一般にはあまり知られていなくとも、地元では知る人ぞ知る。しかも奇をてらわなくて、真面目なお店。そんな理想的な店がいいね〜。などと考えつつも、このお店にはそんな感覚ある気がします。冬の穏やかな昼下がりに、カウンター8席程度のお店は、丁度満席状態ですが、行列店のようなプレッシャーもなく、店も客も穏やかな雰囲気に包まれています。まさに、その雰囲気を映したかのような中華そばをいただきました。
【スープ:ほっとするお味とはこのことか!?煮干しと仄かさとかつお節のはんなりさで・・・和む】
それにしても配膳の瞬間は、心の柔らかいところを鷲掴みするかのごときの麺顔であります。これを見た瞬間に、私は無抵抗状態で、否定的に受け止める術を失いましたわ・・・・。大衆的な淡麗醤油のライト煮干しは、これまで幾度も食っておりますが、それに近いニュアンスと・・・どこか明るく華やいだ部分も感じます、このライト系なブラウンには。
味わうと、確かに醤油薄めのライト煮干しと伺えます。そして苦みよりも甘さを主体とした構成であり、ゴクゴクと最後まで飲み干せる系です。動物系のコクとしては、豚肉の丁寧な煮出しが感じられ、重くありません。それでも満足感を感じるコクを感じますし、胃もたれとは皆無な仕上がり具合がまたグッドです。
しかし、かつお節が煮干しを邪魔せず、うまくコラボしているのが実に気持ちよいです。最初は、煮干し自身の甘さとか香りかなと感じていたのですが、どこかベクトルの違うコク風味を感じる。旨味成分も別のものを感じます。煮干しの腸系を完全に取り除いても、そこからこの風合いが発掘するようにも思えず。やはり、これはかつお節のコラボによるものでしょうな・・・。煮干しとカツオ節のバランスも程よい。また豚肉のエキスとのバランスも言わずもがな。実に三位一体として華やいだ中に、より落ち着きを感じるのですよ〜。これでほっとさせられる優しい味わいと感じ、思わず既に春に思いを馳せる・・・。パステルカラーのようで質実な煮干しスープに地元愛を感じる。・・・とまあ、そんなスープ感覚です。
【麺:多加水系ストレート細麺・・・・しなやかな全体感と、クチリとした歯応えが和む】
多加水のストレート細麺。そしてとても、しなやかで穏やかな風貌です。これらの点はスープの方向性とすごくマッチしていると思えます。よくある構成なのですが、どことなくオリジナリティーを感じるのは、やはり「自家製麺」というところでしょうか。つるつると楽しんでいこうという多加水系のはずが、どことなく貼り付き重視と感じさせるしっとりとしたと言うような落ち着きさを感じます。
前歯の千切りは、微かな弾力とともにスパスパと軽めに切れ込み、最後のタイミングではプツリとした感覚を残す?といった記憶。そして奥歯えでの咀嚼においては、クチリクチリと、束になっているのに一本一本の淡い反発を覚える。そんなすり潰し感です。
全体的には、一気に定量をズボボぼーっと啜り上げる、のど越しにはしっかりとは余韻を残さないけれど、啜り上げる前後と、前半の咀嚼の印象が、しなやかさを感じさせてとても深いといった具合です。
【具:もはや・・・・ロースかモモか分からんほどにスムージーな豚肉の柔らか繊維質】
ちょい薄めなスライスなれど、大きめな具材。それは、箸でリフトすると自重で崩れ落ちるほどに柔らかさですが、スープを相当吸い込んでいるスポンジのような役目をしています。この煮干しとカツオを吸った豚肉が・・・・実に筋繊維のスキマに入り込んで、柔らかい旨味を垂れ流します。繊維が解けてもはやスープに溶け出しているのではないか?とも思えるほど。スープ製造段階でもそうとう貢献している豚肉ブロックなのかも知れません。醤油ダレの染み込みはそれほどでないと思えるのですが、塩梅的にはちょうど良い。
メンマは、クニャリとした感覚一辺倒なれど、くたびれた感覚はない良い仕上がり。海苔は、スープに貼り付くと一気に崩れ落ちるようにペタペタになるけれど、それはそれで、悪くない感覚。
総じまして、「このエリアで住んでいたら・・・ストーカー級に通いの店になっていたかも?」と思えるくらい、ツボに入りました。毎日でもつき合える気軽さと品質感がいい感じで同居していますからね・・・。
街は年末気分で熱病のように盛り上がっていますが、そんな駅前にあって、落ち着く店内。BGMもなく、久しぶりに心の静寂を得ましたな・・・。なので詠います!
年末の
ジングルざわめく
街角に
ひっそり佇む
煮干しの一杯
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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