【東京都内の格安天津麺シリーズ その2】
最近、中々古くて渋い馴染みの街中華屋さんの休業が多くて、心が痛いです。そんな中、ここ数週間、山手線エリアに外出機会で、「前川@恵比寿」を狙っていたわけですが、「当面の間休業いたします」という貼紙が出続けていた状態で、大変に寂しく思っておりました。やはり、この店も例外ではないのか・・・と半分以上諦めかけて再訪問してみたところ、なんと今回はご立派に営業再開しておられて超感激ですよ!。それにすぐに座れそう!。昼間のランチピークタイムだと混みますから、時間をずらしてみたんですが大正解です。
本当は【ワンコインラーメン】企画でもっと早くにレビューアップしたかったこの店。恵比寿という大都会のビルの谷間にひっそりと夫婦舟営業スタイルです。周囲は小洒落たカフェやバー、そしてバルもちらほらある中、お隣のこれまた渋そうなおでん屋と隣り合い、寄り添うように営業を続けておられてます。いつもながらのお母さんがお冷をお持ちになられて、注文を待ち構えておられる・・・。その間に、後客常連さんたちが、どんどんと口頭注文されますが、迷いに迷って・・・・今回は、ワンコイン企画は止めて、「天津メン」とさせてもらいました。どうも・・・街中華の丸く大きな円盤玉子の魅力に、最近は引き込まれる次第。しかも、価格は650円という破格値!!
天津麺は、基本的にどの店でも高いメニュー設定。900円前後っていうのが東京では相場なのではないでしょうか。このプライスオフ感が今回は強く背中を押したのかも・・・・。ちょっと心の中に火が付いたかも。
<シンプルな玉子焼きは実にフワフワ玉子感! スープの醤油塩気と相性バッチリ!>
天津「メン」と天津「丼」をしっかりと間違って受け取られないように伝えねば。語尾を強調してオーダーすると、奥さんもなぜかオウム返し(笑)。それを受けてささっと大将が準備にかかります。玉子をかき回す音、熱い中華鍋に投入される瞬間のジュワ―――とい鳴り響く音、軽くかき回しすカツカツカツって唸るヘラの音・・・・どれもリズミカルで心地よい。流れるような手際のあとに、奥様が親しみ込めた笑顔で配膳されます。それがこの麺顔。
おお!何となく横に広がった玉子焼き感が、優しさを感じさせますよ!。何だろうか・・・中華風オムレツ感が頭を過ったのですが、それはなぜ?。何となくカニ玉感を想像していたところが、実物はカニを感じさせなかったために、玉子メインの頭になってしまったのでしょうか。このシンプルさが今回はとても印象が良かったという流れです。
実際に箸で半分めくって玉子焼きをめくってみると、ふわふわとした卵白、とろっとした卵黄の混じりが見て取れます。そこをまず箸でつまんで食ってみると、おおおお!!これは見た目以上にフワフワ感覚ではないか!。玉子の味わい自体がうれしいほどに旨くて、口のなかで踊るようなフワフワ感。具材はとてもシンプルにほぼ葱のみという構成ですが、シンプル・イズ・ベストと言った分かりやすい楽しさが一面に広がるようです。
玉子自体の味わいも薄味で塩気は低め。そして玉子の味わいがストレートに伝わるのですが、そこに醤油系スープのキッパリした味わいが混ざり滲むので、全体で丁度いい味わいになるのです。玉子単独でも旨いのだが、少し小さく割ったものを、麺と一緒に載せて食うのもまた楽しいー。カニ玉風ではなかったのは肩すかしかなと思って心配しただけ無駄でした。具材の種類よりも、玉子の味わいそのものをダイレクトに楽しみましょう。街中華なりの大衆さや馴染み深さと共に!。
<汁を吸い込みがちな中太捩れニュアンス!噛み締めて旨味を大いに感じたい!>
こちらは、普通のラーメンとサッポロ系ラーメンと二種類のラインナップがあるのですが、どちらかと言えばしっかりとした中太に近いタイプです。ほぼストレートですが、微妙な捩れがあるフォルムが素朴さを印象付けます。割と汁を吸い込む傾向がある中太麺。表面のツルツル感を通して汁の浸透を感じる一方で、歯ごたえは割としっかりと感じさせます。つるっとスベリ良くてシコシコと楽しめる麺、いわゆるツルシコ麺?。ふわふわ玉子との相性もばっちりな風合いと弾力性です。
前歯でクチクチと千切って、玉子と一緒に軽くすする。奥歯へ運び込んでプレスするとモツモツとした低反発感と、玉子のクニュリとした感触が合わさり、すり潰すのが楽しい。味わいが深いねー。あとは喉奥へと落とし込むだけだけど、思わずライスもほしくなってしまいます。やはり、天津丼の方が一般的に美味そうなんでしょうかね。
<醤油味わいのボディ感ある大衆清湯醤油! 玉子の風合いが移っても輪郭キッパリ!>
これだけ玉子はしっかりとプレゼンスを発揮してたら、醤油スープは多少ぼやけるのでは?という心配は不要です。ベースの醤油系スープは少し強めの味付けと私は感じました。醤油の塩気も明確でしたし、醤油由来の風味感も強め。ベースの豚肉鶏ガラエキスは、さらっとしていますが、若干野菜等のエキスもあり柔らかい味わいに落ち着いたようです。
当然、玉子を炒めたときのオイルもジワジワと香ばしさを運びます。具材がシンプルなゆえに、わりとサッパリ&シンプルな味わいに感じられて、かえって良い印象だったかと。後半から飲み干すまでに至っては、麺のデンプン質が溶けだしたような甘味と、柔らかい玉子のコクがじわじわと漂っておりました。
総じまして、「復活の恵比寿レトロ中華!優しさ和むフワフワ玉子の天津メン!」と言う何だか毎回毎回捻りのないまとめ方でごめんちゃい。いやー、もうこの店で食えないのかと思っていたから、嬉しい復活ですよ。これはますます楽しみになってきましたので、今後もよろしくと退店の際に心に誓いました。次回は「ニラソバ」あたりが狙いなんだけど、サッポロ麺も外せないね・・・・。必ず年内に複数回詣でます。それにしても、もう11月だよ・・・一年は早い。陽射しなんかを見てると寂しくなる一方ですが、めげずに暖かい麺を食らって年末まで何とか生き延びてみせます。そんな決意と今回の復活の感謝を込めて、最後に忘れないように詠って締めますー。
秋晴れに
陽射し傾く
哀愁を
フワフワ包む
天津麺哉
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!