【きっかけは?:京浜東北線を寝過ごし・・・・気付けば国境の街だった(後編)】
帰り道に寝過ごして赤羽に来てしまったという顛末ですが、「麺処 夏海」で一杯食った直後にまた食うか?普通のおっさんは・・・・・・。しかも、しっかり夏海では旨すぎてスープまで完飲してますやん(笑)。 でも、今しかこんなアホはできないという切迫感と、伊藤なら小ぶりでサクッと食える・・・・ライトな分量とが、背中を押しますので、引き続き訪問と相成ります。
それにしても・・・・座り難い店ですな・・・。 絶対に一度は訪問した方なら思うことを述べると、「券売機は店の奥じゃなくて、店先(道路に近い側)に置いてくれ」ということ。 極めて細長い店内なので、座席に座られるとその後ろを通ることはできません。そして、カウンターしかないその店内は、カウンターの後ろ全体が引き戸になっております。 なので、券売機で券を買うと、一旦店の外へ出て、そして座れるところを決めて、そこの引き戸を開けて再度入店して座るという手順になりますかな・・・。 ま、いろいろ事情があってこういうレイアウトにならざるを得ないのでしょうがね・・・。
右脇の通路を奥に奥に行くと、券売機の案内有り
【スープ:「極ニボ」と「地鶏」の単なる半々じゃない・・・・。「飲みやすくコク豊かな煮干し!」】
とまあブツブツも言いながら旨さは定評なので辛抱できるというもの。シンプルなメニュー構成ゆえに、一旦食券を渡すと、ものの5分程度で配膳が完了いたします。ほほう・・・・・今回も渋い色合い!オーバーに言うと、少し緑がかって見えます。そのスープをレンゲでずずーっといきますが、印象はと言うと・・・、
「旨いがな!(*゜0゜)ハッ・・・・めっさ旨いがなぁぁぁぁ・・・・ 」
「濃くて飲みやすいニボの感覚が、流石に比内地鶏という感覚がしますね〜♪」
1)甘味(旨味):伊藤ならではの極ニボに地鶏の甘味ですごく飲みやすい
思えば伊藤系はここ以外はすべて回ったことになるのかな・・・・。関西転勤時代にも、出張ついでにちょくちょくこなしていたからな・・・・。本当に自分のアホぶりを再認識します。伊藤系の独特な深みと滋味を感じさせる極煮干しを知ってる前提だからこそ感じる「地鶏の飲みやすさ」です。前知識なしなら、これは明らかに「煮干しが濃いスープ」と一蹴してしまいましょうな・・・。
表面にも煮干しの濃さを感じさせる膜がありますが、それを承知で飲み出すと実に動物系の豊かな甘みを感じますことやら・・・。こんなに極ニボが飲みやすいとは思いもよらないスムースさです。煮干しの苦みも相当あるのです。それをおしてもやはり・・・ブランド地鶏!比内地鶏の繊細で濃い甘みが実によく広がっているのですな・・・。
2)塩味:地鶏にも極ニボにも均一に淡く結びつき、もはや塩自体が出汁
そういう地鶏のパワーに圧倒されていたもんだから、これまた塩の出方までは気が回らなかったというのが今回の状態(汗)。しかし、塩分あったなー!という強烈感もまったくないため、これは、煮干しにも、比内地鶏にも均一にその旨味成分と結びついていたのだろう・・・・自然な感じがしたんだろうと・・・思っています。もはや、旨味と結びつくというか「塩自体が出汁化」しているのです。
3)風味・香り:オリジナル煮干しを知るが故に感じる「地鶏の脂」
こんなシンプルな一杯ですから、香りは「煮干し」と「地鶏」しかないのですわ(はははー)。しかし、これも既述したことの繰り返しですが、煮干しオリジナルを知ればこそ、やはりこの一杯の特徴としては、「地鶏の脂からでる風味」が特徴といわざるを得ないな・・・。いつもより淡くパワーダウンした煮干しの香りのなかに、動物系の甘みの存在を感じる程度のほのかな香りです。
【麺:アルデンテというよりは・・・・「強い芯」という感覚!】
伊藤系とくれば、スープ以外にも、アタクシ的には好みのポイントがもう一つあります。それが、麺。歯応えを楽しむのが伊藤流と申せましょう!はたして、その感覚は・・・・
「あーーー!やっぱりこういうのも好き!(*′ω`)b゛大OK!!」
「伊藤系に来た!と思わせる定番の低加水!そして粉の風味感が堪らんね!」
1)風貌:相変わらずの低加水予測させる白さとハリのあるストレート
伊藤の麺も独特の世界観を持っていると思うのです。こういう風貌の麺をありそうでないし、またあったとしても「あ!伊藤みたいな麺!」なんて思ってしまうかもしれない・・・。伊藤系というのは、スープに気をとらわれがちですが、実は「麺を食わす」のがメインな感じがいたします。ドンブリはどことなく小ぶりで、スープも少ないと思わせるほどに控えめな分量。そこに、この潰しの利いた低加水の麺をもられ・・・・こんもりとした風貌になる・・・・。いかにも、麺が主役な構図でして、スープはむしろ「つけダレ」的な存在なのかもしれない。低加水は博多系だけではない!というポリシーすら感じますな・・・。東北と九州に別方向に伝播した麺が、実は起源的には共通なものを感じます。
2)感覚:クツクツと感じる芯の風味がもはや定番
とにかく、前歯を突き刺して切る感じが「クツクツ」という擬音語のように感じます。まるで、アタクシの前歯が貝印の刃物のように・・・。やや太く感じるが故の感触。同じ低加水の博多麺とは全くちがった印象です。こちらの方が、グルテンを感じる度合いが大きいと申せましょうか。それも乾いたグルテン(そんあんあるんか知らへんけど〜)。奥歯に運んで・・・グニリとしたすり潰し。いつものラーメンより、若干咀嚼回数が増えているかもしれませんが、基本的には、飲むように喉に滑りこませるのが快感!
3)スベリ:わずかに・・・薄皮一枚のぬめりが、意外と優しい
今回は、博多麺との比較で統一しよう・・。すべりは、博多麺よりは、スライド感としては勝るが、ヌメリ感としては弱いというイメージです(「スライド感」と「ヌメリ感」って完璧に個人的な造語ですから絶対に伝わらんと思うけど続ける)。ただ、ヌメリの層が弱くあるというのが、物理的な抵抗に発想が繋がるわけでして、良く言う「ザラツキ感」とかいう感覚に繋がると個人的に解釈しております。
という前提で述べると、「ヌメリ層が薄い」ので一見「抵抗がある=ザラツキがある」と発想するのだが、意外に『麺表面がきめ細かく固い』ためにツルツルに感じられ、ザラツキを相殺する・・・・という次第。・・・・・あかん、完璧に酔っていますね。自己説明に。そして、宝缶チューハイを飲みながら書いているからアルコールに・・・・(昼間のレビュー作成の傍らには「UCCコーヒー」)。
【具:その質素な佇まいに「わびさび」を感じますな・・・】
<薬味ネギ>
これほどシンプルな具材はあるだろうか!笑えます。たしか、とある食通用の雑誌には、信州地方にこ「ネギさえ排除した一杯」の記事があったけど、それはそれ。この一杯には当初から具材をのせようという発想は微塵もなかったハズ。なのだが、ネギをのせるという日本人の習慣?感性?いやいや美意識により、無意識にのせられた所作だと解釈いたします。
しかも、飾り立てというのが一切ない。たとえば、万能ネギを細かく刻み使うとか、一部分に寄せてピンポイント的に見せるとか、最近の流行でいうと、切り方に工夫を加え、「白髪風」「極微塵」「正方形切」などを施すといったこともなし。ネギ自体もいつもの信用のおける八百屋から仕入れたネギであり、産地直送などといった意識も無いはず。
つまりは・・・・・自然体なのであります。
更に言うと、おそらく元々は、何も考えず、麺とスープだけだったら、あまりにも寂し過ぎるから、勢いでトッピングしたのでしょうな。しかしその結果としての風貌は、質素を極めた茶室に古びた一輪挿しに飾られる・・・・「野花」のような優しさと、奥行き深さ、そして、日本人独自の「潔さ」がそこにあるのと感じるのです。
そう・・・・この麺顔に「侘び寂び」を感じる。
シンプルというのは、潔いと思うからこそ、美しい。それはどこか儚さもあるから。食ってしまえばそれは胃の中。淡雪のような瞬間の芸術をこの「無造作」なネギトッピングに思う。嗚呼、我もネギ也・・・・。
(薬味ネギだけで、日本人の美意識を語るとはほとんど妄想を通り越して病気です・・・)
総じまして、実に〆の一杯としても、非常に高いパフォーマンスぶりを発揮できそうで、通常の中華そば以外にもやさしい伊藤系があることを再認識できたことが収穫です。できますれば・・・・・もっと城南エリアに出店していただけないでしょうかと、無理なお願いをしたくなる・・・・・。 もしも、城南エリア進出のそのときは、お店のレイアウト・・・・もう少し考えてね〜(くどいか:笑)。ということで詠います!
複雑な
店の作りだ
自家製麺
そんな伊藤は
麺はシンプル
お粗末!ということで合掌!今日も本当にごちそうさまでした。