実は、あの店なら融通を利かせてくれると思って飛び込んだのは「維新@目黒」さん。ワンタン麺(醤油)を塩に切り替えてくれ〜とお願いしてみようとの算段で訪問したのですが、NGとのこと。え〜!と心の中で叫んでみたところ、ご店主さんから「今日は、塩らーめん自体の提供ができないんですよ・・・・」とのこと。店の都合も知らないでわがまま言ってしまった私が悪かった次第です。でもね・・・醤油の気分じゃないのですよ、今は・・・・。ゴメン!また必ず来ますからと、とりあえず維新さんを諦めて、とぼとぼとどうしようかと歩き続ける権之助坂。づゅる麺、百式など・・・覗いてみたものの、そこに「塩ワンタン麺」はないのですな・・・・。ということで、保険の保険でチェックしておいた「揚州商人」さんへと伺うことになりました。
このブランドは、新橋店ではチョクチョクお世話になった時期があったのですが、随分とご無沙汰です。予備チェックしていてわかったのですが、こちらが総本店なのですな!さぞかし総本店に似つかわしい重鎮調理人がおるのだろうか・・・・と思いきや、若いお兄さん2人組体制で、ライト感覚で仕切っておられました。いろいろと準備の都合があるらしいので、私の方から「塩ワンタン麺!」と来る前にコールを遠くから通してみました。
【スープ:円やか過ぎるほどに円やか!いつまでも啜っていたいあっさり系】
<まるで別腹のようにいくらでも飲み干せそうな、円やかあっさり鶏清湯>
配膳時、おっとっと・・・高台越しかい・・・・手渡し(汗)。受け止めたそれをカウンターに置いてまずはマジマジと眺めます。意外と地味な雰囲気と感じましたが、見ているとどんどんとワンタンに意識に吸い込まれてしまいます。いわゆる、今日の一杯との対峙という姿勢で背筋が伸びます。
まずはスープをひとすすりすると、これはまさにポカリスウェットのごとくに、何の抵抗感もなくスルスルと染み入りますがな!これは、たとえビール腹でタプタプ胃袋状態であっても、別腹のように飲み干せてしまいそう。〆の一杯にワンタンは不要かもしれませんが、その目的にはとてもマッチしますな!冒頭から恐れ入る次第。
しかも、「なんとなくクリスタル」な風貌を持つスープ。写真以上にスープをレンゲで透かしてみると、鶏コクのすっきりさもさることながら、その清湯ぶりにちょいと体温が1℃上がる気分です。クリスマスプレゼントには4℃。お疲れオヤジには1℃がお似合いなのです。
<塩気も、感じるか感じないかの絶妙バランス>
塩気もキレがあるようで、すーーっと染み入るね〜。それはまるでアクエリアスのようです。塩アクエリアス、そんなものはないけど。明らかに業務系の塩だと思うけど、鶏コク、鶏油と軽やかに結びついて塩気か旨味か、その区別すら出来かねる仕上がり具合ではありませんか!わずかばかりの薬味ネギの風味さえ、感じ取れるほどに澄んだ塩加減。さすが・・・・中国ラーメン。スープのDNA感覚が、日式ラーメンとは別物と感じ入りますな・・・。
【麺:スープもクリアーなら、麺もクリアー・・・・】
<透明感ある極細ストレート!多加水でプチプチ千切れる>
練り水の風合いを感じさせる透明感ある極細麺。これはこれまで食ってきたワンタン麺の中では一番細いかと思えます。そして多加水。モチモチという感覚も多少ありながら、プツプツっと小気味よく、リズミカルに千切れる感覚が楽しいかも。箸でリフトすると揃うようで揃わない。あ、揃った!と思ったら、一部分だけダマになってただけだったりする(笑:これはご愛嬌の範囲)。奥歯でのプレスは、ややハードにクチリクチリと潰れる感覚で悪くない。
<軽快なスベリ心地を約束するツルツル麺>
見るからに、これはスベるに決まっていると思える風貌です。事実そうです。茹で上げで角が丸まってるのもあって、口元の当たりからして優しくフィットします。そこからすすり上げるのに、そう抵抗感はありません。しかも細麺ですから、隙間にスープが毛細管現象のごとく持ち上げが非常によろしい。表面のツルツル感と、すすりやすさもあって、最高にスベる麺です。熱さに抵抗感がなければ、そうめんのようにツーーーーっとやっちゃってくださいと申し上げたい。
【具:方程式のような、定番トッピングが和む】
<極淡く生姜の風味を感じる肉餡>
最近、ラーメンじゃなく、ワンタンを喰い歩いているような錯覚を覚えますが、ワンタンもまたご立派。中華系のワンタン麺は、肉餡がとてもご立派タイプで、豚と鶏肉の合挽きか・・・・とても軽やか&ジューシーで食べ応えもあるタイプです。シンプルな塩胡椒と相まって、わずかに、ほのかに、生姜の風味が映える。これは、青島ビールも注文しておくべきだったと激しく後悔ですよ・・・。中華のワンタンには、青島ビールでいきたいです。
<固茹で味玉はトレードマークか>
はてさて、上海市場と、揚州市場と、似たような系列の一杯を食ってきて、具の共通性に気がつきました。どちらも、「青菜」と「固ゆで味玉」がセットになっております。これは何か「中国式ワンタン麺の方程式」なのですかね。実に面白い。
固ゆでハーフ味玉は、少し冷たさもありますものの、黄身がスープに崩れて溶けてゆくところに味わいと風味を感じます。青菜は、硬絞りされた圧迫感から、トッピングされて塩スープをばくばくと吸い込むところに、生き返った感を感じます。味玉に「崩壊」、青菜に「復活」を感じまして、西洋的に言えばリストラ。東洋的に言えば盛者必衰の理の何かを感じたりして・・・・。権之助坂でこんなことを感じて食っているやつは他にはおりません。
総じまして、「王道の清湯系すっきり鶏ガラ!ピュアな塩ワンタン麺!」という・・・書くことワンタンばかりでワンパターンでごめんちゃい。ともあれ、体がダルダルで、胃袋は締め付けられていようとも、こんなワンタン麺ならいくらでも食えそう。病院食に塩ワンタン麺を出してもらえるなら、すぐにでも入院したい。でもみなさん、仕事もアルコールもほどほどにね。長生きしてればいいことあるらしいから。この間の電車の中で、そう酔っ払いつぶやいてたオヤジがそう申しておりました。そのオヤジに説得力は皆無でしたが(笑)。なので詠います!
気力なく
下る坂道
トボトボと
ワンタン食って
トゥルン!と復活
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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