ラーメン食べて詠います

ご訪問いただきありがとうございます。仕事の合間や、休日余暇を利用してラーメン探訪をつづけております。ラーメン食べて感じる、小さな喜びやストレス解放を、最後に詠って締めくくりますー。

【今週のラーメン1141】 カッパ64 (東京・福生) とまとチリ

 週末の嵐は、まさに先週一週間を表したような天候。大規模な組織改正と、自分の職務変更がごちゃになって、引き継ぎやら問い合わせやら、ダレにも相談しようのない問い合わせ受付など、ハチャメチャでありました。それでも・・・何となく乗り切れてしまった感はあり、それはそれで物足りなかったり・・・複雑な心境であります。さて、週末は心機一転とまいりましょうと思えど、天候悪く土曜日は近場で過ごして一日ほぼ家でゴロゴロとしておりました。そんな怠惰な私ですが、今年入社したフレッシャーズは、もっと激動的にも感じた一週間ではなかったろうか。実におつかれさまと申したい。


 そういえば、オフィスビルの向かい側に小さな公園がありまして、喫煙コーナーの窓から良く見える。毎朝、始業前のあきらめの一服にもにたタバコに火をつけてまどろむ・・・・。そうすると、5人くらいのスーツ着た若い集団がその公園にやってきて、大声で挨拶の練習とか、お辞儀の訓練、名刺の渡し方、応接室に出入りする上座下座のわきまえ等・・・すごく真面目にトレーニングしているのに出くわす。4月2日から週末の金曜日までみっちり毎朝やってたもんな〜。いや、感心しきり。あのころは、誰にでもあったわけで、そういうの恥ずかしやら隠したいやらで忘れたい失敗談の山ばかり。でも・・・・凹んだり失望したりしても、若さで乗り切れたっけな・・・。怖いものたくさんあったけど、自分には時間と体力がありあまってたから、多少空回りしても妙な馬力だけで突き進んでたっけ・・・。おかげでよく腹を空かしてたな(笑)。昼飯や晩飯、飲み会にいたっても、価格が低いことや量がたくさんあることだけで、店選びしていたあのころ。思い出すな〜。で、冷静に我に返って考えるのだが、それはそうと・・・


 「俺は今、何腹なんだ・・・・?」



 ・・・などと考え迷う。実は日曜日は、妻子が所用あって実家に戻っているため、3時間ばかりのフリータイムが実現してしまった!なので急遽、クルマを走らせて遠出&ラーメンと企んだ次第!そこで、とうとう・・・少し前からねらっていたこちら「カッパ64」さんを目指したわけ! だけど、腹具合がどうも最近よろしくない。歓送迎会のし過ぎで胃腸がダブダブなのか・・・・。だからシーフード系でじっとりとした魚介塩に酔いたいのか・・・、やはり春の嵐のような熱い風!トマトロッソなチリでピリリと満たされたいのか?自分でもよう分からんのです。


 井之頭五郎でもあるまいのだが、自宅からこちらへ向かうクルマお中、ずっとそればばかり考えていたような気が致します。正直言って5割半は、シーフードだったと思う。されど、そう何回も来れない事を前提にするなら、やはり看板メニューのとまとチリをいっとくべきではないかと自問する。このやり自答は、結局店先について、裏へ回ってクルマを置いても解決せず、結局先客の行動を見て判断しようかという他力本願な気分で開店前の行列に連結することに。全く優柔不断な自分がいやになります。で、ご店主が気を利かせてくれて開店前の時刻だがOPENしてくださり、順番にと券売機の前へと送り出される・・・・。当てにしていた見知らぬ先客のチョイスは、・・・・なんと「限定のまぜそば」。これでは参考にならん!


 結局は、表題の通り「とまとチリ」に決定! 決めては「細麺」であったということかな。醤油とシーフードの3本立てのこのお店で、このとまとチリだけが細麺で、あとは太麺でモチモチと食わせるようなことが券売機に解説してあったから。正直これに素直に従ってみた次第・・。とにかく、年をとると理屈っぽくなるな、何から何まで・・・・イカイカン。

  






【スープ:見映え以上にやさしいトマトの甘味に・・・ささーっと決まるチリのエッジング!】


<酸味もいいがトマトを出汁と甘みで食わせるのだ>


 やはり本物は違う。ラーメン本を自宅で暇があるときは開けて見てたこの一品ですが、やはり実物はオーラが違うのであります。 もはや完成されたものだけが持つ美しさすら感じます。実に立派なトマトラーメンであります。細かく見てみると、スープの色合いが手前と奥側では違うのだ。手前は赤く染まってはいるが、動物系出汁にトマトエキスが混じり合うという定番なゆらめきを感じます。しかし、奥はまさにトマトチューレか、ジュレのごとく・・・もやもやっと半ジェル状で、トッピングともタレとも区別しにくいトマトの濃縮物体が横たわります。この私の心の微かな動揺を感じ取ったか・・・店員さんがすかさず「よっくかき混ぜてお召し上がりください・・・」との言葉。一通り言われた通りに混ぜていくが、その過程の色合いはいかにも赤身を増していて・・・すでに相当のチリを含んでいるのか戸惑います。この時点で・・・・


 蒙古タンメン中本」級を迎える心準備をしておこう!


 ええい!中本の北極級でもなんでも来い!と気持ちを引き締めスープをゆるりゆるりとすすり上げに入ります・・・・。もともとゆったりとしていたと思われる動物系+トマト出汁のスープが緩い抵抗感ある上に、トマトピューレみたいなのが混じり合いますから・・・気分は「トマトシチューをすする感覚」であります。するとですな・・・今度は一転して喜びに変わりますがな・・・・。それはまるで・・・


 「この味を例えるなら・・・・それはまるで、イタリアの教会の鐘!、そう!ラ・カンパネラ!」


 神の祝福を受けたかのごとき・・・・まったりとしたトマトの甘さと、鶏豚の動物のコクが豊かに混じり合い、酸味なのか甘味なのか、もはや分からなくなってしまいそうです。ともかく、酸味が甘味と区別がつかん旨味というヤツでして、春の新玉ねぎのシャリシャリ感が更に加わり、煮込みなのにフレッシュ感が備わります。これはただ・・・唸るのみなり。因に、奥の丸テーブル席で相席だったから、両端に居た他客には本当に申し訳ない。旨さゆえに箸が止まらず・・・・スープが少し飛び散ってしまい粗相を犯したことを・・・・。 




<鶏豚の出汁の下支えがトマトをより引き立て、チリで決め!>



 さて・・・とまとがなぜこれほどにも豊かな甘味なのかというと、それはベースがあるからですな。以前、どこかのトマトラーメンのレビューで、トマトソースに生クリームを加えると旨さの角度が変わるというようなことを書いた覚えがあります。それと似た感覚でして、動物系のエキスと十分に混じり合わせると、旨さにコクがプラスされると思うのです。今回の場合は、鶏肉系の旨味アミノ酸ではと感じている。昼飯で食うイタリア料理屋で出て来るトマトと鶏肉の煮付けみたいなものがその代表例でしょうか。ともかく、肉とトマトの組み合わせは最高なのであります。


 そこに・・・ちょいとした犯行を企てるのが、チリでありまして・・・・トマトと同じような色をしておる。なので、半ゲリラ的に潜伏していて、私達食べ手をたまにイタズラ的に刺激を与えて惑わす奴ら・・・・。しかし、今回はそのイタズラっぷりは仄かで大人しく、大人の余裕すら感じるエッジングが展開されとります。子供には辛いと感じるが、大人にはへちゃら程度な、チリ味です。そういえば・・・・映像で見た一番旨そうなイタリア料理は、クレメンザが作っていた賄飯。ミートボールとトマトソースパスタ!だったっけか・・・・・・。あとで時間あったら、ゴッドファーザーの復習をしておこう・・。 







【麺:加水低めな細麺がナイスな選択ですな!最高のミスマッチがベストと言えましょう!】


<細麺低加水系と言う選択にセンスを感じますわ〜>


 私を「シーフード」から「とまとチリ」に一気に引き込んだその「細麺」は、結論を言うと「まさに正解!」でありました。いかにも低加水系(厳密には中と低の間くらい?)なその姿は、色白くストレート。それが、とまとソースにまみれて艶かしくもきらめくようです。普通に調理されておれば大人しそうなその姿は、赤くドロっとしたスープをまとうと凄く色っぽく思える・・・昼間からね。


 「麺もなかなかやる・・・・加水は低めそうだけど、どこかバランス感を感じる」


 加水が低めとは言え、カツリカツリと粉の風合いを歯で千切りながら楽しむという系統ではありませぬ。むしろ、クツクツとした感覚をほんのりと残しながらも小麦の風合いを捨てきれない風味というヤツを感じます。茹で上げのコントロールの勝利とは言うものの、年度が高めであるから、汁の吸い込みは少なくて済んだのかもしれません(根拠なし)。前歯の当たりはカツカツカツカツ!っと小気味よく千切れ、そして奥歯でややクニクニっとしてストンと胃袋へ落として行く。いつもの一連動作の中で、特に前歯の当たりで、テンピュール感とカッツリ度合いのバランスがいいと思えました。




<トマトの粗ピューレをくぐるぬめり感はユニーク>


 この一品で一番ダイナミックなところは、そのスベリであります。そのスベリの一部分が、まるでこれまで経験のない「パスタ」を食っているような滑りと言えましょう。水飴を練り込んだ生パスタのような・・・・緩いくせに輪郭を感じるような歯応えと腰つきが、細い麺でよく表現されておりますよ! パスタと一番違うところは、厨房でマンジャーレされていないというところかな。それがまたいい!


 スベリは、スープのゴツゴツ感を麺がモップの如くからめとり、すすり上げて前歯に当たる感覚に似ている。緩いトマトとしてクチャリ!と一瞬で過密噛み潰される。その合間に、トマトパスタのような風貌を留めながらも、味わい的には、ラーメンナポリタンとも名付けたい愛着ある緩サラなスベリがいいですな。







【具:スープの強烈個性に抵抗せず・・・・ナチュラルな一体感ですな!】


<出汁アピールの鶏と豚の二種チャーシュー>


 デフォルトで二種類にチャーシューが付くようです。しかも、豚肉の赤身ロース部分と、鶏のモモ部分かの肉。この一品は、トマトがテーマなのだから、なにもそこで2種類アピールしても原価インパクトほど食べ手に伝わらないのでは?と正直考えてしまう。だけど・・・・これは、実はメッセージなのではと食べ終わってからしみじみ感じるところがある。


 とまとだけでは成立しない。そこには、影の主役というか・・・スープの立役者がちゃんといる。それが鶏と豚であるわけでして、特に鶏は、スープの表面に揺らめく脂の輪をみても、質実さが伝わりますし。それに豚の安定した煮出汁も存在理由がなんとなく分かる気がする。トマトスープを食っているように見えて、ちゃんと肉系のエキスも感じ取れないと頼りなくなりますからね。そういうことがちゃんとアピールしてあるかのように、鶏と豚がトレードマークのように両端に展開されとるのね・・・。




<春だから野菜が嬉しい ^_^ >


 そして、野菜が実に嬉しい。帰りがけに券売機を再確認しましたが、できれば家系みたく「キャベツ」ボタンを設定いただき、その甘味溢れる春キャベツの大盛りをお願いしたいものであります。今回のキャベツは、だいたい表面から5〜6枚目のキャベツで青さよりも白さが主体的な部分。芯に近い部分の爽やかな甘味がやさしく広がります。芯には栄養があるとそう教えられて育った私ですので、葉の部分より根に近い部分の方がどうも有り難みを感じますな・・・・。


 あと、玉ねぎも苦み少なく甘味が抱負でよいですな!八王子系ではよくお世話になっているフレッシュ玉ねぎ微塵。これがこのトマト系スープでもシャリシャリと良い仕事をしています。全体的な甘味に透明感を加えるような仕上がりがナイス! そして・・・トッピングというか、飾りというか・・・・唐辛子!これは食べてもよかったのだが、なんとなく面構えが強情そうな唐辛子だったので、今回は遠慮しときました・・・。








 総じまして、唐突な週末の空き時間に、ホントーーーーーーにちっぽけな小旅行気分で突撃した一杯は、横田基地のエキゾチック感もあってか、また格別に印象深く、旨かったとしみじみ思うなり。だってさ、東京に引っ越して来て約2年、こういう突拍子もないラーメン紀行はやってこなかったもの。かつて関西転勤時代には、「あっぱれ屋」「無鉄砲本店」「にっこう」「HABIKINOほんてんラーメン」等・・・オモロい活動させてもらったけど、あの開放感にも似た気持ちを体感しましたわ!大変な元気をいただきましたので、また明日から頑張ります。なので詠います!



  春嵐
  豪雨駆け抜け
  風強く


  野菜の味わい
  春の甘みか



 お粗末!ということで家族に感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした!



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