そして味は愛するものに受け継がれる
「丸長荻窪本店廃業」の知らせには、衝撃が走りました。いつかそんな日が来るとは思ってましたが、いざとなると途轍も無い寂しさが過ります。継承問題かと思いきや、それなりに申し出もあったとの噂ですが、ここは矜持を示したということでしょうか。ともあれ青木店主長い間本当にお疲れ様でした!。いつまでもあの味忘れません!。
てなことで、本当にあの味はもう食えなくなるのかと心痛めておりましたが、思い直すと最近都内でインスパイアやオマージュしたと一杯をポツポツと見かけるようになり、それはとても嬉しい傾向。その中でも一番再現度が高いと言えばやっぱりこちら「でき心」さんと思われます。他の丸長暖簾分けもありましょうが、独自なアレンジも見受けられる様子。その一方で「でき心」さんは、荻窪丸長をブレずに再現したようなニュアンスです。前回訪問時に、荻窪丸長意識してますよね?ってスタフに尋ねたら、やっぱりそんな感じだったしー。ただ直伝では無いらしいし、また直伝でないなら再現力はむしろすごいセンスだと思う次第です。ともあれどんな形でも味が継承されることは嬉しいですね。
<サッポロ赤星> あゝやっぱり泡立っちゃた・・・でも図太い苦味と仄かな清涼感!後口の仄かな甘味!
実はつい先日まで、ご店主が大怪我をされたとのことで休業。再開2日目に訪問ですが、休日なのもあって老若男女で店内待ちができるほど人気です。存在感出してる。3ヶ月以上の久しぶりの訪問ですが、サッポロ赤星の他にキリンラガーとアサヒスーパードライも備わっており、さすが居酒屋母体という感じです。
さすが麦酒の冷え具体がナイス!グラスも冷えてる。前回は小ぶりなグラスだったが、今回は居酒屋営業のグラス。このグラスは、サッポロオフィシャルのグラスとほぼ同形状で、実は個人的には苦手。単に下手なのだがこのタイプはどうやっても泡立ってしまうのです(汗)。ま、そんな泡立ちでももろとも喉に流し込むのが楽しいわけで、最後まで泡立ちを味わう。ビールの泡が好きと言う方なら共感いただけるかと!。
<メンマ> 薄味でさっぱり!素材の味わいと出汁の甘味がしっかり伝わるレトロな味わい!
実は注文したのは「チャーシューメンマつけそば」。その「メンマ部分を別皿で先に提供」してもらい、それをビールのアテにしたという寸法です。なので注文からメンマを外した格好になり、この板のメニュー名は「チャーシューつけそば」と改名した次第。ちょっとだけクレバーな対応でしょ?
さてそのメンマだが、前回訪問では分からなかったが想像以上にさっぱり系でフレッシュさを感じるほどの味わいでした。荻窪丸長とは違う感覚で、柔らかい仕上がりであるもののサクサクと歯切れよく噛み締める感覚で、そこに素材と出汁の旨みと甘みを感じる様子。フニャッとしつつ濃口醤油出汁が染みたってタイプとは違いますが、これは薄味のようで旨みがしっかりと感じられ、とても赤星にはマッチしたのに驚いた!。多分今後、ここに来たら必ずこのパターンを続けると思いますー。
<全体> 圧倒的な細切焼豚の山盛り!隙間から濃ゆい醤油ダレ!思わず微笑む優しい中太多加水麺!
やっぱり分かっていたとしても唸る。荻窪丸長の再現度がハンパない。その廃業直後だから余計にそそる。いや有り難みすら覚えるようです。何と言ってもレトロでノスタルジー!そして細切焼豚の迫力!。この肉量がハンパなく、完全につけだれに蓋をしており、肉をやっつけてからでないと先に進ません!と宣言しているかのようです。また隙間から覗けるつけダレが丸長のつけそばと言えばやっぱり胡椒。じっとりとした醤油色のタレの上に、降り注がれているのが良い感じです。
やはり今回も丸長オリジナルなのか?はたまた直伝?免許皆伝?と見まごうような再現力でございます!?。居酒屋の変形昼営業のレベルではなく、この単品メニューでやり通せるのじゃないかとも思うほどです。
<チャーシュー> 笑う程つけダレからはみ出る豚ロース肉材木切り!タレに沈め吸わせ味わいを噛み締める!
この肉をやっつけてからでないと先に進めぬ。だから麦酒は少し残しておくべきです。だってビールのおつまみとして最高なんだもの。タイプ的には、昔ながらの煮豚タイプ。分厚めスライスとそしてカットで割り箸より2回りほど太い材木カットという感じです。そしてきっちり揃えられてるのが真骨頂。
これぞ荻窪丸長のチャーシューつけそばたる姿です。部位はロースで多少スカッとした感覚がむしろ良いね。赤身の肉味をシンプルに感じる味わいな上に、つけダレに沈め吸わせて、噛み締めて味わうのに最適!。
しかし、麦酒だけで全部つまみとしては食い切れんので、麺皿に移動させましょう。そうでないと、いつまで経ってないもつけダレが現れず、麺を浸すことができないから。
<つけダレ> 甘酸っぱさにややパンチ感じるほど濃ゆい!豚エキスと魚介系の甘み!そして酢と胡椒が効く!
見栄えだけじゃなく「荻窪丸長」を感じるのは、このつけダレです。豚と節や煮干の甘みに、醤油のカエシと酢の酸味が、多少ワイルドなバランス。スマートなバランスも好きなのだけど、やっぱり個人的には荻窪丸長はこのインパクトだと個人的に妄想と思い込みをしております。思わずこの味わいで再現力というワードが思い浮かんだ次第です。
そういったややワイルドなパンチ力がある味わい。ぎりぎりにライトな醤油つけダレの分類か?。それと胡椒の振りかけと溶け込みが、オマージュっぷりを更に感じさせます。もう少しやりすぎか!?と思わせるほど振ってもいいかもしれません。とは言えやっぱり豚肉と野菜が丁寧に長時間煮込まれた感じもナイス。微妙に乾物の旨味も溶けており、節一方、醤油の塩気と胡椒の刺激も大切で、その塩気と刺激が、甘酸っぱい味わいと絡み合います。だからこそこの甘酸っぱさと胡椒の妙に懐かしい刺激の共存するようです。
<麺> ツルツルモチモチ中太多加水麺!甘酸っぱい醤油ダレに濡れ胡椒を貼りつかせツルツルと心地よく滑る!
荻窪丸長って自家製麺だったっけ?。確かめようがないが麺箱と中の保管状況を思い出すとそんな記憶です。茹で釜にご店主が大量の麺をドバドバドバドバーーーーって放り込む大胆さが思い浮かぶ。そんな麺までもよく似てる?再現してる?と思われ、この店の開店の際に、製麺所とどんなスペック合わせをしたのかが興味深いですな。
練水が浸透しナチュラルな乳白色合い。無造作に散らばった刻み海苔が、ノスタルジー感を高める様子。流水で締められたとは言え、麺の密度は高くなく、むしろもちもちと弾むような歯応えです。まずはつけ麺系を食う時の流儀で、そのまま食らうが、瑞々しくその中に仄かな甘みが潜むという感覚。
そしてつけダレに浸すと濡れて表面に貼り付く。それに伴って胡椒も貼り付く。ズボボボボボーーーーっと啜るととてもライトで喉奥まで到達。慌てて噛み締めるとモチモチとした食感がいいね。奥歯でクチリと潰すと、柔らかい麺の風合いに、甘酸っぱいタレが絡む。そして胡椒の刺激がじわじわとやんわり広がって旨し!。更にチャーシューやらメンマと絡めると格段に良い。麺皿に一旦引き上げたチャーシューを再びつけダレの上に召喚し置き直し、麺でチャーシューを絡めて食らうべし!。
<スープ割> 熱々の魚介出汁で割る!胃袋だけでなく心まで温まるほっこりした旨さが広がる!
スープ割をコールするとブーメラン形式で返されます。これが超熱々なのでご注意を。でもそれが良い!。割った出汁は魚介系と思われ、煮干も感じるが節系も深く染みるような味わい。なので実にほっこりしたお出汁の味わいが広がります。胃袋が温まるって感覚。そして胃が温まるとじわじわと精神も和らぐようで、実にほっこりとさせる食後感を演出する様子。
総じまして「丸長愛をストレートに再現??令和に伝える昭和ノスタルジックな旨さ!荻窪から吉祥寺へ伝わる?」
・・・・と言う感動の嵐!。荻窪丸長の廃業で心痛めておりましたが、こちらのこの味でかなり癒して守られてありがたし!。むしろ希望を感じます。この味続けていけば、この後立派に新たな系譜になるかも。ゆっくりとサイドメニューも増えると更に嬉しいです。これから良い店になる予感!。やっぱり疲れたらこういうノスタルジーな一杯がいい感じ。レトロな旨さとその一杯!激しくオススメ!旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!