思い出深き・・・昆布水つけ麺
私が初めて「昆布水つけ麺」に遭遇したのは、調べてみれば何と2011年の大阪。今は亡き「TSURUMEN 大阪城北詰店」でした。大阪転勤でして3年間と言う辞令があれよあれよと10年続き、その大阪の地でラヲタに目覚めてしまったのでした。当時はまだつけ麺は、大阪ではあまり定着化しておらず、玉五郎が豚魚つけ麺としてそれを牽引していたような記憶です?。本当に楽しかったなー・・・初めてオフ会なんて参加して緊張したりして。
そこから今では考えられないけほど、大阪ラーメンは本当にそこから10年で進化したと思います。そんなニューウェーブがやってくる前時代にこんな場所で、突拍子なく昆布水つけ麺を出したのが実に衝撃的だったっけ。つーか、問題作として捉えていたかもしれません。その当時の拉麺活動でお世話になった方々・・・お元気ですか?そして令和5年、三鷹駅北口界隈の店で、当たり前のように昆布水つけ麺を食らう。
<全体> ローリングする麺の美しさ!ボリューム感!間違いないと確信させる旨さつけダレの迫力!
おおお!つけ麺の美しき迫力ですな!麺は整えられて大きくローリングした盛り付け。これが「健やか」のつけ麺って感じですよ。昆布水に浸され太極を表すシンボルマークのような盛り付けにも感じる。いや・・・枯山水の庭園の様にも感じるか。今回は麺大盛だったから美しさより、ボリューム感の方が支配的ですがね。
一方のつけダレは漆黒とも褐色紫とも思える醤油感。以前は魚介系のエキスが浮く様な感じもあったが、割と動物系のエキスが漂う様な煌びやかさがありなむか?。少しづつ変化させてる感じですね。またトレーの中央に配する2種チャーシューは、一気に現代的な風貌で艶やかさがこの上なし!。一枚のトレーに、ただ整然と並べられただけですが、一つ一つに迫力が半端ない!。そして「宮古島の雪塩」がいいね。つまり麺と塩だけで十分に食わせる演出が憎い。
<つけダレ> 鶏に牛のエキスが加わるコク深さ!生系醤油のブレンドに貝エキスも浸透!旨さじんわり!
元々塩得意のお店だという認識ですが、つけ麺では醤油がメインです。その醤油ダレは、「たまり」「再仕込み」などブレンドされた「生(なま)醤油」とのこと。とにかく塩気・カエシの輪郭がとても円やかさで、味わい濃ゆいがそのままでもグビグビと十分に飲み干せるレベルです。
基本的には鶏醤油系?いやいやそれとも違う複雑さのようでスッキリしたニュアンスです。鶏油と言うより、鶏全体から滲み出た旨味というバランス感覚がいい感じ。それが、天然醸造の醤油味とすごくマッチします。蘊蓄書に夜と更に牛エキスが溶けているとのこと。なるほど!そこが動物系の芳醇だが高いのに、妙に軽やかに感じる旨さと言うことか!?。
そしてやっぱり貝出汁の溶け込みがいいね。開店当時は、ホンビノス貝バリバリに効いた出汁が印象的だったけど、近年は全体的なバランス感を重視したような進化ぶりでしょうか。魚貝の出汁が後半になると滋味として効いている様に感じます。
<麺> 昆布水に浸るストレート細麺!嫋(たお)やかに纏まりつつ品やかな表情!甘味が映える!
結い髪の様なまとまりですな。貝割れ菜が髪飾りの様な感覚。それにしても最近つけ麺を食ってないどころか、訪問が久しいので変化が面白く感じました。以前は、もっとカタ麺を主張するイメージで、つけ麺では多少抑えた感じだったとは言え、歯応えと風味のよさが主張してたかと?。今の最新バージョンでは、少しボイルに時間をかけ品やかさを意識した仕上がりに変化してる様です。
とは言え汁系よりは歯応えと風味のバランスがとてもナチュラルで食べやすい。浸った昆布水が、麺を濡らして湿らせその混じり合った風合いで盛り上げます。昆布のフコイダンでトロトロ過ぎることもなく、ややさらっとしてる。昆布のグルタミン酸が麺の旨味と交わって更に旨し!。
つけダレに浸すごとに、つけダレにも昆布エキスが徐々に増す。それが昆布水つけ麺の真骨頂です。つけダレに浸すと、麺が一気に緩み出して透明感が高まります。麺が汁に浸透される・・・と言うより、周囲の昆布水がつけダレで昇華!新しい旨味の衣を纏って麺に再び絡みつくような味風景。この繰り返しですが、昆布水の濃度がゆっくり高まると並行して、味風景も同じでは居られない楽しさです!。
<藻塩> 塩気に海藻の旨味深く・・・麺に貼り付き更に甘く感じさせる!
薬味は麺のためにあります。麺に直接付けたりふったりしてみましょう。さて藻塩。土色みたいな粗塩に見えますが、これはもちろん土じゃなく「海藻」の反応。海水のミネラル分の旨味の他に、海藻自体の旨味が滲んでいるので、非常に味わい深い塩。大切に味わいましょう。
結論として・・・藻塩だけで一杯まるッと食えそうな旨さ!。もちろん人さじじゃ足らないが、もともと出汁っぽい味の昆布水。そして甘味ある麺。それに少しばかりの良い塩があれば、旨さは成立!。塩気に海藻の旨味深く・・・麺に貼り付き更に甘く感じさせるのです!。
<チャーシュー> 豚鶏2種の低温調理肉!滑らかさの中にハードな歯応え!つけだれに絡めて旨し!
ちゃんとつけダレ底にに豚鶏2種チャーシューが潜んでおります。デフォルトでも味わえる豚鶏チャーシューは、器の収まりが良いように多少小さくカットされてます。つけダレの温度と旨味が浸透しているだけに、淡麗さと豊潤さが両方味わえる感覚かと。二面性の旨さです。
そして別皿の肉。豚肩ロースの脂身と赤身が美しい入り乱れをタレに入れると・・・反物のような美しい文様を浮かび上がらせて行きます。熱で脂身は一層蕩けて甘味を増すと同時にコクが増える。そこへ醤油ダレの風合いが結合するので、間違いのないテッパン級の旨さ!。
更に鶏旨肉のコンフィ仕立て。上品で淡白な風貌ですが、とてもしっとりとしてながらも旨みが詰まった様な淡い歯応えを表します。まるで上等なハムのよう?そんなゴージャス感が味わえます。ビールの共に食らうと最高かと。ま、仕事が残ってたので今回はつけダレに浸してのみ堪能し尽くしました。
<味玉> ブランド変えた?全体は薄出汁が深く浸透するしつつほっこり味わい!ルージュの様な濃ゆい卵黄がコク深くマチュアな味わい!
見栄えは記憶の通りで、優しくもとても淡い茶褐色。そこに薄出汁の穏やかな浸透が窺えます。かなり上品な仕上がりで白身をかじりますが、白出汁が浸透し一体化したようで甘く旨い!。その仕上がりフルフルと震える柔らかさも保っており、噛まなくとも舌の圧力で崩れます。
ところが卵黄。色合いにまず魅了。こんな鮮烈的な濃ゆい色合いだったっけか?しかもトロトロしております。ベースは薄味のようですが、色合いに舌がバグったのか?とても濃ゆいコク深さもあるように感じます。なんとも例えようがないあっさりとしつつ濃ゆい味わいかと??。流れからちょっと遊び心でつけダレにも浸して味わいますが、醤油つけダレの旨味に負けず受け止めて味わい深し。
<昆布水割り> グルタミン酸が反応する旨さ!フコイダンが醤油に溶けて更に化ける旨さの高まり!
思い出深い「昆布水つけ麺」。初めて食した衝撃を覚えます。鶏豚にはイノシン酸。ほのかに溶ける貝出汁にはコハク酸。昆布水にはグルタミン酸。旨さが溶け合い化合して旨さを高めます。残ったつけダレに昆布水をゆっくりと流し込み、割スープ風に仕上げのが楽しくてなりませぬ。
やがて霞がかった汁となり、緩いとろみを纏って滑らかに仕上がる。それをゆっくり味わいますと、じわじわと細胞に浸透し、心を潤す様な旨さに昇華です。
総じまして「麺線とタレ色合いを目で味わい食って心を潤す旨さ!官能的崇高昆布水つけ麺!」
・・・と言う感動の嵐!。久しぶりに食って進化を知りました。カウンターには味変化アイテム一切なしの潔さ。そのままが味の完成系です。タレ、具材、麺、昆布水割り・・・どれをとっても付け入る隙間なし。とにかく絶対に食って損なし・・・JR三鷹エリアに来たならば、是非とも激しくオススメ!。旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!