今年のアカデミー賞の話題をかっさらった「英国王のスピーチ」を観ました。個人的には、最近ビビビーっと心をとらえる作品が無かったため、順当な結果かなと思いましたが、コリン・ファースの役作りのすごさが一段とキラリ輝いた作品でありました。受賞話題もあって、梅田で見ましたが、ほぼ客席。ほとんど4割くらいがビジネスウーマンだったでしょうか。
ストーリー内容としては宣伝でほぼ丸分かりになってしまいますね。しかし、冒頭からグイグイと引き込まれてゆき、118分があっという間にすぎました。テーマは「吃音」。大体、5%の人々がこれに悩んでいるそうで、何を隠そう私もその一員。苦い思い出もそれなりに・・・。そうでなくても、言い知れぬいろいろな内側の悩み、心の悩みがあるもので、それを越えることができない。そういう自分にマジメ、正直なビジネスパーソンが集まったのでしょう。
この映画で希望を得たものは、乗り越える前に「今の自分を受け入れよう」ということです。
これは、今の自分が嫌いとか、もっとこうあるべきだとか、ある意味自分に厳しいひとには、難しい発想です。こういう人は、自分が結果的に満足にできていないので、他人の結果にはやさしくしてしまったりもするんですが・・・。
しかし、「自分を受け入れるだって?そんなんで自律的な人間的成長ができるのか?」って必ず批判があります。また、結局やる気だとか、真剣に取り組んでいないからだとか。そういうのを、マジメに受け入れてしまうマジメさ、優しさが備わっているから、なかなか前に進まない・・・・自分を受け入れるなんてできない・・・。そういうもんなんです。これらは、父親のジョージ5世の教育やしつけ、また兄のエドワード8世奔放さ器用さと自分の有様に対する劣等感により、長年蓄積されてゆきました。
それを、治療担当のライオネルは、最初は荒療治、そして徐々に堆積物を一枚づつ剥がすように、そして滑稽なユーモアを交えて、ジョージ6世の心を丸裸にしてしまいます。心を丸裸にしたものを他人に伝えることが、自分を受け入れることのスタートなんですね・・・。
勝負は結果が全てですが、我々の人生自体は勝負ではありませんし結果でもありません。プロセスです。ビジネスは結果が全てですが、成果主義の行きすぎはすでに破堤しています。ゴルフもスコアにこだわりすぎるほどスコアがでず苦しいばかりです。気持ちの切り替えと次への集中が大事です。
今の自分を素直に認めて、好きなところ嫌いなところも一生上手く付き合っていこう。前向きなプロセスの積み重ねが大切だし。誰でも大切な家族や友人がいるはず。その方々とはとても多くの時間を共有してきて、既に丸裸状態の自分を受け入れているのですから、ともに人生を歩めるはずですし。
- 作者: Mark Logue,Peter Conradi
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