【午後休暇のあまり時間に・・・壮大な道草をいたしました】
西武各沿線は、アタクシにとってハードルが高い店・・・。武蔵野市ベースの人間としては、微妙に近いけどそれだけに、萎える距離感なのでありますわ・・・・せやけど・・・・この店は訪問しておきたい! ということで、家庭の事情で午後休暇を取得したこのタイミングで、少し遠回りをして訪問いたしました。しかしながら、お昼13時もダイブ回ったころのこのあたり・・・・とても昼飯で活気づくとは思えぬ気だるい街並・・・。とても営業してるとは思えぬその一体に・・・ポツリとそのお店がひっそりと存在します。そして、手書きの文字がこうあります・・・。
「本日の煮干し度 ちょこっと ヘビー ウルメ節バージョン」
ガムテープでのはりつけ方がまた愛嬌をそそります。引き戸を空けて入店すると、先客1名、その後ろを通り過ぎて奥へと行く途中に、この張り紙のいろいろなバージョンが重ねておかれているのを発見!結構これ・・・使い回ししとんのねん・・・。ちゅー事で、一品メニューなこのお店の「中華ソバ〜ウルメ節バージョン」を頂くこととします!そして、この煮干しそばでは・・・やったことない味玉もトッピング追加ということでね!
【ちょっぴり懐かしの「ウルメ節」がナイスですね・・・】
関西では・・・「ウチは上等なウルメ使っとるさかいに旨いでぇ〜・・・・」よく嘯くなどと、料理人などではかなりメジャーな煮干しスタイル・・・・「ウルメ節」。そいつが関東流儀で濃厚ニボになったらどないなるんやろ・・・・と興味がそそりますわな。素朴で誠実そうなご店主が黙々とその配膳の準備をすすめてるのを眺めます。こちら前金制でしていわばショットバースタイル。この駆け引き感もスリリングとは言い過ぎかも(笑)。調理場の様子を静かにしげしげと眺めると・・・・なるほどなるほど・・・・・Wスープスタイルで調理しとんのね・・・一体化するその瞬間も大切にしとると感じ取ります。そして待つ事8分程度。着丼とあいなります。静かにややレンゲをスープの中で上下し撹拌して、スープを頂きますと・・・・
「ヘビー?というより・・・・煮干しが分かりやすいという印象!適度な常識感ある濃厚具合は、ややライトな印象・・・・」
・・・と最初は感じ取ったんですがいかがでしょう・・・。つまり飲みやすいニボと申せまして、見た目から濃厚そうなのは伺えますが、ベージュの色合いがいつもより乳白色っぽく感じるというのがアタクシなりの解析であります。濃いけど、濃く感じないというこの背反・・・・。
「そや!甘みが多いだけやのうて、苦みが少ないということやないか?」
・・・と更に思いつくスープの風貌です。苦みが無いわけではありません。ただ・・・この濃厚さにしては、甘みが濃いのは分かるけど、「苦みがすくない」ので、するする・・・ゴクゴク・・・と飲めるやないけ!と思えるわけやけど・・・・。なので、出が関西のアタクシにしては、断然にわかりやすい煮干し味に映るわけでして、それゆえに、この一杯の「今日はちょっと変わった煮干しくわしたろ!」的ないたずらに似た店主の演出が光る一杯と思えます。最近、立て続けに伊藤系のニボを食って来たので、余計にその煮干しの立ち位置が独特に感じますわな・・・・。
※味のグラデーション:煮干しちょい甘旨味>ふんわり節系に似た風味>煮干し苦み>あっさり鶏?清湯>その他
【あえて「めん固いです」とのお断りを書く・・・ポリシー感じますね】
一品メニューの店ですが、小さいPOPがカウンターに備え付けられていて、そこに「めん固いです」というお断りがテプラで貼ってあります。アタクシ、固めは大歓迎なんですが、そうでなかったらどうなんやろ・・・。せやけど、煮干しソバは、麺が固いに限るもの!という思いはわかるのよね・・・。それに、ご店主も人柄柔らかく、別に接客が頑固なわけやないし・・・・これは、前向きなポリシーと捉えていただきたいもんです。しかし・・・そう書くからにはと・・・こちらの期待も高めてくれますわな・・・・。そして食する。
「うう!ナイス!期待通りのハードスペック!ほのかに感じるボソ感もええやないの・・・・」
丸い断面のストレート麺で、実は想像以上に太さがあった麺であると思います。しかし、その加水の低さは、博多麺までとは言わないけど、いわゆる潰し込みが効いた麺感覚で、麺の密度が濃いと感じさせるに十分!素朴な白めの地肌も大人の渋さすら感じますわ・・。噛み切って咀嚼始めるとわずかに感じるヌガー感、そしていきなりボソっと千切れる後口がええね!粉を感じるとはオーバーだけど、「麺は粉でできているのだ」と改めて感じさせる何かが・・・あるわな。この手の一杯は、最初小ぶりに感じて空腹時には残念感が少しあるんやけど、どうしてどうして・・・・非常に食べ応えある麺でっさかい、並でも腹持ちがええ〜のです!
※麺の感覚:やや白目な地肌感だけどざらつき抑えめ、加水は低めで、茹で上げクッシリ感が残るが粉を感じない、風味を感じる麺
※麺の形状:切り口丸いストレート麺、意外に標準的に太さを感じる、麺の密度感ある見栄えと弾力有り
【豚角煮を連想させるチャーシューでんな・・・・】
実はこのチャーシューは侮れないと思うのです。「皮付き」チャーシューなのです。そういうところが豚の角煮とか東坡肉を感じるニュアンスを微かに感じるところがあると思うのやけどな・・・。薄味かなと思いきや、わりと塩味も入っていてなかな旨し。ほぐれる柔らかさと、肉の野趣とした程よい固さも併せ持った三重層でんな!
そして玉ねぎがまた粗微塵切りでして、濃厚なスープ、ヘビーな麺のスキマにあって、一服の清涼剤がごとくの存在感です。ニボの苦みと玉ねぎフレッシュ感覚がまた相性ええねん!玉ねぎもっとくれもっとくれぇ〜〜と叫びたいよね。よくあるポットに置いてある形式やったら、倍くらい入れたろかと思うほど好みやねん!
また味玉は、全体に味の染み込み具合が深く、長時間の漬け込みが感じられますな。黄身にいたっては、全体が羊羹状になっている感覚でして、味噌漬け込みのような風合いを保ちます。まぁ、この一品の中のトッピング玉子やったら、これくらい濃くないとね〜。
※具のおさらい:角煮タイプのチャーシュー、海苔、オプションの味玉、フレッシュ玉ねぎみじん、以上
総じまして、サデスティックなロケーションながら、実に質実な一杯にて、多くのラーメンラバーを引き込む魔力は、十分な一杯でございましょう・・・。しかも、煮干しの中華ソバ一本にメニューを絞りながらも・・・・いろいろな煮干しバージョンを繰り出すといったあたりは、実によく考えたなと思う次第です。そう毎日、毎週煮干しは食えんなと・・・食べ終わった帰り道に毎度思うのだけど、どういう訳かまたどこかの煮干しを追い求めて彷徨う・・・・。そんなことばかり繰り返している今日このごろです。多分また来週もどこかで食うのだろうな・・・・。なので詠います。
こだわって
こだわりぬけよ
この道を
滴の努力が
やがて大泉 (最寄:大泉学園駅)
お粗末!ご店主の姿勢を歌に!ということで合掌!今日も本当にごちそうさまでした。