<だんだん香りを感じる季節になってきた・・・ニボ香求めて下井草>
所詮私はそんな男。・・・・何かと悩む性格なのです。アイデアが出ないと悶々んとしているだけでちっとも生産性が上がらない。いつも考えているフリをしているだけのように思えてなりません。もともとクリエイティビティがある方ではないので、日頃ストレスを溜める一方。そんな平日のウサを晴らそうと、今回は天気もよい週末なので自転車を走らせて見ようかと考えました。もちろん行き先はラーメン屋なんですけど(笑)。最近、こってりした味噌系のラーメンを大量に連続摂取したため、体があちこち重いのですが、運動不足解消にもちょうど良い。段々と暖かくなり、活発さが増すような陽気に誘われもしますので、ちょうど良いきっかけとなります。
今回のターゲットは、「中華蕎麦はる」さん。下井草だと自宅からちょうど良い運動にもなりますし、しかも丁寧そうな仕事ぶりが紹介されてますので、ペダルを扱ぐ力にも気合が入ります。たどり着くと駅から少し歩くだけの交差点に位置するという好立地。しかし、下井草駅自体がマイナーなのか、住宅地なのか、ここでは人通りがあまりなく、ただ暖かな日差しだけが降り注いでおりました。dそんな場所にポツネンとその店は佇む。新規オープンの気配もまだ残ってて、入り口横の開店お祝いの胡蝶蘭も凛々しいです。カラフルな暖簾が印象的で、全体的に和風スタイリッシュな印象。ベージュの土壁イメージの壁に細長い窓の組み合わせがなかなか個性的です。今回は下調べしてきたので、食うもの決めてました。「煮干香味蕎麦」に決定済み。久しぶりに美しい煮干が食べたくて・・・。
汁:「煮干苦味に華やかさ!醤油の酸味と塩気のぴっちり感!がナイス!」
中はL字型の木彫美しいカウンター。入ってすぐ横が券売機。新規オープンと言えどもなかなかの清潔感が印象的です。掃除が行き届いている感じが空気感に現れているし、また厨房のシルバーの壁やあちこちに汚れがなく磨かれたのかと思うような凛々しさ。そこにいかにも優しそうで清潔感溢れる店主が、丁寧にお出迎えです。なんだろう・・・・声のトーンが穏やかで落ち着くし、物腰が低いのも実にいい感じ。ちょっといい小料理屋の板前かという雰囲気があって、個人的には好みです。食券を受け取る際も言葉遣いが丁寧というか・・・逆に見習いたくなるくらいです。
テキパキとした動作をただボーーーッと見ていたところで配膳が意外と早く完了。熱いですからと上の台ではなく、カウンターに丁寧に配膳されます。さてその麺顔・・・、淡麗と思わせる風情と美しさがありますねー。なんだか久しぶりのように思えて、少々冒頭から興奮してしまいました。煮干感ある表層の磨りガラスっぽい透明感、深くてきらめくような醤油ブラウン、緑と白とベージュの色合いが綺麗なトッピングたちが整然と並んでおります。さてそのスープですが、実に「醤油感覚が熟成」しており、「煮干しの苦味が香ばしく甘みあり」で、「ベースの鶏ガラ系がスッキリ」しております。
醤油に関しては、塩気と酸味のアピール有り有りで、しかも軽やかさと熟成感が実にハイバランス。塩気がほどほどありつつスッキリとして引き際が良いイメージ。そこに醤油の熟成を感じさせる酸味がシャープに広がります。この酸味がポイントで、醤油の塩気と煮干しの風合いとの相性が良く、コラボ感が高い。決して尖った酸味ではなく後味広がるタイプですが、相性が良いです。
また煮干についても、香味油のベースは植物系かは知らねど、それに深くエキスが溶け込んでおり、ニボニボっとした風合いが磨きがかかったようにシャープ。苦味と香りが軽やかで上品にすら覚えます。そこが酸味と結びつく。そしてベースの動物感としては、スッキリした鶏ガラのイメージ。雑味なく、軽やかな味わいは魚介と醤油のエキスを引き立ててます。実に久しぶりに食った煮干醤油系ですが、ハイセンスぶりには正直参った・・・。
麺:「淡い芯を残すストレート細麺!三河屋製麺製の微かなクツっとした感覚がナイス!」
三河屋製麺製。ラヲタの本性がどうしても麺箱に注目させてしまいます。そしてクツクツっとした歯切れを連想してしまう。そういう先入観で見てしまいますが、麺が揃っていて折りたたみで綺麗にまとまっているのを見るとゾクゾクしてくる。ストレート細麺で、ストレートパーマを当てたかのような真っ直ぐフォルムが気持ちよい。箸でリフトしてすすり食うと、まずその歯ごたえが気になるけど、パツパツっとしたところはなく、汁をある程度吸い込んだクツクツとしたところが印象的。前歯で千切って切断面を見て見ると、軽く芯に当たるようなところがあります。そこから麺自体の風味を発しているのかとても味わい深い。全粒も少し入り混じってるところもそういう風味感アップに貢献しているものと思われます。そして後半になると、その芯に当たるところにも煮干スープが浸透して、物腰を柔らかくなる。
啜り上げは至って軽やか。最初の口当たりから細麺特有の繊細さを感じますし、どこか毛細管現象を連想させるような汁の持ち上げの良さも感ます。絡み合いが少ないこと自体も、滑らかさに貢献していて、ズボボボボボボーーーーっとすするスピード感が上がる。まさしく蕎麦感覚で喉越しすら爽快に思えてくるようなすすり心地が実にナイスですねー。
具:「和洋折衷のような華やかさを与えつつ、豪落ち着きを感じる質感がナイス!」
地味なのか、華やかなのか、その中間なのか・・・・。全体的な落ち着きはあるので立派なトッピングたちです。主役の肉ですが、現代のラーメンはチャーシューが2種盛りってのがかなり普通になってきている。なので手間がかかっているのに、「またおま」感があるのですが、それでも普通以上にうましと思えます。ロース肉のレアは、ラーメンでも嬉しいが、酒と一緒に食したいほどに仕上がりが崇高。塩気を感じさせない程度に肉味を与えて、脂の甘みを与えつつ、野生を感じる肉の弾力が実に唸る・・・・。野生と品性の両立がありますな。一方の鶏胸肉のコンフィは、まさにシルキーなる肉繊維がぱふぱふと弾力を感じさせます。包丁を入れるのが楽しくなるような感じで前歯を当てる・・・そしてふわり!さく!!っと切れ込んで、吸い込んだスープと肉の持つ旨味をジュワーっと感じさせる。まるでフルに吸い込んだスポンジが吐き出すように。これはかなり美味い。
そしてトッピングの主役は別にもいる。たけのこ。見た目は薄切りスライスなのですが、いえいえ立派な丸太切り八当分です。先端部分へと層になった感じが美しくもあり、実際に食うと柔らかくサクリっと裂けるように千切れる。それも二つもある。たけのこの淡白にして植物系な野趣を感じる味わいに、和風で炊き込みの味付けが実にうまい。こういうのは、穂先メンマとは対極のうまさですな。いやはやご立派!。
今回一番勉強になったのは、実は「スティックブロッコリー」。スーパーで売ってても目にもかけなかったのですが、この季節柄「菜の花」にも見栄えがにていて季節感を感じさせられました(季節柄じゃなくとも)。茹で上げ感もナイスでさすがプロ!。同じようでも家庭の味とは違うかな。
最後に、玉ねぎのみじん切りが演出的にはナイスでした。煮干のニボった苦味に、フレッシュな玉ねぎの苦味は実にあう。しかも、甘みもある玉ねぎなので、煮干の甘みにもあう。その二面性で「煮干」と「玉ねぎ」は絶対に合う。それを再認識しただけでも来た甲斐があったというもの。そしてカイワレ・・・・「見栄え」と「フレッシュ感」と「食感」という三つを両立する貴重な存在。地味だけどいつもオレは応援してる。うまし!。・・・・まるで目立たないけど、いつも仕事を押し付けられるような存在に共感。所詮私はそんな男です。
総じまして、「華やかさ高い煮干感!フォーカスぴっちり感覚な美しい煮干麺!」と言う何に捻りもないまとめ方でごめんちゃい。個人的には久々に「味噌系」の呪縛から解放されて興奮した一杯でした。でも普通に食っても相当美味いことは確か!。最寄駅にあれば相当足繁く通いたいような店。杉並区のいい感じの住宅地にありますが、実に羨ましいです。また来ます。次回は「日本酒」とコンビで!・・・・本当は味わう予定が券売機ではバッテンだったからねー。そんな解放気分で詠います!。
週末に
風感じたく
チャリ扱いて
仕事忘れて
煮干楽しむ
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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