ラーメン食べて詠います

ご訪問いただきありがとうございます。仕事の合間や、休日余暇を利用してラーメン探訪をつづけております。ラーメン食べて感じる、小さな喜びやストレス解放を、最後に詠って締めくくりますー。

【今週のラーメン878】 牛薫る麺処 嵐風(ARAKAZE) (東京・新井薬師) (得)牛塩らぁ麺

【きっかけは?:とにかく「牛」だからである!牛を無視できなかっただけ〜】

 以前のレビューで少しだけ書いたことだけど、一回目の上京したてのころに、三田の慶応仲通りに牛大腿骨をぶらさげたラーメン屋があった・・・。その頃に、ちょっぴり東京のラーメンにびっくりしたという思い出あり。そして月日がたち、大阪・豊中で「松坂牛麺」を食って感涙する・・・・。二度目の上京後、北千住の「マタドール」訪問で、完全に牛のラーメンにハマったわけです。だから、このお店の情報を諸兄から伺ったときには、絶対に行きたかったのですが、微妙にいつでも行けると思っていると行けなかった・・・。道中寝過ごしたりもしたしね(笑)。そんなこんなで、やっと新井薬師前にたどり着くことができました。薬師前ということだから古い商店街を想像するとその通りの町。豆腐屋惣菜屋が夜でもやっていて、こういう東京の庶民感覚がとてもいいね! そんな庶民の町で、一番高級な牛のラーメンを食うのです。980円!東京価格としては安いのか?新井薬師価格としては高いのか・・・。塩が+30円というところがまたスペシャリティを感じますわい・・・。




【スープ:非常にゆったり&ジューシーな牛のエキスとシャープな塩!それらを魚介がやさしく包む】

 訪問時、先客ゼロ・・・・ちょいと不安。直後におばちゃんが客として入ってきて安堵を覚えますが頑張っていただきたい! 大阪の牛は脂カスの助けもあり甘旨であり、北千住ではやや淡麗で崇高な塩気であったが・・・・どんな牛が出てくるかとても楽しみ!と思っていた8分間で配膳完了。現代風の背の高い丼を受け取り、その麺顔をみてニヤケまして・・・・スープを早速にすすります。その印象は・・・・、


「旨いがな!(*゜0゜)ハッ・・・・めっさ旨いがなぁぁぁぁ・・・・ 」
「これまたすごいラーメンでんがな! 牛のてんこ盛り!ボリュームじゃなく「質」!」 


1)甘味(旨味):厚みある動物系の旨味が意外にもサラリ

  牛のコクとは、どうしてこんなに独特なのでしょうね・・・・。この他とは違った「ゆったり」とした感覚は、同じ五線譜に書かれる音符でも、他が四分音符なら牛は二分音符、他が4拍子なら牛は3拍子のワルツのように・・・・「ゆったり」としたコクを感じるというものですよ〜・・・・。 それでいて、完全に洋風に持って行かれるかと思いきや、しっかりラーメンたらしめるのですから・・・・ただ、唸るばかりです。たまたま、座った座席がこの店の蘊蓄を紹介されたPOPが貼られた真ん前でしたから、その訳を解説で知りましたが、魚介・昆布・節系など存分に駆使しておられるとのことです。なるほど・・・・・「魚介と牛のダブル・スープ!」とは・・・・かなりコンテンポラリーでアーティスティックなスープだったわけですねぇ〜。

  どんなアートにも、古典とも基本とも判断つかない命題を無視しては表現できない宿命的なものを感じます。 そして、ラーメンで牛を推すとはかなり勇気のいる決断だと思います! そしてまさしく「新世界」を目指したその心意気には、ドヴォルザークを感じてしまいますし、またスープには、ゆったりしたモルダウ川のような流れを感じる・・・・スメタナを思い出させますね・・・・。それを一気に日本のラーメンに足らしめる魚介のスープには、魚介という・・・・古賀政男の「丘を越えて」や「悲しい酒」を連想するエッセンスが入っていようなんて・・・・。 近代のクラシックと昭和の演歌が、コンテンポラリー・アートを生み出したなんて・・・・・なんとすばらしいことか! この思いを伝えんと思い、「厨房」の店主を感涙の目線で見つめると、「中坊(中学生)」のような素朴な目線で「なにか?そそうでも??」というような逆目線を送り返された(困)。 

  ただ店内は、今風の若者好み楽曲が、流れるだけであった・・・・。


   


2)塩気:予想以上の塩味もあるのに「辛さ」を感じず穏やか

  ステーキ肉にはある程度の塩気が旨く感じるように、和出汁で感じる塩気よりはパワフルなものを感じます。さりとて、塩辛いという尖がりは一切なく、ジンワリと旨みに厚みを与えるような処理ですね〜。 少し面白いのは、ちょっぴりと塩の「ミネラル感」を感じ取ることができること。 旨みと一体となって化合しきってしまうような・・・・・旨みとも塩味とも判別つかん状態もあるのだけど、「塩だけの存在感」がちょっぴりあるかも・・・・。それがミネラル〜な余韻という感じ方です。


3)風味(香り):スープと具材からくる牛の甘味が渾然一体

  これは牛骨スープではなく、牛肉をもふんだんに使用しているとのことです。この白濁の具合は、魚介の成分かと思っておったのですが、牛肉汁も入り混じっているのですな・・・。なんとも言えない肉じゃがの醤油抜きみたいな甘い香りがいたします。 また、トッピングも後で述べますが、焼いた芳ばしさとスパイシーな牛のフレーバーが交じり合います。魚介とはまた違った「ほわっと」した感覚があふれますね・・・。





【麺:全粒粉な和風麺で、やわらかく、そして歯応えと香りを与えて、しとやか】

 そういえば、大阪・豊中の店主は牛のような大男でして、ブログを拝見すると、牛と麺との相性にとても苦労したとのコメントがあったのを思い出した・・・・・。そんなヒヤヒヤエピソードを思い出しながら、麺のスペックに注目する次第。緊張してすすると、そのイメージは、次の通り!


「あーーー!やっぱりこういうのも好き!(*′ω`)b゛大OK!!」
「ジャパニーズ・コンテンポラリーというような麺が、しなやかでんがな!」


1)風貌:純和風なそばのような灰褐色、そして全粒粉!

  麺をリフトして驚きがあります。それは「全粒粉麺」。単純なのですが、これだけで単なる牛が、「和牛」にイメージアップする気持ちが生まれます。地肌も色合い的にもソバを連想する・・・・やや灰褐色でして、ラーメン的な明るい健康的な薄黄色ではないところが、日本的な落ち着きというものを上手く表現していると思います。ラーメンが日本食であることを麺で教えてもらう気分。 太さはやや細めのストレートで、クネクネと周りからの影響を受けやすく、くねって見えるのも特徴的です。


2)感覚:細くてやや多加水っぽいながらも一本一本がクツクツと楽しい

 芯を感じるようなタイプの麺ではありませんね・・・・。むしろ茹でるとうげを過ぎてもコシを失わない多加水系統な、しなやかさを受け止めます。そんな気分で麺をすすり前歯で処理しますが、柔らかいながらも・・・クツクツ?クツリクツリとした歯応えで切っていくのが楽しい感覚! 奥歯ではクチ!っと一瞬ですり潰されるのですが、最初のタッチ感がすぐれてたという印象でございます。


3)スベリ:ザラツいているところがスープを持ち上げGOOD!

  ザラツキといえば多少オーバーですが、見栄えはそんな感じするものだから・・・・・。細めなところがまたスープのからみと持ち上げがよく、するすると滑ります。されどスープ自体にはねっとりする脂感がすくないものだから、ヌメリ間というより、サラサラ感で麺が駆け抜けていくイメージですね・・・・。抵抗感が心地よいです。





【具:面白いほどに手がかかっている牛と薬味!】

 これは、肉もエンタテイメントですがそれだけじゃなく、いろいろと楽しませてくれます!

1)チャーシュー(よく見れば三種盛り?)

  中々面白い組み合わせです。まず一番目に付くのは、丼にわざと家系の海苔の如く張り付かせた、ちょいレアチャーシューですね。繊維質にそって適度に脂がさし、和というより洋なフレーバーがするタイプでして、舌の熱で脂が溶け程よい塩味が、若干の肉の歯応えとあいまって中々旨い逸品です。 

  づづいて牛肉を少し強めに湯引きしたような、薄切りばら肉みたいなのが、ゆったりと薄味で、ジューシー!歯応えもやさしく、しゃぶしゃぶ肉の如くこれならいくらでも食えるといった感じ! そして最後は、肉の焦げたところの芳ばしさを追求したかのような・・・しぐれ焼きみたいな品がとても印象的!おこげがすでに、特別上等なふりかけみたいになとりますがな! どれを食べても旨し!スープの最後まで楽しめるところが非常にナイスですね!

2)数々の薬味たち

  これは中々・・・・・、牛肉にもひけをとらないかも? 白髪ネギ・ネギの極細みじん切り・玉ねぎみじん・そして・・・・・・もう一つ何かの極細みじん。これは、最初は「大葉」かと思ったけど、匂いも強くないので、イタリアンパセリか何かの香草だと思うのだけど・・・・。これらが、実にふんだんに入っておりますので、最後の最後まで、甘くそして爽やかに演出だてしてくれます。個人的には、玉ねぎにはまったけど・・・・随分自分も変わったものだと思います。


3)味玉

  味玉もいろいろありますね・・・。このくらいが一番好きなのかもしれません。

 <白身> 
 大きく漬け込むタレで区別ですね。醤油・塩・味噌当。ほとんどチャーシューの漬け込みダレ、もしくはスープダレと流用するため、醤油がほとんどでしょうが、その場合でも、浅漬け、深漬け、その中間などで区別されるでしょうか? 醤油ダレの中間漬け込みという王道なのが、なんだかんだ言って一番安心なのかもしれませんね。 色合いが丁度ベージュとアイボリーの中間でして、染み込み具合も外側薄く1〜2ミリ程度色が変わっている程度がええね〜。

 <黄身> 
  ここが一番食べてが気にするところですね〜。固ゆでと半熟と分けてしまいますが、半熟でも、トロリと液状なものから、半分固ゆでのようなゲル状とか芋羊羹状のもの、そしてその中間のジェル状のものまで・・・・・・。絶妙な湯で加減から、これらが全て体現されているのもありますしね。誠に深い内容です。こちらのは、液状とジェル状の5:5のイメージでして、箸で割るときの飛び出し感、したにまとわり突くジェル感覚など、とても味わい深いものでした。





 総じまして、「 子曰、知之者不如好之者、好之者不如楽之者」・・・・論語の言葉です。知っているだけの奴は、好きでやっている奴には適わん。また好きでやってる奴も、楽しんでやっる奴には適わん。という意味(であってるよね?)。 ラーメン屋を志す人は、少なからずみな好き者なのでしょうが、楽しんでやっている方ってはたしてどのくらいおられるのだろう・・・・。たとえば、一燈のご店主などあきらかにそれだね。 ラーメンを牛でやってやろう!と思うひとはいても、実際に店やるというのは相当の好き者・・・・いやいやそれはすでに楽しんでやっている領域!不如帰さんのプロデュース店らしいですが、こちらも尊敬に値しますね!

 これで牛ラーメンとしては、東東京エリアに「マタドール」、西東京エリアに「嵐風」。マタドールって闘牛士ですが、嵐風って実はご店主はとある有名な闘牛から流用したとのこと。東京を東西に、闘牛士と猛牛の対立構成が出来上がりましたね!なので詠います!
 

   東西に
   別れて対立
   闘牛場


   嵐風睨む
   先はマタドール

お粗末!ということで合掌!今日も本当にごちそうさまでした。 





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