ラーメン食べて詠います

ご訪問いただきありがとうございます。仕事の合間や、休日余暇を利用してラーメン探訪をつづけております。ラーメン食べて感じる、小さな喜びやストレス解放を、最後に詠って締めくくりますー。

【今週のラーメン1117】 らーめん文蔵 (東京・三鷹) 得油そば

 流行っているのに支店を出さないし弟子やアルバイトをとらない。こういう店は無条件で好きです。規模を追わないで質を守るといったスタイル。サラリーマンにとっては非常に羨ましさすら覚えるのです。己の出来ることを最大限に表現する。これが仕事だとしたらどうなのだろうか。ノウハウを表出して広めんとする。そしてそれらの展開をモニタリングしマネージングをする。できてないところやトラブルをつぶさに分析し、またそれを表出し改善策を展開しモニタリングする。この繰り返しの中に、唐突に不安を覚えたりする。なので、規模を追わないで、自分ができることに没頭できる人がとても羨ましく思えるのです。でもね・・・一匹狼的ってのも相当大変だろうし、また店主にとっては、社長から末端の平社員の仕事まで全部一人でやっているのだから、それはそれで絶対に大変。結局どこにも仕事の楽園というのはないのかもしれませぬな・・。


 などと・・・一人でいる行列の最中には、いろいろ考えてしまうものですな。今の仕事の課題とか、将来の期待や不安など。そいうもんを打ち消すかのように、旨いもんに没頭する週末。今回は、地元で地味〜に過ごしました。そんな日の一杯がこれ、「文蔵」さんの油そば









【タレ:いわゆる王道系な豚魚油そば?・・・あっさりが武蔵野系を意識する】


<豚魚オーディナリーなタレからやや塩味なサッパリ系>


 豚魚スープがナイスな店は、油そばも相当期待ができるというもの。初めて油そばを食したのは、千葉松戸にある「兎に角」でありまして、当時こんなジャンルがあったのかと・・・凄い衝撃を受けてた。今でもあの味は忘れられず、相当信頼が置ける店でないと注文しないメニューになってしまいました。先日、行列の並んでいる最中にメニュー追加されてたのを知りまして、近いうちに食おうと思っていての訪問になります。



 最初のイメージは・・・・予想通りの味の構成でして、それでもさらりと食えるところが、いかにも文蔵さんらしいなとほくそ笑みながら食い続ける。ちょっとタレを確認したくて、奥底を穿り返すが割としっかりと「汁なし」してまして、麺表面にすべてが吸い尽くされたかのように、汁の海がない。それでも頑張って視認したが、ややライトな豚魚カラーを醸し出しております。



 食していくうちに、徐々にこれが豚魚ダレというより、塩ダレのような感覚に支配されたかのような錯覚を覚えます。この辺りは「武蔵野系油そば」のお膝元ですので、そういうフレーバー感を受けるのかもです。 薬味の影響も大きいのですが、コショウからくる香ばしさとラードに滲む旨味が化合して「塩気」と感じるみたい。



<粗挽きコショウがキレイな香味ラードで光ります>


 やはり、粗挽きコショウの油そばにおける貢献度は高いですよね〜。これが、味の方向性と輪郭を4割方決めているのでは?とすら思えます。そして、ラードに滲む香味と結びついて、ガッツリと腹に溜まる重厚感が広がります。刻み葱とメンマの風味が微妙に混じり合い、複雑な旨味へと変化させます。家では、肉に醤油とコショウと塩しかかけない派。タレの発酵感じる旨味と、シャープなペッパーの風味のぶつかり合いが大好き!





【麺:麺の反発と滑りがより強調される油そばなり】


<ぬちり!滑りと反発がくりなす・・・こざっぱりした歯応え感>


 少し加水が高めの中太麺。先日のつけ麺でも愉しませてもらいましたが、プリプリの中に適度なハードさも持ち合わせている麺です。あつもり状態でハグハグと食い進めると、ぶよん!とした高反発を感じつつ、麺表面に貼り付いたタレとラードの滑り加減。咀嚼と嚥下が同時進行したかのような、「ぬちり!」とした風合いが秀逸です。



 麺顔を最初見たとき、鰹節が表面に貼り付いて、喉につっかえるか?と思ったけれどこれは気宇です。わりと細かい貼り付き方でして、全く喉越しに苦を与えません。葱もあちこちに貼り付いて面白い歯応えを演出してくれます。フレッシュだけど濃厚といったスベリ感覚。







【具:地味に・・・具のポテンシャルが良いのであります】


<チャーシュー:薄味で馴染む!そして柔らかく、かき混ぜてフレーク>


 チャーシューにおいては、これまで幾度もお目にかかった高品質な一品ですが、味わいをストレートに味わうと、どの食べ方でもあうように、割と薄味であったことが意外。しかし、これがまた油そばには格好でして、タレに馴染みます。とても柔らかいロース肉は、油そばを食べ進めて行くうちに、縦に繊維質が外れてゆき、最終的には少し粗めにフレークしたような風貌に変わります。柔らか過ぎてほぐれるのです。しかし、適度なブロックが残りまして、これが麺に貼り付きサルベージされる。麺とは違った係数である柔らかさ。タレともよく馴染みますし、一枚肉で苦よりも油そばではやや崩れた方が旨いと再発見する。





<味玉:好みのエッセンスが見事に表現!全部有りな特急品!>


 味玉が今回旨く思えた・・・・。白身は完璧にタレに染まって丁寧な仕事ぶりと時間のかけ具合が伺える。そして黄身の外周は、ハードボイルド系のカスカス状態。そこからゆっくり掘り下げると、微妙な芋羊羹に類似した層がハッキリと別れます。更に進むとゲル状態のまったり状態の黄身。すべてが私にとっては好みのエッセンスなのであります。これがもし、もう少し大きな玉子だったら・・・・最高点。








 総じまして、特出するところはなくとも、非の打ち所がないといった一品。油そばの公式を忠実に守った感があり、それだけに店オリジナリティは薄いかと。でもね、満足感は相変わらずよくて「さすが文蔵さん」と唸ることしきり・・・・。いつもなら、酢とか辣油などを絡めてしまうところですが、そのまま頂く方がバランス良いのでは?と最初からオーラーとして感じさせる「完成度」。過ぎる色気がないところが、逆に私は粋と感じます。これは、再食必須です。なので詠います!





  風強く
  晴れ間まぶしく
  出すマスク


  喉ガレに泣く
  ひとり風邪引く





 お粗末!ということで合掌!今日も本当にごちそうさまでした!






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人間失格

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