この日は、何となくフラフラと武蔵小山のある店を訪問してみたものの、全く開店時間が読めないところでして、まったく縁がないね〜と心持ちでこの地を後にしました。ちょっと気持ち的に下げモードだったので、どこかで心温かい雰囲気な店はないか!?と記憶を探っていたところ、思いついたのが「味一」さん。もうこの店しか考えつきませんでした。
訪問時、近所の常連さんでいい感じで埋まってる店内。都会の中の庶民的オアシス感がありありです。ここは夜は、中華系おつまみとビールか紹興酒というセットもあり、まどろむにも最高。そして、実はチャーハンが旨いらしく、学生さんなどは、チャーハン一本勝負という感じで、みな好き好きで食っている自由な雰囲気。客側の理性ある自分勝手が実に心地よい店内でした〜。さて私は、タンメン一本勝負。他には結構なんですか?とやさしく女性店員さんに確認とられたけど・・・・。ベルトがキツくなければ、ピータンと紹興酒もいっときたかったが・・・。
【スープ:野菜でさっぱり食わせる一面と、しっかり味わい深い濃ゆい一面をあわせもつ大衆系汁そば】
さて関西人には馴染みが全くない「タンメン」。関西にいる私の両親世代などは、今でも「タンメン」と「ワンタンメン」の違いも分からないかもしれません(いやホント)。こういう関西オリジンの私なんですが、東京がこうも長くなるとなぜかタンメンが恋しいと思うけど、こういうのを関西ではイチビリと言われますかな・・・。とは言っても、昔から関西にあって巨人ファンだったから、なんとなく許してほしい(私以外、家族は全員阪神ファンだった)。
さてその久しぶりのタンメンですが、私としては「はつね@西荻窪」ファンの感覚で待ちわびてしまいます。しかし拝顔すると、なんとなくジットリと胃に来るような濁り色合いに、心の身構えをしてしまいます。青磁っぽい丼の影響もあって、ラクダのパッチ(関東でいうステテコ)に近いスープカラー。これは胃が暖まるな〜と感じ、湯気熱々のスープをレンゲで掬ってまずは味わいますが・・・なるほど・・・・これは、味わいが「濃ゆい」タイプですね〜。
「塩気」と「出汁感」、それが両立して濃ゆいという感覚。やはり先に、塩気がとても分かりやすいかな。割とはっきりとしている。しかし、塩っぱくない。味のボディーとして引き締めているという感覚で、ジットリと感じる一方で動物系の出汁に結びついて、嫌味がない。いや、塩気を受け止める動物系の出汁がしっかりとしていると言うべきか、迷います。
その動物系の出汁ですが、最初は塩豚といった感覚で、空腹感も手伝って無心で食っていた私・・・。徐々に理性的に味わうようになってようやく、「お!表層のコラーゲン感覚は鶏系か?」などと気づき出すという間抜けぶりです。感覚的には、「鶏:豚=6:4」といった感覚。駄舌ゆえに正確なところは分かりませんのであしからず。
<野菜の旨味広がれど、薄まらず、よりナチュラルな塩旨味>
正直言って、固形物を平らげてからようやくスープのポテンシャルの高さに気がついたかも:笑。野菜の旨味が滲み出て、ちょいと全体的にマイルドになったかなと思えるけど、冒頭に感じたじっとりとした感覚はそのままです。野菜の出汁は、味わいをやや円やかにする程度で、ボディーそのものは薄まった気がしません。最後の最後まで、しっかりとした味わいが心に残る感覚がナイス。
そういえば、隣のテーブル席は家族づれだったが、小さい子供もいて同じように小さい皿に取り入れて食べていたのが可愛かった:笑。おしゃまな女の子で、「オトナがおいしいけど、コドモはからいね」などとしゃべっていた。ウチは息子だけど、こういう時代があったな・・・と、関西転勤滞在時代がまた脳裏に蘇ったりします。ひょっとして、私が味わったタンメンは、涙の温かい塩気が混じっていたのかもしれません。
【麺:野菜とスープのニュアンスを受け止める「低めの加水感」がとてもいいバランス】
<やや細めなストレート捩れ麺!ちょっぴりクシっとする反発感>
正直言って、予想以上によい麺でありました。中華屋らしいの中華の麺かなと、中華食堂ド真ん中なイエローヌードルを予想していたのですが、実にクッシリとした感触、そして粉感も少しだけですが感じることができる。
思っていたよりもスリムな麺で。基本的にはストレート!と言いたいが、微妙に超マイクロにゴツゴツとしています。そこに微妙に捩れるフィーリングもあって、具材と絡まる素質があるかも。前歯を押し立てて千切ると、アルデンテほどではないけれど、視認できないほどの芯があるような感覚。割とスパスパと小気味良く切れ込む一方で、野菜たちが絡まるので、スパスパ&シャキシャキっとしたコンプレックス歯応え。奥歯でのプレスとすり潰しでは、面白いほどに容易く潰れる。
<汁吸い込んでなお旨し!やや緩やかなれど、カタサをキープするスベリ感>
そして時間経過とともに、視認できないほどの芯はやがて姿を消し、そしてやや緩やかなしなりが生まれて来ますね〜。やや汁を吸い込む性質ありか。しかし、だらしなくなりません。やや緩やかさを表現しながらも、当初から特徴的であったカタさあるしなり感覚は、ほどよくキープしてくれる。だから、野菜が絡まない部分を啜り上げるときには、中華そば的にずぼぼぼぼぼーーーーっとしたスベリ感が楽しめるといった感覚。全体的に大衆麺ですが、質実感はありました・・・。
【具:ただ、ただシンプルに野菜の軽い炒めっぷり!スープにゆっくり染み込んでいく感覚】
<ただ、シンプルなシャキシャキ感な野菜たち>
語るには一般的な野菜炒めのトッピング。いや・・・野菜炒めと言い切ってしまえば少し違うかも。胡麻油とか炒めオイルな感覚は少なくて、ナチュラルな炒め感が、タンメンの雰囲気を壊さなくて実にいい。しかも、気取っていないのがまた良くて、かなりシャキシャキな感覚をキープしているのが秀逸。特にめだった具材を使っていない。キャベツにモヤシ、少しばかりの人参程度。だけど、嬉しくなるほどのシャキシャキ感が実によいですね。
<妙にありがたいね〜、豚コマとキクラゲ>
野菜ばかりで満足しているのですが、やはり野菜ばかりだと少しね・・・・・。こんなとき、少し豚肉を見つけたりするととっても嬉しくなりませんか?まさに今回のはそれ!豚肉が微妙に少なめであったけど、それがタンメンたる範疇かな。また、キクラゲは個人的にとても好きでして、有るかないかわからない程度だとしても、その実在だけで嬉しい。
総じまして、「庶民感覚でヘルシーに食える王道系汁そば」といった感覚。日頃、やはりラーメンを食い過ぎて体が心配にならないわけでもないため、こういう野菜メインの一杯は、どこか体以外にも精神的に休まる思いもするような・・・。じゃ、毎日タンメンくっりゃいいじゃん!というわけだが、そういう風にもいかず。たまに食うから、心にしみる部分もあるしね・・・。ともあれ、久しぶりにのんびりした気分で安らぎながら食えました。なので詠います!
月明かり
都会の隅の
下町に
感じる情緒
染みるタンメン
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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