【今週のラーメン２１２２】麺屋一寸星（東京・目黒）特製煮干らーめん

　本当に今年のカレンダーが悔しいです。２８日休めば大型連休になるのに、休めないもんだから今年の年末年始休暇はとても短く慌ただしい。仕事初めも早いもんで、本当に休んだ気にならないと思われます。しかし妻子は、今宵クリスマスパーティだとかでお気楽極楽気分満載。しっかたね、家帰っても何もないし、途中目黒で下車して狙っていた一杯を頂くことといたしましょう。

　今回の狙いは、「麺屋一寸星」さん。家系のイメチェンでえらく雰囲気が変わってしまったものです。こちらの「淡麗煮干らーめん」がどうも気になってなりません。今回は、給料日でもあったので、特製とさせていただきました。ちょうど通りに挟まれた中洲状態の最下部がロケーション。Y の字のちょうど付け根の股間部分に、そのお店はしっぽりとした雰囲気で佇んでいます。

【極まる淡麗の中に広がる煮干しの優しさ】

　聖夜だから目黒駅前は人も多かったが、店内は先客１名の静かな空間。カウンターとテーブルの配置が使いやすそう。静かにテレビの音が流れて、企業戦士が疲れを癒すにはもってこいの空間です。共同経営みたいな風格ある若手店員さんが、厨房でテキパキと仕事をこなされてて、見ていて気持ち良い。それに、配膳はてっきり高台がカウンター越しに受け取ると思いきや、厨房の一番遠い出口から、遠回りでもわざわざ律儀に両手で運んでくるではないか。ちょっとこっちも背筋が伸びる。

　さてその味わいですが、見た目通りの淡麗系！これはすごくいいぞ！鶏の動物系もじんわりと滲んでいる様だけど、何たって煮干しの淡麗さの中に、他の複雑な魚介が重ね合わされ、とっても柔らかい味わいに感じてしまう。複雑な魚介は、先人が細かく解説されているものの、冷涼としたサッパリさに突如現れた甘い温もりというか、ハエンドなバランス感覚がスバラシ！もしくは、冷たくあしらっといて最後に優しく受け止めるという様な「煮干しのツンデレ」感覚を悟ります。

　そして、淡いといえば醤油もそうだね。とても淡い薄口感覚で、和出汁がとても素直に響く味わい。塩だれとの差が、個人的に分からなくなるほどに、白醤油でもなかろうに、なのに軽やか極まる醤油感が、とっても淡麗！これもスバラシ！

【風流でいてパツッパツな細麺がキリリ！】

　この麺が実に気にいった！私の指揮な要素がたくさん備わっている様に思えます。まず、「角細ストレート」。そして、「全粒粉」「低加水」「三河屋製麺」。こういうのクツクツした歯応えがたまらんとかよく語っているのですが、今回に至っては「パッツパツ！」という感覚。この感覚が崩れないうちに慌てて食べようなんて思うのがパターン。なのですが、今回だけはそんな心配は無用の様に思えるほどの締まった密度感です。どこまでもハードな腰つきがキープされていて、嬉しさが持続する。

　またこの啜り感覚にキレがあると言うのか、食ってて快感度がすごい。まさしくキリリとした滑り心地で、喉奥で滑り落ちる麺の感覚がシルエットの様に脳裏にも残る。この感覚がスバラシ！大盛りにするとこれまたバランスがくずれるのかも。替え玉サービスがあればなおグッドなのだがね。

【高バランスのとれた特製トッピングで８８０は安い】

　昨今、特製といえば１０００円弱が相場。しかも目黒駅界隈という一等地で特製８８０円は魅力的です。しかも、この特製トッピングが、なかなかハイレベルで嬉しいではないか！

　王道のチャーシューは二枚の大判でそれはそれで定番なんだが、バラ肉とロース肉という気の利かせ方。熟成された旨味の深さがある一方で、全体的にはタレは薄味でなかなか淡麗の雰囲気にぴったりと合っているバランス感覚。それに反して味玉がとっても深い味わいで芳醇な黄身の甘さとつけだれの香ばしさが泣かせる。海苔もさすが元家系だけあって肉厚で大きく凛としたお姿。香ばしい。またまたメンマが穂先タイプを使っていて、こういうところも嬉しい。全体的な質のバランス感覚が値ごろ感を一層高めます。

　総じまして、「穴場で質実！優しき煮干しそば！」と言うそのままの感想でごめんちゃい！これはまたいい店を発見してしまった！目黒は通勤経路なので余計に嬉しい！しかも……かつて連日連食を重ねたテーマである「台湾まぜそば」も提供するというから、これは再訪問確実でありましょう！私にとっては、この上ないクリスマスプレゼント。感謝極まる。なので詠います！

　　　　寒風に
　　　　襟立て下る
　　　　権之助

　　　　煮干し芳し
　　　　聖夜静かに

　お粗末！と言うことで家族にも感謝しながら合掌！！今日も本当にごちそうさまでした！！！