「濃厚」に収まらず、「極濃」「濃密」なる接頭を冠した煮干系のラーメンは、東京にはとても多いですね。この10年くらいの傾向なんでしょうか。いわゆる苦味の効いたやつ。ニボニボっとしたラーメンと言えば、ラヲタでなくとも思いつく方は多いのでは。関西オリジンの私は、ラヲタになる前は、どうもこの煮干しの苦味が苦手だったんです。しかし、仕事とプライベートの都合とは言え、東京都内に住まうようになれば、水に慣れてくるんですねー。あの、ニボニボ、ドロドロ、超ヘビー級の、ド煮干しが恋しくなるときもあるー。関東では、「ジロリアン」が一大勢力ですが、対抗勢力があるとしたら、それは「ニボシスト」になるのでしょうか。そんな私は、時にはニボシストとなるのです。
煮干し系ではとても範疇が広すぎる。少なくとも・・・
・さらっと薫る程度の香ばしさの「あっさり煮干」
・さらっとした汁だが、ガツンと煮干を効かせた東北系の「じっとり煮干」
・新潟燕三条系に代表される「背脂煮干」
・とにかく濃厚追及型でドロドロした粘度が魅力の「濃厚煮干」
・その他(甘さ追及タイプ:西日本など)
今回は、「濃厚煮干」系というカテゴリーにて、強引に10店舗をご紹介したいと思います。一言で「濃厚」と言っても色々あると思いますが、あしからず。また、私が実食体験した中で選びましたし、短期間だけの限定メニューは、対象から外しました。そして、「濃厚さ」にこだわってみました。ニボニボ苦味でもサラッとしているのは、また別の機会に特集してみます。
それでは行きます!
1)中華ソバ 伊吹(志村坂上)中華ソバ
濃厚煮干と言えば、まず最初にここを挙げないといけませんよね。この店の煮干の濃厚ぶりはハンパありません。原価率を無視しているのかと思うほどの、煮干しの投入量を感じさせるため、ふらっと立ち寄り食うレベルではありません。個人的には、東京ニボシストの聖地と感じております。過去、幾度も引っ越す度に、追うように訪問重ねましたが、ラーメン業界の肩も客として行列で拝見することしばしばありです。
とにかくドロドロ。セメントイメージです。煮干だけでこんなになるわけでもなく、豚骨もベースにあると想像するものの、食ってる最中、食った後は煮干のイメージしかありません。これがデフォルトの「中華ソバ」の威力でして、時々限定で数杯程度しか出さない限定品となると、どれだけ凶暴なる煮干なことか。過去、幾度もトライしましたが、未だ限定は食えてません。詳しくは下記にて。
2)らぁめん小池(上北沢)濃厚ラーメン
煮干とつけなくとも、濃厚と言えば濃厚煮干のラーメンです。基本的にこの店は何を食っても美味いので、結構お気に入り。以前はつけ麺メインな店だったんですが、汁系にシフトして成功を収めています。あっさり系の方が人気があるのかも知れません。それでも私は濃厚の方を推したい!。
こちらの個人的印象は、濃厚は煮干と「鶏白湯」にも発揮されていると思われる点。なので、ニボニボ感を当然味わえる一方で、動物系の旨味も並行して楽しめます。そしてその分、ダブルヘビーな印象を与えるかも。しかし、その滑らかさから受け入れやすい味わいでしょうか。個人的には、こちらの薄切りっぽいチャーシューがオススメ。ビールのアテとしてもナイス。詳しくは下記にて。
3)中華そば いづる(大門)濃密な煮干しソバ
そろそろ、今時のトレンディーな注目点をピックアップしましょう。それがここ、「いづる」さんです。ここラーメンデータベースでも注目店として、長く上位にランクアップされてましたし、それに私もつられて行ってしまったのです。
ここ最近の中では一番煮干しが濃ゆかったかも。いわゆるセメント色したスープの類でして、それすら通り越して、スープが深緑色しておるほどです。食ったあとは一日中、煮干しかおるゲップで楽しめましょう。しかし、そのドSか!と思うほどとは言え、遊びすぎだ・・・と突っ込めない。確かにエグ味少なく、香ばしく食わせるから大したものだ。ここは、濃厚は早く売り切れてしまいます。どうしてもという方は、開店前に並ぶしかないかもね。詳しくは以下にて。
4)亀戸煮干中華蕎麦 つきひ(亀戸)濃厚蕎麦
この店も最近オープンして、人気急上昇のお店。ロケーションが実にユニークで、「亀戸横丁」なる飲み屋の集合施設の中にあったりします。この亀戸横丁内の飲み屋は、相互出前がフリーな形態らしい。だったら行列して食うより、中の飲み屋でアイドリングしながら待つ・・・というのが出来ると一瞬喜んだものの、それは行列無視になるのでだめらしい・・・・当たり前か。
こちらも濃厚ぶりでは東京の中でも指折りだと思われます。濃厚蕎麦でなく、デフォルトの煮干蕎麦でもニボった風合いが遠慮ないような先人のレビューが非常に興味をそそります。言わんや濃厚をや。すさまじい煮干しのディープモスグリーン・スープ状態ですよ。色だけで濃ゆさが分かる(笑)。今、ニボラーを自負するひとは、クリアしないといけない一杯ですかね!。詳しくは下記にて。
5)鶏そば なんきち 東京店 (西早稲田) 濃厚煮干そば
「鶏そば」冠の店なんですが、今は煮干しに集中したい?ような展開ぶり。いいんです、そんな堅苦しいことなんて、若いうちはやりたいことをうやりましょう!。そんな型破り状態ですが、ご店主は、若くて、丁寧で、気さくで・・・・忙しそうでした。私が訪問したときは、一人オペレーションである上に、券売機が故障してるという悪条件だったんですが、なんのその!。
これが実に、今風にハマる一杯でして、濃厚ニボニボ感覚も鋭い。モスグリーンのセメント状態のニボニボスープ。煮干苦くてもエグミを感じさせないところが秀逸で、しかも泡立ちすら見受けられますよ。レアチャーシュー、和え玉対応など、人気アイテムもそろってます。行って不満足ということはない店ですので、ここもおすすめ。詳しくは下記にて。
6)麺屋 一寸星(目黒) 濃厚煮干らーめん
目黒駅西口、権之助坂の上り車線と下り車線が合流する、デルタ地帯の先端にある店で、とても分かりやすい。上り側と下り側と両方に入口がありますが、上り側が正面みたいです。「煮干らーめん」と「台湾まぜそば」がウリのお店で、この組み合わせが面白いです。
こちらも濃厚なニボニボパンチで楽しませてくれますが、動物系のベースもしっかり下支えされておるので、味わいが深い感じ。そしてとても濃厚でも食べやすい旨みとなっておりましょう。こちらは、替え玉が3種類かた選べるのでぜひ試してほしいです。私は中でも「スパイシー辛」というのをおすすめしたい!。これは、味付き替え玉の中でも、プチ台湾まぜそば風に仕上がっており、煮干スープに投入するのを躊躇います。単体で十分旨いので、このお店の二枚看板が一回で味わえるという趣向です。詳しくは以下にて。
7)煮干麺 月と鼈(新橋)濃厚煮干そば
こちらも煮干というカテゴリーでは外せないと思います。長く新橋で頑張っておられまして、近年駅近いところに移転されたようです。新橋もラーメン激戦区ですが、続いていることがすごく重要。旧店舗・新店舗と両方味合わせていただきました。
こちらの一杯の印象は、ニボニボのイメージが「ダブル」でして、ベースの濃厚煮干は豚鶏の煮出しがしっかり下支えしたタイプ。その上に、一見はマー油と思われるソースがかかるのですが、それはもっと濃厚な煮干のタレでした。こってり感とニボニボ感が両方あるのも「ダブル」という感覚でして、ガッツリと食いたいときはおすすめかも。つけ麺だと更に濃厚になるわけですから・・・期待も高まる!。詳しくは以下にて。
8)裏健やか(三鷹)濃厚煮干
こちらは近年開店したばかりの新しいお店。「健やか」さんが月曜日だけ「裏健やか」として、煮干に特化した営業をされてます。最近はやりの、セカンドブランド展開ですね。最近、三鷹駅界隈にはいい店が集中して開店しておりまして、こちら「(裏)健やか」さんをはじめ、「さくら井」「すず喜」「ひまわり」などあり。実に頼もしいのであります。
さてそんなこちらは、表では貝(ホンビノス)の出汁が効いた淡麗系が旨いのですが、そのテクニック感を踏襲したような、じっとりの中に味わいやすさを感じます。色合いは確かに、濃厚煮干そのものなのですが、意外とするすると抵抗感なく啜り切れる。ライトと言いうよりキレに近いものを感じます。店内も少し広めで使いやすそう。配膳も美しく、チャーシューも別皿だったり、口直しの生姜など気配りも上手。カップルで行くには、ちょうどよいです。詳しくは以下にて。
9)煮干中華そば 鈴蘭 (中野)濃厚煮干そば
本店はたしか新宿三丁目近くにあり、2店舗目だったという記憶(違ったらごめちゃい)。店前には「煮干の旨さ教えます」という自信たっぷりな看板が目につきます。中野大勝軒のすぐそばですから、分かりやすい。限定メニューの開発にも余念なく、かなりリピーターがおられるのではと思います。
こちらのこの一杯は、ニボニボ感覚がとてもマイルドなイメージ。しかししっかりと食べごたえを感じさせるのは、ベースの豚骨煮出しがしっかりとしているものと思われます。煮干エキスのザラツキを感じながらも、これだけスルスルと食わせるのはお見事と言ったところか。また濃厚煮干には、パツパツ細麺が選ばれることが多いなか、こちらは太麺でモッチリと食わせるところが、印象的です。腹が膨れる濃厚煮干。詳しくは以下にて。
10)煮干しつけ麺 宮元(蒲田)濃厚煮干しそば
最後にピックアップするのは、やはり忘れてはならないこちら「宮元」さんです。あの新小岩の有名店「麺屋 一燈」からの独立ということもあって、やはり開店当初から貫禄すら覚えます。また店内は超体育系のご挨拶で、スタフ全員が大声でいらっしゃいませ!という掛け声は、背筋が伸びるし、また活力も与えてもらったりという好印象です。
さてこちらの一杯は、とにかくニボニボビターな感覚が突き抜けています。啜って・・・ああ煮干に埋もれる・・と錯覚してしまうほど。とにかく痛快な煮干です。しかし、そこはかとなく甘味もしっかりと感じられ、質感の高さは、ご出身の店と負けず劣らずといった感じでしょうか。大胆なようで、薬味を3種類絡めるなど、細かい気の配りも感じられて秀逸な味わいですね。チャーシューも二種類、レアとボイルで楽しませるなど、憎い演出。麺は、濃厚煮干王道のストレート系で加水少な目のパツパツ細麺!。仕上がりが、すべてにおいて素晴らしいですー。詳しくは以下にて。
あー、本当はもっと紹介したい/すべきものがあるのですが、レギュラーの煮干を食ってても、濃厚煮干を食っておらず、絶対に旨いだろうと思うところを、すこし以下に参考までに挙げておきます。
・陽はまた昇る(綾瀬)
いかがでしたでしょうか。まだまだ、広い東京で追い切れていない【濃厚煮干】系があるかと思いますが、私も日々追いかけてゆき、随時更新をかけてゆきたいと思います。
さあ、レッツ・ニボニボ!