雨の日に集まる古参の常連さん?
「いつも雨の日の訪問が多いですね」・・・とご店主から声をかけられ、「いつも行列ですからね。避けようとするとそうなります。」と答える。最寄り駅から20分弱歩く住宅地のど真ん中かなのにいつも行列。よもや平日の春嵐にここまで辿り着いて並ぶ客などおるまいと踏んで大正解でした。
まぁ似たような方々もおられるようで。いつもよりまったりと過ごせる常連多めな店内。急に大雨になったり突風が吹いたり外は大変だが、内はスタバより寛げる拉麺スペースでございます。今回は、実に久しぶりに煮干を食しましょう。
<全体> 浮かぶ肉の質感高さ!微かに泡立つ淡麗煮干!美的煮干そば哉!
やはりここは肉が上品で配膳瞬間は目移りしてしまう。煮干系なら出汁に目線が先に行くものでしょうが、ここではいつもそうなってしまいます。仕上がりは色々あれど、レア感が素晴らしいのだが、実は近年は従来のレア感から熱入りが微妙に進んだ仕上がり。また肉もバリエーション増えつつ変えつつ、長く通うと進化に気づきます。
とは言え肉に負けず劣らずのスープの煮干し。一見ざらつきを感じさせる見栄えですが、重くなくサラサラしてるところが目に見えて秀逸。素朴なのに上品な煮干しの出汁感覚です。
<出汁> 上品な甘味が深く浸透する魚介感!交わる鰯の仄かな苦味!甘味と苦味のハイバランス!
「苦味と甘さのバランス」「旨味が濃ゆいけど味わい上品」と言ったところでしょうか。「苦味」の部分は当然イワシから来るのですが、片口イワシを連想するわかりやすい二ボ感。苦味と言うより香ばしいに近い苦さで、むしろ甘さが忍び寄るようです。
また煮干しも複合的でかなり計算高いかと。出汁が煮干系の中では割と茶褐色で、若干のザラつきと泡立ちを見せつけますが、口の中ではさらりとしてます。またフレッシュ玉葱も甘味を浸透させて一層食べ易い。見た目以上に煮干しのエキスは濃ゆいらしく、濃ゆくてもさっぱりと食わせるところがナイス!。
また岩海苔も上品。微塵と感じるほど細かく、磯っぽさを醸しだす香ばしさがスマートで煮干の甘味にとてに似合う。改めて煮干に岩海苔はベストマッチと感じ入る次第です。
<麺> 素地の風味をしっかり伝えるストレート細麺!湿り気残すクシクシ歯応えに風味あり!
煮干らぁ麺の楽しさは、麺の風合いと出汁がぶつかるところ?。煮干系って割と低加水な麺と合わせる傾向かと勝手に思ってるんだけど、この一杯については、ぶつかり合うというよりも調和がとれてるって感覚でしょうか。
風合いをしっかり伝える一方で、微妙な湿り気を思わせるしなやかさがある様子。味が個性的な煮干出汁に濡れて吸い込んでも、しっかり負けない風合いを伝えるのがいい感じです。ゆっくり咀嚼していったり、出汁の中で時間が経つとやがて一体化してゆくが、それでも甘味がます様子で、どう転んでも旨いに決まってるのが、やっぱり煮干麺の楽しいところです。
<チャーシュー> 整う3種肉!麹感染みる鶏胸肉!微妙なレア感残す豚肩ロース!の釜焼香ばしい腿肉!
コンフィを感じさせる鶏胸肉が見事。淡泊な鶏肉の滋味が、一気に明るい旨さと滲みます。柔らかくスポンジのような肉質が出汁をたっぷり吸うので噛み締めると旨し。また少し前から仕上げが違った感覚で、麹の味足しもある様子?。これは煮干らぁ麺と一番相性が良さそうです。
次に豚肩ロース。微妙に熱入りが進んだ加減調整が見事。熱入りがやや進んだようで、出汁の温もりで細かく差す脂が溶け、じんわりと甘味を感じます。あゝ・・・やっぱりこの旨さだと酒が飲めるタイミングで来たかった。
そして豚腿肉。吊るしの香ばしさがナイス。漂い柔らかい歯応えと肉味が染みる逸品でございます!。出汁に濡れて吸ってるはずなのに、その赤身の肉本来の旨さに香ばしさが広がるようです。この三番目の肉があるから、いつも特製にしてしまうのかもしれません。
<味玉> 出汁深く浸透しマチュアな濃密甘味を伝える卵黄!柔肌の如くしっとりした柔らか白身!
まるで白出汁を連想させる仄かな乳白色。ふるふる柔らかいのが絶妙です。味わいもしっかり浸透し、優しいお出汁の感覚がありありです。そしてブランド卵!那須御養卵!その卵黄の濃密感が素晴らしく、出汁が浸透しすると熟したような鮮烈で濃ゆいオレンジ色が見事!。
ほぼ全体がジュレ部分で、緩くトロミ部分はネットリしております。もちろん、スープに浸しても濁ったりしない濃厚さで、まさに舌全体にに絡みつく!。やっぱり味玉の旨さはハンパない!。
<味付き替え玉+生卵> 完成した味付きに敢えて生卵をダイレクト投入!それだけでご立派に完成した逸品!
煮干らぁ麺を食べたものにだけ許される特権。名称の通り「味つき」。軽く鶏醤油系のタレが滲む?。満遍なく絡んでますから、そのまま食べることを、私はまずお勧めします。
またアオサとフライドオニオン、そして玉葱と鶏胸肉が微妙に入ってますな。鶏油のコクと、フライドオニオンの香りと甘味が非常に食欲をそそり、別腹のように入って行きます。また麺の風味がとても強く感じられ、芯を軽く感じる旨さもあり!。
設計としては、生卵を溶いたところにつけ麺風にして食らうものらしいですが、この日はダイレクトに生卵を投入。まさにご立派な和えそばとしての逸品が完成。卵のプルプルと盛り上がるのが素晴らしいかと!。煮干らぁ麺食らうなら絶対にここまで辿り着いてほしいと思います。味付き替え玉は、煮干らぁ麺限定ですので!。
総じまして「醤油も塩もかなり旨いが煮干もすごい!ここはオールマイティー!極上煮干そば!一回食っとけ!」
・・・と言う感動の嵐!。実は麺屋さくら井は煮干もすごい!できれば今年の夏に名物「煮干冷やしらぁ麺」も必食!。名作の醤油だけで満足するのも分かりますがそれだけじゃ勿体ないのです。全く持って旨い店!今後も激しく応援!激しくオススメ!旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!。