やはり一人で外に放り出されるとやることは一つ。ラーメンを食うこと(アホです)。最近、地元で戸塚の怖いおじさん系統の一杯を食したばかりですが、久しぶりなのもあってまた食いたい!と思えてネットで調べてみますと・・・お弟子さんの新規オープンを2つ発見。うち1店舗は閉店時間に間に合わずで食いそびれた店だったのですが、もう1店舗は何気に自分でブックマークをしておった店のようです。最近の忘れやすさに自分自身が怖い思いです。
・・・・などと考えながら、連休で部屋の暖房に慣れ過ぎた腑抜けた体を、ユニクロ・バーゲンのダウンで包み込んで自宅を出発。休日に通勤定期を利用するのは、ちょっと仕事を連想させるから、改札口はマイナス気分になるな・・・。新宿方面のホームに向かうのも気が少し重い。だけど阿佐ヶ谷で降りて、そこから気分転換だ。
阿佐ヶ谷から鷺ノ宮までバスで揺られること10分程度で到着。のどかな西武線の駅です。駅と踏切のそばに交番がありまして、そこから飲食店がポツポツと連なるいかにも都内の住宅エリアっていう感じの街がいいね〜。北側へ歩きほどなく左へそれると「らぁ麺すぎ本」さんがそこにあります。お昼時ということもあって、店内盛況!一つだけ空席があり、恭しくご案内いただきましたが、若いご夫婦で営業しているのね・・・・、それだけで清々しい感じがいたします。
そんな若い作り手が供するのが定番なる「支那そば」であります。店内は、付近にお住まいの中高年のご夫婦が3組、あとは私のようなオッサン達。ちょっと近所にいいラーメン店ができたようだから、覗きにいこうよ・・・・的なのりなのか、穏やかな休日の昼下がりという感じです。
う〜ん・・・、平和そのもの・・・・。黙々と・・・そしてちゃっちゃと作業を進めるご店主の姿をぼーっと見ながら、日頃の疲れか何だかウトウトとしてきます。そんなタイミングで「お待たせいたしました」と微笑んで女将さんが供して来るから、ちょっとビクついてしまった(笑)。それが今回の「醤油 味玉らぁ麺」。いや〜・・・、結論的には・・・好みな一杯でありましたがな!私は心の中で叫びます!
う・・・っ!旨い、めっさ旨いがな!! やや濃ゆい醤油ダレの甘さで・・・オッサンすでにメロメロやがな・・・・。
【スープ:どこかおなじみ感ある清湯醤油に・・・明るい円やかさが広がります】
<まったり醤油コクに明るい鶏ガラが映える感覚、定番のようでコンテンポラリー>
さて配膳されたその一品、「The 味玉ラーメン」とも言うべきオーディナリーな麺顔でして、定番を絵に描いたよう。しかし、全体からオーラのように滲み出る雰囲気が「今風のラーメンだな」と思わせる・・・雰囲気を醸し出します。奇麗な透明系の醤油清湯が、春霞のように淡くくすんで沈んでいる麺が舫って見える。そんないかにもオッサン泣かせな風貌で、食う前からそぞろ気分にさせられます。そんな気分を抑えてレンゲを投入し、いざスープの実食からスタート・・・。
いや〜、さっぱりの中にもじんわりと濃ゆい部分を感じさせるのは流石。見た目以上にはっきりとしたキャラクターを主張します。醤油ダレのエッジングが円く、そして甘くも感じる。この風合いは目黒の維新や、町田から赤坂へ引っ越したお店の一杯とどこかオーバーラップする部分を個人的に感じます。しかし、あるのかないのか分からないけど、冒頭の1クチめから2〜3クチめあたりまでは、微かにジリッとする部分があり、ネギの清涼感のようでもあり、淡い生姜のような味わいが、一瞬かすめます。ただ食い進める中盤くらいから全く体感できないほどに、醤油ダレのまったりした味わいに舌が支配されますな・・。醤油は、醸造感ある塩気というより、たまり醤油の甘く香しい味わいという感覚。
そして、何といっても鶏コクが濃ゆいところが秀逸と思えます。明らかな香味として後からプラスしたような鶏油とも違う・・・深い煮だし感ある鶏コクという感覚。実際には香味油はプラスされておるのでしょうが、ナチュラルな濃さを感じる鶏ガラ味わいです。薄らと表面をうごめく脂のペイズリー文様を眺めながら、深く味わったあとの余韻も、塩気というより甘みを感じる。同じ師匠を持つとは言え、少しづつ店の違いを楽しむというのも、ラーメンツアーの醍醐味ですな。
<節系?と野菜がタレのちょい濃ゆい甘みにフィット!ゴクゴクいけてしまう>
まろやかな甘みは、時には濃ゆく感じたり、またサッパリとした印象を受けたり。味わうレンゲの度に私の舌の感覚もころころと迷うのですが、さっぱりさの中には、やはり野菜の存在を感じます。自然な甘さというやつか、葉野菜と根野菜の煮汁が全体を重くしない。そして、甘みが全体的に落ち着いて感じるのは、やはり魚介が少しばかり貢献しているからなのでは?と思えてなりません。煮干しという感覚はあまりなく、どちらかというと、節系や昆布の旨味が濃いのでは?と勝手な推察をしてしまいますが・・・。
ともあれ、麺も間食し残ったスープをいただくのですが、麺の風合いと味玉の味わいの余韻も適度に混じりあって、なかなか複雑系を増してまた旨いではありませんか・・・。冒頭よりもしっとりした印象があり、当然の如くゴクゴクグビグビ〜っと最後まで完飲してしまいました。正月太りがまだ解消されておらんのですが、旨いスープを残すわけにはいかないのだよな・・・。
【麺:非常にナチュラルなスベリ感としっとり感たたえる・・・柔細麺の世界】
<この系列らしい・・・しなやか系ストレート細麺の柔らかさに全粒チラリズム>
また、この系統で忘れてはならないのが、しなやかで滑らかな柔麺。いかにもという風貌の中に、すこしばかりのそばかすのような全粒粉の混合を認めます。若干捩れているように見える細めのストレート麺。一番流れが美しく見えるタイプですね。よく見ると表面にかるく、半透明な層ができあがっている。前歯での千切り感は、まさにスパスパっとリズミカルに切れますし、奥歯でもクチクチってな感覚で淡く容易に潰れるといった感覚。されど、粉の風合いを感じるというより、吸い込んだ汁と淡いグルテンのようなのを一緒に食する方が楽しいと感じる。
<汁を吸っても熱ダレしにくく・・・最後まで滑らかなすべり心地>
しかし、なかなか最後までクチリとした歯応えを味あわせてくれて、すぐに熱でダレて残念な食感になってしまうということは少ない。思わず厨房内の麺箱を見てしまうが、そこには「三河屋製麺」というメジャーなお名前がありました。へーー・・・、パツパツ系剛麺から、こういった柔系のしなやか麺まで自由自在なわけやね・・・。
麺のスベリも表面の淡いヌメリ層とあいまってなかなか良好なスベリ感覚。内頬を一気にかけぬけ、喉奥からストンと落とし込むときの抵抗感がとてもスルスルっとしている。そういえば湯切りはとてもしっかりと、執念深くやっておられたっけな。最近よく見かける大きめの底をしているテボに投入しての茹で上げ。これなら、通常の丸底テボより麺が湯の中で踊りやすい。それを持ち上げてチャッチャツと湯切りする前に、一旦平ザルに移し替えて、しつこく湯切りをなされます。スープへの濁りを最小に抑えたいのかな・・・・とそんなことを湯切りみながら考えていた。
【具:どれ食っても旨いかも!二種チャーシューはどちらも甲乙つけがたし】
<豚と鶏の・・・・パフパフ食感の競演>
チャーシューは2枚で2種。豚ロースと、鶏の胸肉っぽい部分。豚は、筋肉部分が大半を占めるが脂のさし具合も良くて、噛むとスポンジ。汁を吸い込んでハイランクの旨さになるばかりでなく、ツケダレの味わいもより優しくなった一体感ある感じで香ばしい。また、鶏の方は一転して塩味メインのサッパリさのタイプ。味付けの差が面白い。化粧パフのようなきめ細かいタイプでまるでパンケーキのような木目の細やかさだ。汁を吸い込むというより、スープを潜らせて、中の塩気と表面の味わいの混じり合いを楽しむというような感覚。
<軽めのタレ染み込み具合でより玉子自身のまったり感が映える>
軽く醤油ダレに浸してあるような浅い色合い。しかし白身のふるっとした感覚がとても旨くて、中の気味はトロトロをアピールするタイプ。卵黄はジェル系が60%くらい。スープに混じると一気に玉子らしいコクが広がる。スープが濁るまえに引き上げて一気に食ってしまうのが私の味玉に対する流儀なのだが、少しスープに滲んだ卵黄って・・・とても旨くてマッタリとしていて旨し。もともと、味玉をいつも頼む人ではなかったのだが、すっかり最近では好きになってしまった。100円をプラスして出す価値ある味玉であります。
総じまて、「これ好き!だけど通いにくいのでむしろツラい」と痛恨な旨さのお店。出会わなければ、こんなに切ない思いをせずに済んだのにと運命に逆恨み(いや、わざわざ会いにいったのだったな・・・)。西武線界隈のお店って・・・中央線沿線住人には微妙に近くて遠いのよね・・・。今度いつ来るかわからんけど、塩系だけでももう一度確認しにやってきたい。そんなお店です。
そして食い終えて店をでてバスを待つ間、風のない快晴の冬空の下で、清々しくこの一杯を回想して過ごす。まだ若いながら、ご夫婦で気持ちよい接客。たしかな味わい。俄然個人的にはツボにはまった。繰り返すが鷺ノ宮駅前ののどかさも好きだな・・・・。暖かくなったらチャリで来ようか。やはり晴れの日は気持ちよい。なので詠います!
突き抜ける
穏やか日和
冬空に
舞い降りる哉
杉の下の鷺
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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