真一文字に横にキレイに並ぶさまが美しいことと、スープの持ち上げが尋常ではなくて・・・・ただ麺を啜っているのにスープを啜っている感覚と一致してしまうこと、・・・・この二つが見事でありました。加水に率とか、歯応えのクッシリ度合いなど、どうでもよくなる。ただ、そこにあるのは「天下一品の教科書を食っているのだ」という思いだけだったかもしれません。ああ・・・汁と麺のフィーリングをつかんだ！さて次は具だが。

　肉よりも・・・・個人的には「青ネギ」に期待する思い。

　天下一品の肉がジューシーだったという記憶が薄い。それよりも、汁に一旦浸してから食うという印象が深くて、むしろ「脂の抜け具合」がうれしかったりする。今回はまさにその印象にダイレクトに結びつきます。しかし、私は青ネギを・・・・濃厚スープを感じながら、ザクザクと歯で感じながら食うのが一番すきだな。そして満足！歯に青ネギが挟まったりして、やれやれと思い爪楊枝容器に手を出すと。。。。

　テーブル一面に爪楊枝をこぼしてしまう・・・

　爪楊枝入れの蓋がみょうに引っかかってしまい、倒れてぶちまけた。意外に店員のダレも助けに来てくれなかったが、前に座っている酔った友人は、「えらいこっちゃ」と助け舟をだしてくれて事態は終息へと向かう。

　総じまして・・・「今の天下一品の教科書を食って来た」という思い。いや、ファンなら一度は観光のついでに食っていただきたい次第。

　昔、京都で学生生活を送っていた方々には、この総本店の一杯には、いろいろ深い思い入れがはるのでは？？？　その違いはともかく、時代の流れといたしましょう。創業期の一杯が「家康」としたならば、この日食った一杯は「家光」といった感覚かも。味は別として、ビジネス的に制覇したような卓越感はある味。この味でこの規模感なら素晴らしい味！　東京でもっとこのブランドを食ってもいいかもなと改めて思いました。なので詠います！

　　　夏の盆
　　　五山送り火
　　　思い馳せ

　　　静かに啜る
　　　北の白川

　お粗末！ということで家族にも感謝しながら合掌！！今日も本当にごちそうさまでした！！！
　　　　　