どういうわけか塩が食いたい帰り道。妙に気温が高く、春の訪れを感じざるを得ない夜には、桜湯を彷彿とさせるクリアー系の塩スープをすすりたいもんです。久しぶりに、ここ西荻窪にしかない「青葉」の塩を食おうと訪ねると、何やら休業のような・・・・? これは、あまりにも寂しい。それゆえに、こちらの鯛塩に切り替えたのだが、こちらは一転して回転良く、寂しさの欠片もなし。若い人達に混じって、同じメニューを並んで食う。
【スープ:さらりとした魚介感でベースの動物系が逆に映えますな】
<はっきりした濃いめの塩が後口柔らかく>
さくらで鯛とはまた、明るい組み合わせ。頭の中ではその一杯を待つ間、頭の中では鯛の大漁状態。そんな感じで、配膳直後にまず鯛スープをいただく。しかし、事前のイメージが淡麗系塩がったのが大きく変更を余儀無くされますな。思えば鯛などという高級な食材は、普段口にしていないため、感知するデータ不足だったのかもしれない。
第一印象、じっとりと言うか、はっきりとした塩味。鯛自体のエキスが淡白で上品なのかもしれない。故に表に出にくいと思い、二口、三口と食べ進める。その時になってようやくいつもの馴染みの魚介感とは違うことを知る。キリリとした塩味とまったりと丸める風味感。それらが両立してソリッドな塩味とかしておるがな。鯛は塩焼きと相場は決まっておる。そもそもその味わい自体が淡麗なのであり、塩味の変化を楽しむものかもしれない。むしろ鯛の肉の旨さを言うなら、若狭の小鯛が好みだ。だけど、鯛のアラから取る潮汁などあるとすれば、ひょっとして塩味先行の旨味表現なのかもしれませぬな。
<魚介感あっさり、鶏豚も 何気に存在感>
そう、魚介感が実にあっさりとしておるのですな。それゆえに塩ダレが生きる。そして、その動物系のベーススープの旨味が引き出されるのだな。魚介の後味の引き際が、煮干しとは全く違う。いわゆるサッパリというものですが、魚介の存在感が奥ゆかしげ。サッパリ+奥ゆかしげ、で「あっさり」。そこにびっちりとベーススープの動物系が伸びやかな印象。鯛が鶏豚を上品に感じさせているという構図。その上品さは、柚子の欠片の余韻かもしれませんが。
【麺:ツボをおさえたような・・・安定感ある中加水麺】
<食って安心感、中加水系で質感あるくっちり感>
店内POPには、スープはもちろん、餃子等手作りをうたっているが、麺まではどうかは知らんが、安定した信頼感ある全体的な品質は感じました。標準太さのキレイなストレート麺で、分類的には中からやや多加水?と思える感覚。圧延の潰し込みを効かせた感じはあまりなく、かといって麺密度はそこそこあり。カッツリとプリプリの丁度中間のクチリ!とした感覚で、前歯さばきと奥歯の潰し込みが愉しめるタイプですな。
<ちょっと汁を吸うと、尚滑りと歯応え柔らかく>
後半になり、ちょっと汁を吸い出して微妙にコシが柔らかくなる。そこに、思わずスベリの滑らかさの感じを頭の中で重ね合わせてしまいますがな・・・。汁を吸う代わりに、麺の風合いもスープに滲み出す。後半の一体感とともに、より滑らかになった地肌を舌全体に感じながら、軽い咀嚼と嚥下を繰り返すのみ。
【具:質素に見えて意外に愉しみがいがあるパーツ達】
<炙りチャーシュー!その一手間が嬉しい!>
見映え的にも、厚みにも、一定の評価を与えたいと思えるロールチャーシュー。炙りの香ばしさがまた、歯応えも生み出しましてナイスですな〜。鯛というテーマとは裏腹な気も少しするものの、単純に肉を炙ると旨くなるという公式には勝てません。
<意外に侮れず!軟骨歯応えしっかり!柚子風味も生きる!>
肉団子が、なかなか侮れません。鳥軟骨のコリコリ感のそのぶつ切りサイズが絶妙ですし、中に仕込まれた薬味と柚子??が仄かで肉の旨味を邪魔しませんし。サイズもこの程度なら文句も言えませんな。チャーシューと肉団子という二枚看板という点も嬉しい限り。
<今回だけは、脇役だね・・・味玉>
肉系の二枚看板とくれば、味玉ハーフはちょっとプレゼンスとしては脇にやられるかな?今回は(笑)。たまたま、黄身の中心から外れた切り口で、マイナー部分が当たってしまったのは仕方ないとして、これでもしホール味玉がデフォルトだったら、随分イメージが上がったかもしれない(・・・ってそれはいくら何でも図々しいか:笑)。
総じまして、暖かさを本当に感じるようになりましたな・・・。昨年に続き、また今年の春も激動になり少し仕事内容が変わるというか・・。春は期待と不安の気持ちが折混ざり、なかなか落ち着きませんな。そんなタイミングでしっとりと降った雨は実に暖かく感じました。なので詠います!
冬衣
手荷物となり
春雨に
桜恋しく
さくらですする
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした。
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