【これはなかなか・・・静かに質実としたラーメンを食することができますな・・・・】
しかしながら・・・この規模(カウンターのみ5席)でシンプルメニュー、駅から歩けるとは言えちょっと分かりにくい路地裏の店。儲けるというより、「わしゃラーメン作りという仕事を地道にしたいねん!」と訴えかけてるような店でんな・・・。こういうお店はしっかりと「昔ながらの東京ラーメン」をイメージするのですが、どうやらそのようでした。ご店主も少しご年配とありまして、一人で調理から注文とりと食器洗いまでご担当されている・・・・。そのマイペースを乱すような客人もおらず、また慌てて自分の注文を飛ばそうなどという行為もここでは、自然とないのです。「このご店主に御任せしよう」と自然と思えるそのまったりムードが実にええですわ・・・。今回は、とりあえずデフォルトの「ラーメン」をお願いいたしました。最新版のラーメン本が何気に置かれていたり、そういうメディア露出を気にしているようで・・・・、さりとて「載りました!」的な派手な宣伝もなく、AMラジオ音声だけがBGMのちょいレトロな店なのです・・・。
【真心こもったような・・・まさに、ほっとする一杯でんな・・・】
まぁ・・・こんな感じですからわりと時間がかかっても仕方が無いと思わざるをえません。でもそう極端な待ちはなく、着席して12〜3分程度では配膳してくれそうです。「おまちどおさま・・・」と小さく語りるように丼を配膳するお姿に、いただきますと、こちらも心からの言葉が漏れるというもんです。それにしても・・・・期待通りの「昔ながら」感がつたわりますね〜♪ レンゲを通して目で味わう・・・続いて舌で味わう・・・・そういう気分で背筋が伸びる思いです。
「柔らかい透明系な醤油ブラウンが・・・まるで靄(もや)のようでんな・・・。味わいもまるでそのようです・・・・。」
見た目と一口目のイメージがぴったり合いますね!まさにスープのファーストタッチはとても柔らかく、引っかかりが殆どなく、すーっとクチの中に広がりますわ・・・。崇高系ともちがう、レトロ系と片付けたくもない・・・・、実に基本形だけを磨き上げた究極系という風格すら感じますね・・・・。「基本的」と「研究熱心」・・・それに「まじめ」が加わったような、これは「愛すべきラーメン」だと感じ入ります・・・。
実に基本的に煮干し系の風味がひろがります。しかし、「寸止め!」ともうしましょうか・・・わきまえた所作がありまして、よくあるニボニボとは無縁かと思えるニボ・・・という背反がそこにあります。さりとてカエシが効いた・・・・という強く印象づけるわけでもありません。感じるか感じないか・・・・天然が生み出したアミノ酸がまるで見え隠れするようです。そして・・・・実はじわーーーっと鶏清湯スープのベースを感じるという構成ともうしますか・・・・、実はこれらが一体化していてキレイなのです。無化学調味料をうたわなくても・・・・体に悪いもん入ってまへん!という安心感も食べ手に与えてくれます。ありふれた言葉で言うなら「うまし!」と強く心に響きます。
※味のグラデーション:超!柔らか煮干し(えぐみ排除)>鶏清湯コクまろ>柔らかカエシ>昆布等アミノ酸??他
【徹底的な湯切りが印象的でしたね・・・】
湯切りが徹底的だったのがナイスです。ぬめりを徹底的に嫌うかのごときのしつこさで、ダボをこまめに上下にフリ続けておられます。これによってスープ風合いが雑にならずに済むし、麺の口当たりがストレートに響くのでしょうかね・・・、詳しくは分かりません・・・。ということで、茹でがまの中でせせこましき扱いを受けたその麺は、茹で上がった瞬間には手荒い仕打ちを受け続け・・・・、その後「丼」という小さい池に解き放たれます・・・・。店主が丁寧に「おつかれさま」と声をかけるかのごとき・・・ゆったりと姿を整えられながら・・・これまでの疲れを癒すように泳がされて・・・配膳にたどりつくわけです。では頂きます!とおもむろにすすり上げます・・・・
「あまえりの定番すぎる「クッシリ」感に・・・・表現するのもおこがましく思える!」
・・・・と言えましょう。表面のすべり具合が意外なほどグッドなゆえに、加水多めのつるつる麺かと思うところもあります。しかし、それは麺の表面一枚だけの話で、見分けがつかないほどな芯の部分は・・・・何気に「クッシリ」とした歯ごたえが残っています。ツルツルシコシコ麺というのが一般的なのでしょうね。しかし、アタクシは、麺のコシにあたる部分が、前歯でスパスパ感少なく、奥歯で柔らかくわずかにヌガーな感覚を覚えるため、シコシコではなく「クッシリ」と表現したいのですが、口うるさいだけか(泣)。
まぁ・・でもこの麺の品質がゆえに、「単なるレトロというか定番というか・・・そういうたぐいの東京の醤油ラーメン」と評価されずに済むポテンシャルはあると思うねんけどな・・・・・。
※麺の感覚:中加水の真ん中くらい、見た目以上にすべりがよろしく、見た目以上にややクッシリしているけど、粉感全くなし
※麺の形状:実は角麺(やや膨れ)、全く標準な太さのストレート麺、見飽きた風合いなんやけど・・・飽きのこない風貌(ワシだけ?)
【チャーシューまでも・・・・・一体化した味わい方】
このチャーシューまでもが、計算されたのごとき薄味系でして、淡い味わいのベクトルが、スープと同系統と申せましょう・・。アタクシの好きな「バラ肉ロール」なんですが、少々・・・・薄くスライスしすぎかと思うが、それがまたええかんじです。肉のくせに淡い肉味でんねん・・・・。
しかしそれでも、麺顔に占めるその面積とその存在感は素敵です。そしてメンマも色白で上品なコリコリ感!酸味の欠片もおまへん・・・。あとはネギ少々と海苔だけですが・・・これで十分と申せましょう・・・。
※具のおさらい:バラ肉ロールチャーシュー(薄味、大判)、メンマ(薄味数本)、ネギ(白小口切り&万能少々)、海苔
総じまして、西東京のラーメン事情が最近ますます面白くなって来た次第です。特に西武新宿線&池袋線あたりの名店巡りが特に期待がもてそうでして・・・最近まで無理だと諦めてた野心がまた、むくむくともたげてきたやないけ・・・と思う晩秋でございます。とくに、今回のお店は独特な商売気が素敵とも思え・・・・オヤジのオアシス感すら感じますわ・・・。自宅からは自転車飛ばせば行ける距離でもありますし、次回は塩ラーメンと心は固い次第です。なので詠います。
朴として
心を込めた
その一杯
スープの中に
香る人柄
お粗末!ということで合掌!今日も本当にごちそうさまでした。