【今週のラーメン１４９８】『　　　』無銘（東京・神田）塩らーめんトリュフオイル掛け・大盛り　〜神田ガード下・・・にある「欧風塩らーめん」

　大型連休突入の夜、少し遅めに始めたのもあったのですが、休日出勤も遅くまでかかってしまいました。晩飯食うタイミングをすっかりと逃してしまったので、帰りの寄り道ラーメン遠征計画は頓挫したのです。しかし、頑張った夜だからこそ、適当なものを食して適当にその日を終りたくないという気持ちに支配されます。さて、この空しさをどう扱えばよいのか・・・・・。中央線神田駅にさしかかったとき、急激に先日食った、神田エリアの汁なし担々麺を思い出して、強烈に他店から後ろ髪を引かれたのを思い出してしまった・・・・。あ！「　　」（無銘）があるやん！　そういう感じでこちらに急遽方向転換して突撃してしまったという顛末。

　それにしても、土曜日の夜ってのは、神田界隈も少し大人しい感じがします。やはりビジネス街ということか・・・・。猥雑な誘いも少し感じる部分もあるが、それでも中央線ガード下東側をすごすごと秋葉原方面にひたすら向かうこととします。

　ああ良かった！営業してた！時折スープか食材が切れるのか、それとも私の間が悪いのか、訪問すると店じまい直後であったりして、なにやら因縁めいたものも感じます。しかし、今回だけは空いていましたよ！ほっとしながら入店すると先客は２名。ちょうど寂しくもなく、うるさくもなくいい感覚。ご丁寧なご店主のお迎えの言葉を受けます。さて何故、訪問の衝動にかられたかというと、「トリュフオイル」というものを試してみたかったから。以前、先輩レビュアーさんのコメントを拝読して、凄く興味をそそられましたしね〜。健忘症なのか・・・忘れっぽい私が、これだけは強烈に頭に焼き付いておりました。なので今回は、「塩らーめんトリュフオイル掛け・大盛り」でお願いしました。いやはや〜、これは結論を言うに、予想を超えた旨さでありました！

　おおーーーー、この見栄えと香りの発ち具合！そして濃厚さとハードさが相まって、バリューが高い逸品やないの！旨しと叫びたい！！

【スープ：非常〜に手の混んだ、枠をこえた発想の塩らーめん！コスパが抜群すぎる】

＜馨しきかな・・・トリュフの香り発散するオリーブオイル、揚げエシャロットとの響宴＞

　この華やかさはすごい！スープ、トッピング感も手抜かりない質感に溢れ、麺も好みである上に大盛り無料で、７５０円という価格は、ちょっと他にはないかも・・・。そんな圧倒される感覚が、冒頭から最後まで一貫して感じられた。ああ、この一杯にたどり着くなら、今回の休日出勤は、納得感がありありだなと満足する。そんな喜び溢れる一杯でありました。

　これは単なる塩ラーメンではない。トリュフオイル掛けというのが、実にイタリアン出身のご店主らしさを感じる。事実、食し始める最初は、まるでアルコールが発つかのような仄かで華やかな風味が発散する。これがまたベースのオリーブ風味とも良くマッチする。スープとの混じり合いを敢えてかき回さず、揺らめいているところを静かにすくって口のなかに流し込むのが、一番良い食べ方かもしれない。まさに、前菜のスープ感覚でいただける、崇高なスープ感には圧倒といってよいだろう・・・。

　また、揚げエシャロットのオイルともマッチするのだわ〜。両方複雑に混じり合い、華やかさの次には食欲をそそる香ばしさを感じさせる。歯応えのシャリシャリ感とコリコリ感もいい。ラーメン薬味という域をかなりブレークスルーしているこのオイル達。コストパフォーマンス最高と言ってもよいかもしれない・・・・。こんな一杯がちょっと猥雑な部分もある神田の隅にあるなんて、そういう存在感すら面白く思える。

＜ベジポタを彷彿とさせるしっとり鶏白湯！濃ゆいめな塩気が円やかでレンゲが止まらん＞

　つい薬味に意識が集中してしまうが、いやはや、このベースのスープも中々の面白さです。はっきり言って、「塩らーめん」というより「鶏白湯らーめん」という感覚。まことに豊かな鶏コクが含まれていて、モミジを投入したような貼り付き感が薄い崇高な仕上げ。だけど、かなり濃厚さが伺える。

　濃ゆいスープ感は、単に鶏コラーゲンを濃縮にしたという簡単なものではないね。野菜の旨味や甘みがクリームのように溶け込んだかのような食べ応え。ベジポタスープを彷彿とさせる仕上がり感と思う。この啜り加減でどこかしら優しいざらつきを感じる。このざらつき感が、ベジポタの感覚を連想させる。まるでジャガイモが溶け込んでいる・・・・とまでは言い過ぎか。でもそんなまったりとした感覚があって、食べ応え満点なスープ感。しかも健康的にしっかりと食えるというおまけ付きのようなフィーリングがたまらない。

　そして、意外に塩の味わいがしっかりとしている。いろいろな食材の甘みが複雑に重複しあっている旨味なのだが、やはりエッジングは「塩らーめん」を意識したところがあるね〜。これは、他メニューの練り醤油との対比、ラインナップバランスを考えたのかもしれないが、塩の雰囲気も忘れていない。塩味は、しっかりしているが尖った部分は一切ない、まろやかなエッジング。まったく・・・、少しばかり訪問の間が空いたと思っていたら、かなり進化を果たしているではないか・・・・。ご店主は、ノリにのっているのかもしれない。こうなれば、つけ麺も食いたくなってきたではないか・・・・。

【麺：非常にきっぱりとしたプレゼンスを感じさせる太麺平打ちストレート麺は、とてもハード！】

＜密度感アリアリな平打ちタイプの太麺！カタメの茹で上げセンスもナイス！＞

　すっかり忘れていた。ここの麺は、非常に食べ応え、茹で上げ、歯応えなど非常に好みな麺です。箸でリフトすると、存在感に圧倒されそうになる麺。太麺だが健康的な明るい褐色を呈していて、気持ちよいくらいストレートさが強調される平打ち麺。最近では、あまり食っていないほどに密度感アリアリなクッシリとした食感がいい感じです。カタメでなどと注文せずとも、非常に風味溢れるカタメな麺。

　前歯の刺さり具合からして、クシリと感じさせるハードなテンピュール感がグッド！束になったところを奥歯でプレスする際には、気持ちよいほどのクッシリとした弾力があって、麺の風味をしっかりと鼻孔に感じる。並盛で１６０gでそこそこな分量。大盛りで１．５倍の２４０gらしい。そこそこお腹一杯になるので、もし瓶ビールを注文していたら、私の腹は、はち切れてしまうであろうね〜。

＜外固なフィーリングと濃度あるスープとの絡みがで一段と食べ応えある持ち上げ感＞

　少し外固なキャラクターがいい。光沢ある艶やかさもあるが、しっかりとしたコーテリング感ある表面の質感がとてもいい。啜って喉の奥に麺が打ち当たることがあるが、嚥下した手前で引っかかるということが少ない印象。そしてスープが濃厚なので、とてもよく絡む。細麺なら重く感じるスープが、太麺なら程よく抜けてむしろスルスルと食えるというスベリ感覚です。スープの持ち上げ感、絡み感というのも、実にいろいろあるもんだね〜。

【具：華やかさで息をのむ・・・そんな香味野菜！チャーシューもうかうかしておられん旨さ】

＜香味野菜トッピングだけでも訪問意欲をかき立てる！イタリアンなるセンスにも通じる＞

　大きいベビーリーフ、ルッコラがふんだんに盛りつけられて、非常に立体感ある盛りつけとなっております。この香味野菜のボリュームも中々の量でありまして、追加トッピングしたかのようなお得感がある。そして、これら香味野菜にオリュフオイルがかかっているので、麺とかスープに絡めずに食うととても華やかな感覚で食えたりします。嗚呼、この野菜メインな麺顔だけでも、訪問意欲が湧くというもの。さすがは、元イタリアアンのシェフだねっていう腕の見せ所が満載なポイントです。

＜なかなかにとろけるようなバラ肉！薄味タイプでスープにもよくマッチする＞

　前回食ったときの、チャーシューの印象が記憶に残っていないのだが、こちらのバラ肉の仕上がりもいい感じです。注文を受けてから、手切りで供する。箸でリフトするだけで、自重で解れるほどの柔らかさ。しかも薄味であって、肉本来の旨味、脂の円やかさと待ったり感・・・そいうものが食むと一斉に口中に広がります。これもなかなかな仕上がり。白飯と一緒に食うというより、別皿でワインかなにかで食っても旨そう。次回は、並盛にして、瓶ビールと共に、このチャーシューを味わってみたい。