「阿佐ヶ谷」は、個人的にはもう少しだけ頑張ってほしいラーメンエリア。でありながら、懐かしくもあるのです。ラーメン視線で言えば、「荻窪」という聖地が隣にありつつ、「高円寺」というそこそこの古参ラーメン密集地に挟まれているロケーション。東京へ再異動した数年前は、本当にここのエリアばかりを集中的にラーメン攻略しておりました。そのキッカケ、起点になっていたのがこちら「つけ麺所三ツ葉亭」さん。初めて東京で通い詰めた店かもしれません。その後いろいろと私のラーメン活動が広がりすぎまして・・・・随分とご無沙汰をしておりますが、約2年ぶりに訪問をいたしました。何となく、雨の夜・・・どこかで懐かしい一杯を求めていたのかもしれません。
【店:少し安くても質感変わらぬというところが、今さらながら有難い】
なぜここに通うことになったかというと、「①通勤経路であること」「②比較的どれも安くてコスパが高いこと」「③生ビールが安い」こと。こちらでは300円あたりでそこそこのサイズの生ビール一杯が飲める。「せい家」を知る前は、ラーメン屋で一杯するなら決まってここだったのです。久しぶりに来てもやはりこのビール提供があってよかったよかった!
では以前好きだったあっさりした醤油らーめんをいただこうかと思いきや・・・・なんとメニュー落ち!!!それは寂しいぞ・・・・とよくよく眺めていたら、名称が少しそれらしいものを見つけてそいつを今回はチョイス。それが「和出汁そば」。かなり「あっさり味」を和出汁と割り切ったようなメニュー名ですが、はたして以前とどんな感じかと、ちょっと変化が楽しみになってしまいました。
【スープ:あっさりさが更に磨きがかかり、何か吹っ切れたような感覚すら覚える醤油和出汁】
食券買ってしばらくテーブル席で呆然と待つ。私の存在感が薄いため、しばらく店主に気づかれなかったんだけど、慌てて注文を取りにいてひとまずビールで一息。雨の店前を通り過ぎつ人たちを眺めつつ、ぼんやりとしていたら・・・相当早く配膳が完了。おお!これは、以前の「あっさり醤油らーめん」のマイナーバージョンではなく、フルモデルチェンジですな!
<「あっさり」な個性に「円やかさ」が強まったような和出汁感覚>
穏やかな醤油カラーは相変わらず。また「あっさり」という個性もまた同じ。されど・・・明らかに出汁感が違いますな・・・。鶏ガラの出汁のまったりさとすっきりさ。そして醤油カエシの円やかさが以前より格段に上がっている気がいたします。そして、酔ったときの〆の一杯にも最適と思えるほどに、胃袋に負担がありません。ポカリスゥエットのごとくスルスルと胃袋に染み入ります。節系等の出汁も感じますし、岩のりトッピングから滲む風味で、和風にも感じますが、全体的には現代風の和出汁感かな。いやいや、「あっさりさ」がさらに磨きがかかった感じ。650円というプライスも値ごろ感ありという感じか。
<「たまねぎ微塵切りが甘くて薬味として相性よし>
思い出した!こちらは「フレッシュ玉ねぎみじん」がポットに並々とテーブルセットとともに備え付けられていてナイス。柚子胡椒もあったっけ?? この玉ねぎはなかなかいつも品質感もあり量もなみなみとあるので、かなり多めにいつも放り込んでいたっけ。今回もそれをしてみる。この玉ねぎがまた苦味が少なくて甘み感があり、スープに溶け込んでも野菜の甘さが広がって、あっさり味にさらに磨きがかかる。麺を平らげると、スープの具以上にプカプカ浮かぶのをレンゲですくって食うのもまた楽しいかも。
【麺:激変たるイメチェン!以前とは比較にならんほど・・・・でも「これアリ!」】
麺が180度変わったね。以前は太麺でややよじれ感があり、全粒粉が少し配合されたような和風麺。これが、極細マイクロバディ・ストレート麺に変化です。これは、ますます酔い〆の一杯に最適かもと思わせますね。
<イメチェン!極細ストレートで潰し込みがキッパリな麺>
当然ながら歯ごたえが全く変わる。多加水系のそれだけど、潰し込みがしっかりとあるというか、練り水の個性による締まりがあります。箸でリフトすると見事なまでにコマが揃ったように整列する。口当たりもよくスルスルと抵抗なく食えること請け合い。前歯で千切る感覚は、まさにクツクツ感そのもの。咀嚼すること自体がリズミカルに感じます。奥歯で束になったそれをプレスすると、見事に横ずれしながら端から順番に崩れちぎれる。最後にはクチリという断末魔のあとに嚥下して喉奥へと落ち入る。・・・・う〜ん、なかなか見事な極細麺の楽しみです。以前のも好きだったのだが。
<極細で凛とした舌触りで啜り自体が冷麦ライク、実に楽しい>
ま、そんな極細ライクで表面もツルツルですから、すすった感じはそばのようにズボボボーーっとすすれる。ツーーーーーってな感じで咀嚼無視して飲み込めさえできるような高速の滑り感です。なので、どこか冷麦にも匹敵しそうなどと感じます。あっという間に食えますが、替え玉システムもありとのこと。100円らしいです。
【具:変わらないのは、肉とメンマだけかもしれません】
懐かしく出迎えてくれたのは、肉とメンマだけかもしれません。
<何気なさにしっかりとした質感を感じる>
多少小ぶりにも感じるけど、肩ロースがなかなか醤油ダレ薄く淡いタレ味がじんわりとしみているような感覚。筋に沿って容易にほぐれる。汁もそこそこあってジューシーで歯ごたえ柔らかく、白飯にも酒のアテにも合いそう。そしてメンマはプチ材木系をしており、薄めの出汁がよくしみ込んでいる。歯ごたえはハッキリとしつつも硬いと感じさせない。なのでバリバリと食い続けること自体が面白くも感じる。これも酒には合うかも。
総じまして、「イメチェン激しくも本質は変わらぬ信頼の一杯」と言ったところか。そう言えば、関西から出戻って東京へ異動して来た数年前。今もそこそこしんどいけど、あのころはあのころで相当日々、仕事で悩んでおりました。そんなあの頃にハマッたのがこの店で、その後も激変だったけど、ちっぽけながら自信の欠片はつかんだかも・・・・。と今になって思えます。結果はともあれ、やれること以上にやったというプロセスは、今でも忘れない。ただ、誰でも簡単に成功する世の中も可笑しいもんね。これまで、しんどい日々のイメージが戻ってきそうで、この店を敬遠しとったけど、そろそろ拘りを捨ててもいいかもしれん。ずいぶんと趣向が変わった一杯だったけど、また食えてよかった・・・・。頭に白いものも当時と比べるとすごく増えたし、また新しいステージがやってきたかも・・・・。今回も、あの当時に負けんようにと願いつつ、なので詠います!
久しくも
年月を重ね
訪ね食う
変わり麺顔
我も変わりぬ
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!

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