午後4時の西荻窪・・・空腹と誘惑の狭間で

10月上旬、じわじわと秋風を感じる西荻窪の街。早朝出勤だったので定時より早く会社は出たものの、結局仕事を持ち帰り、自宅でPCと睨めっこを続ける羽目になりそうです。中央線の座席に身を委ねると意識が途切れ爆睡。ふと目覚めて時計を見れば、時刻はもう午後4時。

そういえば、忙しさにかまけて昼飯を食いっぱぐれていたわー。これは遅い昼飯か、それともちと早い晩飯か…。窓の外では、まだ太陽が高いというのに、飲み屋の赤提灯が「こっちへおいで」と手招きしている?。そんな強烈な誘惑を振り払うように、オレの脳裏に浮かんだのは、最近出来たばかりの赤いテントだった。そうだ、今日この腹を満たし、心を癒してくれるのは、あのラーメンしかない。今回は、西荻窪の改札内にあるお気に入りの店に後ろ髪引かれながら、最近新規でオープンした「なぎちゃんラーメン 西荻窪本店」へとやって参りました!。


<全体> ちゃん系真骨頂!丼縁までなみなみ注がれたスープ!麺を覆い尽くす圧巻チャーシュー!

おいおい、 まるでスープの湖に、チャーシューという名の満開の花が咲き誇っているかのようじゃないか! 丼の縁ギリギリまでなみなみと注がれた黄金色のスープ 。その水面を埋め尽くす、惜しげもなく敷き詰められた肉、肉、肉! これぞ、今トーキョーのラーメンシーンを席巻する「ちゃん系」の真骨頂でございます 。ちなみにこれでデフォルトの中華そば。通常のチャーシューメンを凌駕しているかも?

こってり濃厚な家系や、挑戦者を待ち構える山のような二郎系とは一線を画す、毎日でも食べられる「引き算の美学」 。そんな「ちゃん系」は、すっかり東京のラーメン文化に定着した感がありますね。価格は抑えめなのに、デフォルトでこのチャーシュー増し気分が味わえるのが、まず何より魅力的 。出汁に浸った美しいスライス肉が、麺顔一面に展開されている様は、まさに圧巻の一言です。

醤油ダレの塩梅がまた、実に程よい。明るい琥珀色を保ちながら、キラキラと輝く豚鶏のエキスの煌めき!。レンゲを持つ前から「これは絶対うまいやつだ」と確信させてくれます。そして、肉の隙間からチラリと顔をのぞかせるのは、見るからに滑らかそうな平打ちの太麺! これから始まる旨さの交響曲を想像するだけで、もう気分は最高潮!そそりまくりでございます!

<出汁> 見た目は淡麗!されどパンチあり!クリアな動物系エキスの旨味に、上質なラードのコクと香りが溶け込む重層的な黄金スープ!

レンゲでそっとスープを一口…。う、うまい! まず感じるのは、スープ表面にキラキラと浮かぶ香味油、おそらくは上質なラードがもたらす豊かなコク。これがファーストインパクト! 続いて、豚鶏から丁寧に抽出されたであろう動物系のエキスが、驚くほどクリアかつ芳醇に口の中を駆け巡ります 。

多くの人に愛されるであろう、このスッキリとした旨さ。どこか懐かしいノスタルジックなコンセプトでありながら、古臭さは皆無。むしろ今風の洗練された演出で、動物系の旨味がしっかりと輪郭を描いています。さらに、たっぷりのチャーシューから溶け出した脂がスープに溶け込み、あっさりとした中に重層的な旨味を生み出しているんです 。

そして、じわりと舌に伝わる絶妙な塩気。決して「塩っぱい」レベルではないんです。その一歩も二歩も手前でピタッと止まっているんですが、味が濃いというよりは、塩の旨味がくっきりと立っている感じ。屋号が「凪」を謳っているから、これが「ちゃん系」の塩基準なのか?なんて、勝手な妄装が止まりません。このラードのコクとキレのある塩気がまた、後で大活躍することになるんですよねぇ。

<麺> 絹のように滑らかな多加水平型麺!スルスルと喉を滑り落ちる快感がたまらない!

さあ、いよいよ麺とのご対面です! チャーシューの絨毯をそっとめくり上げ、麺をリフトアップ! これです、これ! 「ちゃん系」といえば、この多加水で平型なストレート中太麺 。絹のように滑らかな麺肌はツルツルとしており、密度感が低めなのか、実にしなやかな物腰。

一口啜れば、もう止まらない! 周囲の目も気にせず、夢中でズボボボッ!と啜り上げます。この喉越しの良さ、スルスルと滑り込んでくる感覚が楽しくて仕方ないんです 。

そして歯ごたえは、モチモチというより「スパスパッ」と軽快に噛み切れる独特の食感。このリズミカルな歯切れの良さが心地よく、痛快ですらあります。食べ進めるうちに、チャーシューの崩れた破片なんかも自然と麺に絡みついてきて、旨味の連鎖が止まりません!
<チャーシュー> 大輪の肉の花!ホロホロ崩れる柔らかさ!タレが染みた赤身の旨味!絶品チャーシュー!

このラーメンの主役の一人、チャーシューいっとききましょう! 見てください、この美しい肉の層を。箸で持ち上げると、ホロホロと崩れてしまいそうなほど柔らかいんです 。


味わいは、濃口醤油がしっかりと染み込んだ、どこか懐かしさを感じるクラシックなスタイル。特に赤身の部分は噛みしめるほどに肉の旨味と醤油の香ばしさが広がり、食欲を猛烈に刺激します!


さらに、このチャーシューが出汁をたっぷりと吸い込んでいるから、もう大変! 旨味の相乗効果で、口の中が幸せで満たされます。脂身の部分も醤油ダレと融合し、ほのかな甘みとなってとろけていく…。ああ、たまりません!

<メンマ> 小気味よいアクセント!名脇役がもたらすポリポリ食感!単調気味な感覚をリセット!


脇役のメンマも忘れてはいけません。スリムなフォルムで、見た目通り味わいも実にライト。しかし、その存在感は確かです。ポリポリッとした小気味よい歯ごたえが、麺とチャーシューの柔らかさの中で見事なアクセントになっています。素材の風味をしっかりと感じさせつつ、ここにも出汁がじんわりと染みていて、抜かりのない旨さです。

<味変> 卓上刻みニンニクをひと匙加えれば一気にパンチの効いたヴィヴィッドな表情に豹変!

卓上には、刻みニンニク、タバスコ、紅生姜という個性的な布陣が。午後から会議が控えている身としてはニンニクは躊躇しますが…ええい、構うものか! このスープにニンニクが合わないわけがない! スプーンに少量だけ取り、スープに溶かしていきます。

するとどうでしょう! 微量とはいえ、ニンニクのヴィヴィッドで切れ味鋭い風味が、出汁に一気なパンチ力と明るさを与え、これまた痛快! ジリッとした刺激が、優しいスープの中で見事に調和し、むしろ全体の輪郭をよりくっきりとさせてくれます。これはクセになる味変ですね!

<めし無料> 自分だけの「ちゃん系雑炊」こそがこの一杯を完成させる最後の儀式だわ!

このご時世にライス無料サービスとは、本当に頭が下がります 。しかし、これは単なるサービスにあらず! 「ちゃん系」の真髄を味わうための、いわば最終ステージへの招待状なのです 。


まずは、炊き立ての白米の上に、丼から救出したチャーシューと麺を数本オン! これがベースキャンプ。そしてクライマックスは、レンゲであの黄金色のスープをすくい、上からとくとくと回しかける瞬間! 見てください、肉と米がスープの衣をまとい、キラキラと輝き始めましたよ!


出汁の旨味と絶妙な塩気が染み込んだ白米は、もはや単なるご飯ではありません。一杯のラーメンの物語をすべて受け止めた、至高の〆の一杯。これをかきこまずして、「ちゃん系」を語ることはできないでしょう!

総じまして・・・「毎日でも食べたい優しさと、忘れられない中毒性!この街の胃袋をがっちり掴んで離さない、究極の日常ラーメン!」

この「ちゃん系」、すっかり都内に定着したのも、この旨さと価格なら納得しかありません。しかも、この西荻窪の「なぎちゃん」は、駅からも近く多くの人で賑わう商店街にあり、このエリアにはなくてはならない存在感を既に放っています!仕事で昼飯難民になった日の救済に、休日のランチに、どんなシチュエーションの空腹にも応えてくれる、まさにこの街のオアシスです!千円札一枚さえあれば、最高の満足と満腹が約束される。そんな奇跡のような店がここにあるんです。激しくオススメ! 旨し!なので…とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!

お粗末! ということで家族にも感謝しながら合掌!! 今日も本当にごちそうさまでした!!!









