脇役が主役を食う。よくある話ではありますが、よく考えてみると主役が引き立つのは脇役があってのこと。これもよくある話であります。そういう風になりたいな・・・と感じるのは、私の図々しいところであります。長年、色々なスタフ業務、企画業務を続けさせてもらっておりますが、そういう縁の下の力持ちになりたいと思いつつ、表に出たいという衝動もかられるのは本能といったところか。ま、今度の新しい仕事でなにかいいことしてみたい・・・・・。
・・・・などと考えながら、この日は、帰り道に腹が減りつつも誘惑が多い新宿・中野・荻窪で途中下車することもなく、狙い通りの「西荻窪」に降り立ちました。随分とご無沙汰しておりました「睦月」さんへの訪問のためです。こちらの仕事ぶりは、かなり個人的には琴線にふれるほど気に入っているのです。それにしては訪問数がそれほどでないのは、ちょっと駅から歩くからかな・・・・。
店内には少し小さめな音量で、良い音質のクラシックが流れるのだけど不自然感がない。クラシックは学校で習った程度しか知識はないのだけど、この日はガーシュインっぽいのが流れていたような記憶・・・。店内は半地下になっていて、潜り込むような感覚でどこかここだけ別世界といった雰囲気もいいかもしれません。家族で訪れても明るい店内なので問題なしでしね・・・・。さて今回は、大好きな定番の中華そばでキメたいのだが・・・・、ちょっとトッピング贅沢してみた。ところがそのトッピング(脇役)が、主役を食ったような出来映えだったのだ・・・。
【具:トッピングでただただ・・・唸るばかり・・・・今回は、メンマと薫製たまごでノックアウト!】
<メンマの質感にぐうの音も出ないほどに・・・ハッキリ言って旨さに参った!>
何となくメンマトッピングを注文したのだが、こんなにメンマ一つで感動するとは思いもよりませんでした。配膳の瞬間、まず目に飛び込んでくるのはメンマの山。それはまるでKAPLAのように積み上げられた飾り付けで、こちらのご店主らしい立体的な盛りつけであります。そして何よりもその漆黒の色合いがまた艶やかで、更に香ばしさを誘う・・・・そういったこれまで個人的には未体験のメンマがデデンと存在するのです。
それは、まるで「輪島塗」のように艶やかでそして色鮮やかな深い醤油色であり、明るさがあるのです。醤油ダレに深く味付けが染み込んでいるのは間違いないにしても、所々の端に焦げ目が見受けられ、炒めの処理を潜って来たような「できたて感」がほわっと感じ取れるのです。そして味わいますが、ちっとも醤油系の塩っぱさはなく、むしろ醤油の程よい香ばしさを感じて、食がビシバシと進むという感覚。メンマで白飯何杯でも食えると思えるかも。その一方で酒のアテとしても最高で、いい焼酎がこれだけで軽く一本空いてしまうと思わせる質感があります。
また歯応えがいい!実にいい!!基本的に短冊切り特有のクニャリとした感覚がやや全体的にあります。ですが、炒め(たのかは知らぬが)などの処理を通り越えて、外固なニュアンスを醸し出し、二段階にパリパリと感じさせるのであります。しかも量もあるほうで、それもそのはず250円というトッピング価格。でも値ごろ感が実にありまして、こちらを伺う際は、ぜひとも食していただきたいトッピングであります。もともと、本格中華の技でこういうメンマ技法はあるのでしょうが、私は未体験!実に感動!このトッピングだけで。
<薫製たまご・・・予想を遥かに越えて旨し!黄身よりむしろ白身が主役であります!>
普通の味付けたまごもあったのだけど、隣に「薫製たまご」とあるから何気なしに注文してみただけの話。しかし・・・メンマに引き続き、これまた旨し!と感動ものでして、感動に二連ちゃんでもう冒頭から目眩がしそうです。何のことない・・・スモークの味わいとその風味なのですが、新幹線のワゴンサービスで購入する薫製ウズラの100倍は旨いですよ!薫製度合いが豊かでして、噛む瞬間から、鼻孔をあの芳醇な香りが駆け抜けます。まさに鼻全体が薫製釜ですよ(笑)。しかも、味わいとしてもしっかりと薫製の風味が移っておりまして・・・・これまたマッタリとしている。
味玉をこれまで何百個と食して来て・・・・黄身を越える白身の味わい・・・というのは初めてです。私が個人的に冒険しなかっただけの性格かもですが、この薫製味玉もぜひともこちらのお店に来られた際は、トライしていただきたい。尚、黄身の説明がおろそかになってしまいますが、黄身としても申し分ないジェル状のトロトロ感覚。ベースの味付けたまごのつけダレ染み込み具合が最高です。この最高の黄身と、薫製で燻された旨い白身が合わさった・・・と考えていただければ、旨さの具合が伝わるでしょうか・・・。
<ロース肉チャーシューがとどめだ!>
この時点で冒頭からトッピングでノックアウト状態。その上にまだまだあるある・・・王道のチャーシュー。もともとこちらのお店自体が、中華屋というか、ラーメン店という雰囲気よりは、料理店といった雰囲気もありまして、ハイセンスな仕上げが特徴的なのです。そんなハイセンスを縦横に織り込んだような質実なるチャーシューです。ポークと言った方がいいのかも(笑)。スポンジのような柔らかさと歯応えなのだけど、スカスカっとした感覚なく、一面ジューシーと思わせる仕上がりです。大きさも丼四分の一弱の大きさも納得ですし、分厚さもかなりある。これなら、追加チャーシュー400円は納得プライスだなと思うほど、高級感も醸し出す仕上がりです。醤油ダレにつかった感じもありますが、どこかスッキリとしている浸透感。もはや・・・トッピング祭りであります。
余談ですが、青菜として小松菜という選択も実に良い。サッパリした苦みがスープと具とのバランスとよく合っている。よく見ると、配膳時にメンマの上にかぶさっている葉は・・・半生のような軽い熱の通しであります。この生とも判断つかない熱のテクニックが非常に感心すべきところ。野菜トッピングも実はオススメで、野菜の軽やかな炒めのマジックは、これも食べる価値ありかと。ともかく・・・・トッピングでいちいち唸るお店なのであります。
【麺:程よい中加水?クッシリ度合いが残る感覚が絶妙な細麺がナイス!】
<中程度の加水感にて・・・麺の密度感あり実に歯応え良く食わせる逸品!>
メニューによっては、太麺と細麺が選べるシステムなのですが、中華そばの場合は、細麺ときまっております。でも個人的には細麺の方がここでは好みであります。きっちりとした整然とした風貌あるストレートが美しい。ややハッキリとした歯応えは、芯を感じさせることもないのだけど、コシをしっかりと全体で感じさせます。いわゆる潰し込みがとても効いていると思われまして、加水も中程度という感覚です。モチモチというより、クシクシとした歯応えを愉しみたい。そんな感覚で、前歯の奥歯の感覚が頭を占めます。
<汁を吸い込んでもなお・・・風味を感じるほどにしなやか>
汁の吸い込みはやや感じる程度で、しかし、歯応えのキャラクターが前半と後半で変化してしまうほどでもない。後半ややしなやかになるのだけど、全体的なクッシリ感に変化はありません。それより後半にいたっても麺の風味がほのかに感じれて、そっちの方が嬉しい。やや角張った形が膨れ上がった形状のそれは、のど越しのシルエットもはっきりしていて、すべりも適度であることから、全体的な啜りの印象もあざやかといったところか・・・。
【スープ:単なるあっさりでもなく、染み入るような「ゆったり感」とお伝えしたい】
<全くひっかかりのない醤油感!あっさり感というより「ゆったり感」とシャープさがある>
スープは・・・まったく引っかかりがない。まるで豊かなコクのタンメンのような・・・するする〜っとした感覚。なので醤油の存在感あるのだけど、幅をきかせるといった醤油感覚ではない。染み入るような醤油感覚。淡麗醤油・・・と割り切っても良いかもしれませんが、ほんのりゆったりとした風味もありなむ・・・といった醤油ダレとお伝えしたい。それと節系も使っておられると思うのだが、あるとしたら昆布系?さらに言えば、動物系のみでササーッと仕上げたと思える清湯フレーバーが全体的な印象。真偽はたしかでない。
<鶏のコクがスパーっと決まったような・・・透明感豊かな動物感が最高>
表面に浮かぶ油がいかにも鶏のキレイなコクを表現しているようであります。まさに透明感の塊!といったキラキラ感でして、大きく揺らめいては、大中小に散らばる輪を眺めていると飽きません。鶏のコクがスパーーーーッと決まっているし、濾過されたようなサラサラ感。そんな旨いコクが舌一面に広がるのが実に印象的。
そんなアッサリスープもあってか、小松菜の余韻もナチュラルに嫌味無く染み入ります。野菜の淡い苦みが加わって全体的に凛とした感覚も醸し出しますしね・・・。いや〜・・・具から麺・・・スープにいたっても手抜かりどころか、隙が見当たらない「優れたラーメン」であります!
総じまして、「これからも確実に再訪問を重ねる」と思わせる実力度でありますかな・・・・。
西荻窪は、独特の中央線沿線ならではのカルチャー感ある街でして、南口から歩くとあちこちと、ここかしこに小さいけれども旨そうな店がぽつぽつとある。古い店もありつつ、新しい小洒落た店もあったり・・・。そんな食文化を感じるエリアにこつ然とある中華そばの名店なのだけど、このお店は行列店でないというところも非常に気にいっている。広く教えたいような、こっそり内緒にしたいような妙な感覚です。なので詠います!
いつ来ても
姿勢が延びる
キッパリ感
気軽な一杯
作品と化す
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした!!
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