関西から就職のために上京しても住む場所が落ち着かず、しばらく経って住み着いたのが「祐天寺」でした。私が若いときに東京ライフを謳歌した思い出深い街です。本当に狭くて美しくない下宿だったけど、友人もよくやって来ては酒を酌み交わしたしたっけな〜。近くの定食屋には通い詰めたし、コーヒーシップもカレー屋も理髪店もすべて懐かしい。昔むかし、東京に記録的な豪雪があって、駅前ロータリーの商店の屋根が雪の重みで潰れてしまったっけ・・・。直したのかと思ってたけど、そのまま撤去となったようです。さて今回訪問した「来来軒」は、一度も食ったことなかったのです。初めての実食。当時は、飲む金はあってもいいものを食おうという気持ちが薄かったのもあって敬遠してた中華屋でした。
訪問時、先客7〜8名程度。でも割と大きな店箱で、お一人様用お大きなテーブル席とグループ用の小テーブルがいい感じで配置。明るい店内で和やかなでゆったりした雰囲気。小さな子供連れの家族がお食事していてとても微笑ましい。その近くに通されて、狙っていた「エビあんかけソバ」を注文いたしました。ガラスコップのお冷でなく、ちゃんとゴブレットに注がれた冷たいウーロン茶。ちゃんとしたおしぼりとセットというのも、いいもの食べに来たという気分にさせます。
【スープ:王道の鶏ガラ清湯に・・・仄かな野菜の旨味が滲み、あんかけでパッケージング!】
<中華系あっさり鶏ガラスープの王道に、野菜の甘味が濃く滲む>
「エビ」「あんかけ」「ソバ」。聞くだけで旨い。しかし、最初に旨いと感じたのは「鶏ガラスープ」だったりして・・・天邪鬼な私です。でもベースの清湯スープが美味い店は、どの料理も旨いと言うじゃありませんか。そういうところ、キッチリと押さえている感覚が「長年、地元に支持された中華屋」という貫禄を感じます。まさしく王道のベーススープ。ちょっと寄り道して良かった気分です。
しかも憎いのは、そこに野菜のエキスがふんだんににじみ出ているということ。元々、引っかかりが少ない鶏ガラベースに、野菜の旨味がにじむ。優しく染み渡る感覚が最高潮という感覚でして、穏やかなスープの味わい表情に反して、食べ手の私は興奮のルツボだったわけ。しかも、基本的に本格中華屋ですから、あんかけ野菜炒めの質感が良く、エキスも芳醇という感じです。本当にあっさりという感覚が濃ゆい。
<あんかけ緩く、塩気を感じさせない、旨味と感じさせる>
メニュー名キーワードの中で、一番心に残るのは「あんかけ」ですが、実はとてもゆるい感覚のあんかけ。汁そばに少し粘度がある程度で、少し濃いめの鶏白湯程度の粘度と同等です。しかし、それが基本的に汁そばキープ感があって、説得力を感じる部分でもあります。
さらに気に入ったのは、その「塩気」。いや・・・・ほとんど感じないので「旨味」と言い換えたいほどの塩気がナイスなのです。これは、野菜エキスの影響も濃い?。 だけど、妙に塩っぽい味わいにしなかったところが、旨味として活きているようです。野菜以外にもエビの魚介エキスも大切ですからね・・・・・、具財の染み出す味わいがしっかりと映し出されてる。塩気と旨味は紙一重です。
【麺:極細でとてもまとまりやすいストレート角麺!汁餡の持ち上がりも最高!】
<極細ストレート中華麺!優しいクツクツ感が楽しい>
中華屋さんとラーメン専門店。麺を比べるとどことなく専門店に軍配が上がりそうな先入観がありますが、いやいやどうしてどうして!極細ストレート角麺が、実にナチュラルな風合い!。前歯の当たりもどことなく優しいクツクツっとした感覚です。芯を感じるほど明確でないものの、前半ではねり水の反応と、潰しこみの良さを感じてしまうかも。とにかく、細麺なのに全体的に熱ダレで頼りなくならないところが良い。奥歯でのプレスの際でも、キッチリとコマが揃ったか、髪がまとまったかのような整然さです。口の咀嚼へと放り込まれても、順に隊列よく千切れていく。極細中華麺って、実はいいかも?見直したかもです。
<あんかけで引っ付き合うようなスベリ心地>
緩いとは言え、「あんかけ」は麺には少しばかり影響があります。麺同士がまとまり合う、引っ付け合うような感覚。なので、極細麺をつーーーーーっといつものように啜り上げようとすると、一部固まりとなって、ズコッと口内に入っていくことしばしばあり。
では、あんかけは、啜りでは邪魔か!?といえば、決してそうではありません。やや、もつれ合った部分をそれごとハグっと口に入れ、舌べろと前歯で多少強引ですが、千切れる雰囲気はあります。
【具:やはり本格的な海老の「身」は旨いのです!】
<本格中華のしっかりエビは、やはり美味い!>
最初の麺顔でのエビアピールが低いのですが、下に沈んでいただけでした。エビチリで出てくる大振りなタイプでして、身の食感がプリっとしているだけでなく、プツリ!とはじけるような最初の歯ごたえが印象的。そして塩薄味にピッタリとくる海老の白身の淡泊で上品な味わい。海老味と言えば、甲羅部の香ばしさがイメージ先行しますが、すっかり身の旨さを忘れてました。記憶では6匹は投入されていたかな・・・。いや〜ちょっと海老の旨さを再認識してしまいました。
<野菜炒めも本格派、歯応え香り申し分なく!>
中華屋のしっかりとした野菜炒めです。炒めの油感がとってもサラリとしている上に、食感のレベルが違いますね。シャキシャキっとしている度合が最高なので、単に麺類トッピングという枠で収めるのが勿体ないほど。白菜もシャキシャキで、青梗菜の根に近い部分も青さを残す香りがまた旨し!マッシュルームのヘナヘナ〜っとしたところが、またご愛嬌。さらに・・・・ハムまで炒めてあるという遊び心。これなら、方焼きそばが旨そう!!
総じまして、「馴染みの街でご馳走中華麺!」というそのままの感覚ですみません。この店の雰囲気と味わいなら、ちょっとした週末に家族で外食ってのにちょうどよいかと思えます。しかも、満足度が高い出来栄えと広い店内。温かみのある接客。嗚呼、やっぱり東横沿線、目黒区っていい街だよな〜・・・。特に、祐天寺が好きだぜ! 懐かしついでに、昔住んでいた場所まで足を延ばしてみたら、すっかり建て替えられて高級マンションが建っておりました。時代は移ろう・・・。なので詠います!
懐かしき
上京間なしの
狭い部屋
金は少なし
夢は多かり
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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