それにしてもだ・・・・最近、いい店がまたできたということで、週末近いの夜の外出がてらにやってまいりましたのは、若松河田の「麺庵ちとせ」。なんだかとても風流な店名ですが、関西オリジンな私は肉吸いなんて連想してしまいます。しかし、東新宿にほど近いエリアの住宅街にあって、夜は意外と車も人も少なくてひっそりとしておるのが印象的な界隈です。庶民的な雰囲気もやや残しつつ、さすがわ都心という感じのハイセンスな家やマンションもあったりして、実に羨ましいエリア。そんなところの一本路地裏に入ったところに、その目指す店があります。銭湯のお隣というロケーションがまたいい感じ・・。
【店:清潔感と明るさ、そして大人が落ち着く雰囲気がいい】
暗がりにぼんやりと浮かぶシンプルな壁と看板。そして濃ゆい色の暖簾がいかにも渋い店構え。しかし入店してみると一転、城木町の明るい店内。いろいろ後ろ側にものが置かれているところは愛嬌ですが、隙間から製麺機が見え隠れして、素材へのこだわり感がプンプン匂います。木のカウンターに規則正しく大人っぽいランチョンマットが並んでいて、全体的にも凛とした空気感。テーブル付近も規則ただしい折り目が重なってますね〜。驚くのはご店主の若さ!そして実直ある丁寧さ。あたりの中年オヤジよりは人間的に大人と感じる若者だな・・・などと、感心してしまいます。さて先客は2名だったんですが、ほど同じタイミングで入店。それでも、最大生産ロット数2つとういう姿勢は崩さず、3つ並列して意識が分散するのを避けるような・・・・とにかく「丁寧な仕事ぶり」だと思える店内の隅々です。さてと・・・・いよいよ、私の今夜の一杯「味玉らぁ麺・大盛」が配膳されます。
【スープ:これほど調和を感じる醤油スープも珍しいほどに・・・突き抜けましたね】
配膳は、わざわざご店主が厨房内から出てきて脇からサーブでした。いやはや恐縮してしまい「いただきます」と言いながら思わずこちらも笑みがこぼれます。予想を裏切らないその優しい麺顔と醤油感の豊かさ。チャーシューの焼き目がまたプレゼンスを高めます。さあ食うかとレンゲを静かに沈めてまずはスープをひと啜りしようと思う瞬間から、感動は始まります。端的には「醤油のまろやかさ」と「カオスがまとまって逆にスッキリ」といった感想・・・。
<一口目のレンゲを近づけた瞬間から、醤油ダレの円やかさが響く>
こんなの珍しい!啜り食う前から「あ!香りがせめてくる!しかも醤油まろやか〜!!」という感覚。この時点でもうタガが外れたように観察力が好奇心に攻め入りられるようです。これはとても生醤油の風合いがとても豊か!軽やかな中に豊かさと伸びがあるような感覚で、スッキリシャープな塩気は抑えめで、むしろ甘みを感じさせる独特の醸造感がいい感じ!うんちく書きによると、やはり生醤油を使っているようですが、他ににも数種類ブレンドしているような、気の配りよう。そんな因数分解は私では当然わかりませんが、「質感の高さ」くらいはわかるような気がします。
<正に滋味!そして複雑要素がバランスとって「スッキリ」>
醤油ダレの複雑な味の試行錯誤とバランス感もいいのすが、ベースのスープもまた拮抗しています。タレで食わす、出汁で食わす・・・どちらのタイプとも判断付けがたいほど、うまく両方がバランスしているかも。ベースのスープは、明らかに鶏ガラベースでしょうが、そうそう動物系一辺倒な感じはさらさらなく、魚介系の落ち着き感、そして貝類???の滋味などが含まれているような・・・。大人の余裕度?優雅さ?と感じるほどに、奥深いバランス感覚。その一方で非常にスッキリ感がありあり。
【麺:スープとの相性よく、汁吸ってこそ完成する風味、歯応え、スベリ感!】
麺がまた唸るではありませんか!平打ち系でやや褐色めいた感じがしますが、醤油スープをよく吸い込んでいるためそのように見えるかも。綺麗な流れを演出していて、いかにもうまそうに誘いかけます。やはり・・・個人的には、汁系でも平打ちの麺が出てくるとテンションが少し上がるな・・・・。
<香味油も手伝い、粉の華やかさ感じる風合いがありあり!>
スープの表層に薄っすらと行き渡る香味油が妙に麺と反応し合うような錯覚に陥りました。国産の有名ブランドのブレンドらしいのですが、粉の風合いが華やかに感じるような、前歯でちぎった時の感覚。密度感はほどほどでアルデンテとは言えない。しかし芯がなくとも全体で歯ごたえクッシリとした風合いを保ち、気がつけば前歯でスパスパ千切り嚥下にいたるまでものすごい短い時間です。蕎麦のように啜り食って抜けていく麺の風合いを楽しめるかも・・・。その合間に醤油スープの余韻も味わう。
<汁を吸うほどにシルキーなスベリ!張り付く平打ち状がナイス>
結構に汁を吸っていそうな見栄え。全体が褐色に光り輝き、そいうところも美味さを誘います。しかし、汁を吸ってからの方が本領発揮というのも面白いかも(すき焼きうどんでもあるまいに・・・)。汁を吸ってもダレることなく、しなやかさがあまり変わらない滑り感がいいです。しかも内頬よりも舌触りのペタリと引っ付きそうになって、滑り啜り食うというのが、感覚として気持ちよい。奥歯でかみしめると、麺のグルテンと醤油ダレの融合が、食欲を加速させるタイプの旨さを誘います。
【具:隅から隅まで抜かりなく、きっちりした演出感覚】
今回は、隅からすみまで全く隙がない。手ぬかりがない。あまり使いたくないことばだが「完璧」さを感じさせます。
<焼き目で香ばしく、歯応えも適度なシッカリ感>
もう配膳の瞬間から誘いかけまくっている焦げ目ありのチャーシュー。これがまた、タレ感覚も淡くいけど深く染み渡っているのがいいね〜。肉自体も余計な脂がないロース。切り口がやや銀色に光っているような熟成度と感じる肉です。なので焦げ目がナチュラルに嫌味がないね・・・・。香ばしいところだけが軽く引き出された感覚。しかも、柔らかい肉ではない!適度に噛み心地を楽しませてくれるタイプで固いのとも全く違う。肉は噛み締めて食うものかもと再認識すら覚える肉。チャーシュー麺で食ってもいいかもしれないが、これはご飯というより、「酒に合う肉」なのかもしれません。
<卵黄のねっとり感が素晴らしい!温度とペースト感!>
私が味玉に開眼したのは、兵庫・尼崎の塚本駅近くにある「麺一盃」なんですが、そんなことを瞬間い思い出させてくれるほど、我が歴代ランキングに相当する仕上がりです。白身のふるふる加減が引き出されるような薄い味わいが深く染み入る感覚もあり。ただ、今回の黄身が最高に美味かった!まず温度管理。温め直してくれる店は数多くあるけど、こちらは卵の断面によって温度の差があまりない。さらに、黄身のトロミのグラデーションが完璧。全体として滑らかなペースト状のような感覚で、しかも無闇にスープの中へ溶け出さない。そこがすごくいい!
<焼き香ばしく、タレ芳醇で柔らか!トリプルにうましなメンマ>
まだまだ続くのだわ・・・・。穂先メンマ。これの驚くところは2点(3点として大きさも含めたかったけどやめた)。まず、醤油ダレの浸透の深さ。これがいい!深く浸み込んでいて、醤油のカエシのエッジングがあると思えば、熟成めいた「酸味」が程よく尾行に抜けて、これがまた気持ちよい!そして、次は「焦げ目」。こいつのおかげで穂先メンマが香ばしく、そしてタレと結びつく味が深くてよりうまし! これなら、メンマだけでも酒が飲める。しかもいい酒とあわしたいような気分。
総じまして、「参った・・・コメントに窮するほどに旨しな一杯」です。店の雰囲気や、ご店主の接客。味のバランスや好みの系譜。値段とロケーション等・・・どれも好きな部類にドンピシャとハマり、個人的にはパーフェクトな感じです。しかし、100点満点と言ってしまえば伸びしろがありませんからね〜・・・今後のますますの発展を祈願して92点という感じで止めておきます。店をでてからも感動でぼーっとしつつ、長い下り坂を夜風にあたりながら曙橋駅へ。なんだか、もう既に再訪問をしたくなってきた。いつ来ようか・・・・今週末だったりして。でも、そろそろ知られてきて・・・行列発生してしまうかな。そうなる前に通いたいものだが・・・・。地下鉄に揺られながらも、ずーっと余韻をひきづって帰りました。なので詠います!
陽が落ちて
住宅街の
静けさや
しんみり落ち着く
らぁ麺の夜
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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