実は思い出がとっても深い場所なのだ・・・居抜き開店が「そると」だったとは!?
- 実に穏やかな地鶏の煮出汁加減!ポップなイメージ裏腹で淡麗沁みる旨さなのだ!
- 全粒配合のクッシリさを残す麺!風味もしっかり感じつつ汁気の吸い込みでバランス良し!
- 名前由来のトリコロールの具材達が素晴らしい!特にレンコン好きには堪らん!
- 鶏肉チャーシューも実に優しい!控えめな存在感だが優しい味わいは泣ける・・・
- 総じまして「ハイカラに見えて和の質実さ!そして宝箱の楽しさ感じる特製とりそば!」
個人的な話を少し・・・。自分でもこんなにラーメンヲタクになるとは思っても見なかった。関西駐在時代にちょっとハマった程度で終わる予定で、特にまた東京に呼び出されて転勤した時点では、おとなしいタダのラーメン好きオヤジに落ち着くはずだった。そんなことにはならず、より一層ラーメンにハマりこむことになるのですが・・・そんな自分ではラーメンヲタクと一般人の隙間というか、エアポケット状態にいたときに、ハマった店がありましてそれが「つけ麺処 三ツ葉亭@阿佐ヶ谷」。
それがいつの間にか閉店し、代わりに居抜きオープンしたのが「鶏そば そると 阿佐ヶ谷店」です。すごく寂しい思いありつつ、近年全然訪問を忘れていた自分が少し冷たい人間に思えてなりませんでした。
今回は、ルンルン気分の新規開拓じゃなく思い出探訪でもありました。カウンターと小さいテーブル席の配置、券売機の位置やサイズも変わらず。ここで何度も生ビールを飲み干したことか。人生で一番仕事がうまく行かなかった年代であり、人生で一番忙殺されて苦いものを感じた年代で憂さを晴らしたのでした・・・。しかし代わりに入ったのが、あの下北沢の人気店「そると」の支店だったとは!。これは少し自分にはほっとするものがあるね。良かった店は、良い店に引き継いでほしいものだし。これも時代の流れか・・・・と感慨深い気分ですが、自分の身体は意識とは関係なく、猛烈にただ腹が減っているだけでした。
よし!ガッツリ食うぞーーーーと意気込んでみたものの、「すみません・・・今日はもう清湯系しかなくなりました」とスタフさんからアナウンスあり。ガビーーーンとショックを隠せませんが、ここまできたら仕方ない。なんとなく目を引く券売機ボタンがあったのでそれを押すのみです。それが「とりこそば」。食券渡して座ったら、隣の客が鶏白湯食ってた。何!!一足違いで食いそびれたのか。どこまでもオレを苦しめるぜ(笑)。
実に穏やかな地鶏の煮出汁加減!ポップなイメージ裏腹で淡麗沁みる旨さなのだ!
気が付かなかった、「とりこ」と「そると」があるのね。特製には二種類のがあったのだった。「そると」は分かるが「とりこ」はなんだ。鶏そばだから「とり」は「鶏?」。だったら「こ」は何だ!!!。ブツブツと声がもれつつ、考えていたのだが一向に分からず、カウンターにあるうんちく書きなどを眺めてすごしましたが・・・・分かりました。「トリコロール」の「トリコ」だったのね!。なにがトリコロールなのかと言えば「トッピングの色彩がトリコロール」を意識したとのこと。それも野菜系で。季節の野菜でトリコロールを表現するとのコンセプトで、これは阿佐ヶ谷店限定の企画なのだとのこと。店主のイタリア好きがこういう形になったのかは不明・・・、そんな一杯はこんな麺顔でした。
おおお!イタリア一色かと思いきや、和洋折衷のハイブリッド感覚が溢れる印象で、これは創作麺としてもちょっといい感じですよ。特にレンコンが良い!。オレは無類のレンコン好きな男なのだが、天ぷらだったら無限に食えるはず。レンコンのどこが好きかと言えば、「穴」だ。穴が旨い・・・・一体何を食っているつもりなのか?空気でも食っているのかと実家の兄貴にバカにされたものだったわ。今度の正月帰省で、今年のおせちのレンコンはオレが占領するつもりです。
そんなことよりスープの優しい旨さがすごい!。うんちく書きによれば大山鶏を丁寧に時間をかけて透明感を失わないように仕上げたとのこと。その代償としてとても上品な仕上がり極まりますが、「優しさ」と「繊細さ」に溢れるイメージ。なのでトリコロールなイタリアンの風よりは、俄然に和風そよぐ落ち着いた風合いが染入ります。
では和風か?と言えば否!。鶏肉の挽肉が浮いています。これは独身時代の自炊で、よく「なんちゃって」コンソメスープを仕上げる際に使っていた手法で、挽肉をスープの出汁にするのです。香味野菜などと一緒に煮たりしましたが、挽肉を煮るだけで肉エキスが深く得られる。絶対に沸騰させないのが条件です。エキスを出し過ぎると少し濁ったりしたっけか・・・・。そんな時はメレンゲを投入して、濁り成分を静かに吸着させ、あとは濾過して透明度を磨くのですが、そんなことに毎週末没頭してたから、婚期が遅れたオレだったのだった。
そんなどうでもいい個人情報はさておいて、さっぱり、あっさり、いろいろ表現のしようがあるけど、これは「暖かみのある淡麗鶏塩」と言うイメージ。さらにうんちく書きは、塩の産地にまでこだわり言及が続くが、そんなところまで分かるはずはないオレの駄舌でありましたわー。
ちなみに・・・・テーブルセットの薬味は活用すべし!。柚子胡椒がありますから、暖かみのある淡麗味から、一気に淡麗の風をふかせることも可能。実はこの味変化も捨てがたい!
全粒配合のクッシリさを残す麺!風味もしっかり感じつつ汁気の吸い込みでバランス良し!
「暖かみのある淡麗鶏塩」には、意外にも個性的な麺を合わせてきました。全粒入り・加水低め・ストレート細麺。店によっては濃厚煮干にあわせるスペックかも。しかし全体的に薄い黄色な感じが、鶏塩の方が合うかなと思えます。玉子麺なのでしょうか??。この違いは実に大きいか。鶏エキスが浸透するとナチュラルなクッシリ感と風合いが広がるのです。クッシリとした歯ごたえ。パツパツとした超低加水とは明確に区別できて、多少の汁の浸透も計算に入れたイメージ?。前半は風合いを楽しみ、後半は汁エキスとの一体感に優れるという二面性を感じます。
加水低めでも、麺が全体的にまとまるのですね。引き上げるとストレートさを崩さずすっきりと持ち上がります。汁の持ち上げとまではいかないものの、浸透ゆるし始めたクッシリした味わいは、刹那の旨みと言えましょう。麺好きには堪らん!。温度感覚もよいから、ゆっくりと汁が浸透してゆくー。時々、鶏の挽肉のかけらなんか引っ掛けたりして、一緒に奥歯で噛み潰すと、ちょっと面白い感覚も味わえます。ここは大盛りはなく替え玉制。鶏白湯の場合、多加水麺に変更になりますが、その場合でも替え玉は「低加水細麺」で提供するそうです。ひょっとしてスープよりも麺の方にこだわりが強いのかも。
名前由来のトリコロールの具材達が素晴らしい!特にレンコン好きには堪らん!
さあ!ある意味主役であるトッピング達。まずはトリコロールの赤を示す「赤パプリカ」ですが、想像しやすいように、フレッシュで優しい甘味が陽気に思える味わいです。現代の子供は、ピーマンが元々苦いなんて知っているのだろうか。今の子供は、パプリカと言うらしい・・・時代だね。これは正直言って普通に旨かったっすよ!追加トッピングしてフェラーリ・ロッソにしてもよいくらいに!。
次は白をあらわす「れんこん」これが既述の通り、ゾッコンに好きなわけですが、トリコロールにするなら「白アスパラ」の方が自然な流れ。コストの問題だろうがレンコンですがこれはナイス。なんたって肉厚なレンコンが3枚もあるんですよ!。しかも薄味煮つけも完璧。歯応え最高!追加トッピングして、レンコン尽くしにしてもよいくらいに!
最後に緑をあらわす「ブロッコリー」。温野菜感覚で食らいますが、茹で加減がいい感じ。この具材だけは日持ちがしないと思われ、仕込みの妙を感じるトッピングですね。日頃マヨネーズで食らうのですが、出汁に浸して食うのもこんなにアリなのかと、少し感心しましたよ。
鶏肉チャーシューも実に優しい!控えめな存在感だが優しい味わいは泣ける・・・
今回だけは、すっかりと脇役になってしまったチャーシューの存在感。鶏のモモ肉を上品に煮たタイプで、噛みしめると鶏の皮近くから滲んだ旨みが、優しくアッサリした味と一体化してます。肉繊維はとても柔らかくて歯をどうやろうと差し込んでも、ソフティーに切れ込むのが秀逸。そして後味もやさしく、どんな酒とでも合いましょう。旨し!。鶏の皮と一緒に食らうと一層旨いかもしれませんね!。
総じまして「ハイカラに見えて和の質実さ!そして宝箱の楽しさ感じる特製とりそば!」
・・・・という感覚かしらん。この一杯は、食い始めから最後までずーーーっと宝箱のように楽しめるのです。スープもいい!麺もそれに負けないくらい。そしてトッピングが旨い上に「楽しい」と言う趣向が見事。個人的にはレンコンが上手!。いい店が後を引き継いでくれました。ちょくちょくお世話になりたいイメージですし、今後も頑張ってもらいたい!。そんな応援気分で、とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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