【優秀な科学者が停滞期を迎えるのか?】
福島原発のトラブルは、原子力工学そのものの存立危機に思えて、非常に心が痛む思いです。といいますのは、僕の尊敬すべき先輩は、かつてこの学問に没頭しておりまして、彼の友人にあたる研究者とも仲良くさせていただいた経験があります。今回の事故は、原子力そのものの否定のような報道コメントもパラパラとあり、これまで未来を見つめて努力してきた科学者たちの汗が否定されたようにも思えたので、悲壮な気持ちになりました。少なくとも、今後数十年の間は、学術としては停滞するでしょう。この分野の優秀な科学者たちの未来を思うと、何とも言えない気持ちになります。
【絶対の安心はありえない】
安全対策が不十分だったのでしょうが、「絶対安心だ」という安心神話に、少しばかりの油断があった事実ですね。今、いろいろな分野で身を粉にして研究開発に没頭しておられる科学者の方には、今回の原発事故の教訓を重く受けとめてもらもらいたいと思います。【物事に絶対の安心は在りえない】ということを。
【学術的に停滞期でもやることはある】
そして今の原子力工学者も、非常にお辛いでしょうが、今回の教訓を是非、垣根を越えて原因究明をし、世界へ発信して欲しいと思います。まだ、世界には100を越える原発が稼動しているでしょうし、また、今後のあらゆる科学のための警鐘として。また未来の科学者のために、科学者の卵のために、徹底したノウハウを残してほしい。そう強く思います。
科学者としての仕事は、今は学術的に停滞であろうと、未来を創るという役目はまだいろいろある。浅はかな科学技術批判により、これら科学者の未来を無にしてはいけないと思いました。
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科学者という仕事―独創性はどのように生まれるか (中公新書 (1843))
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