愛しき東京の汁なし担々麺たち
10年ほど前って、中国料理専門店じゃなくラーメン店で ”汁なし担々麺” を探すのってそれなりに苦労したような記憶です。今ではフツーによく目にするし、汁なし系専門店なんかもあって非常にポピュラーですが・・・一時期、集中的に追い求めていた時期がありました。そんな中で印象的だったのが「麺庵ちとせ」の一杯だったのですが・・・閉店して、小田原に移転してしまった(号泣)。そんな寂しさを紛らわすために、いい一杯を求めて、今回は秋葉原の人気店、「麺処 ほん田」さんへとやって参りました。ちなみに、以前にまとめた汁なし担々麺の記事は、以下の通りです。
さてこの日は、休日で激混み予想。少し出遅れて開店時刻20分前に到着。行列12名に連結で、この程度ならラッキーと思ってたんだが、早開けで満席の後の12名だった状態。通常開店時刻になると30名超の行列でした(汗)。この場所を根城というか寝城にしてる人は迷惑に思ってるかもだが、あしからずっす。結局、35分後に入店。10分程度で着丼と言う流れでした。
<酒> サッポロラガービール赤星!都心ど真ん中でワンコインで中瓶!立派なおつまみ付きとは泣かせる!
場所柄なのか、ブランドフィーなのか、質見合いなのか、基本的にお値段お高め設定な店ですが、その中でサッポロ赤星中瓶がワンコイン500円で出すのが嬉しい!。しかも立派なおつまみ付き。だから仕事の合間では来たくない。今回ももちろん、食らう前に飲むぜ!。
サッポロオフィシャルグラスと共に配膳!。さてこのグラス・・・傾けながらでないと泡が立ってしようがないタイプ。くびれグラスっていつもそう。まぁ画像メモを撮り終えたあとはゆったりと味わいます。約半月ぶりに味わう赤星。沁みるねぇ〜・・・やっぱ自分にあってるわ。苦味がズシリとした風格は、プレモルのような華やかさはない。ヱビスの苦味は微妙な清涼感がいいね。赤星は、苦味自体がストレートなのが好き。そして後味があまり軽やかじゃないところがいいかもね。久しぶりに飲めてほっとしている。
そしておつまみ。結構ボリューミーな上に質感の高さありあり!。まずメンマだが、関東らしい醤油に染まったタイプ。漆のような色合いに、麻辣タレが少しかかってます。いつも思うが、醤油っぽいけど食らうとあっさりしてるのね。醤油風な香りは残しつつ、素材感が染み入る旨さ。赤星に最適!。そして鶏肉チャーシューが付くのだがこれがまた絶品!。同じように麻辣ダレがかかってるので、これからの汁無し担々麺が実に楽しみにさせる味わいです!。
<全体> 本格四川な質実とした具材!コンテンポラリーな薬味の装い!明暗クッキリ!刺激を予感させる存在感!
つまみが旨すぎて一気に食ってしまった(汗)。スタフさんが気を効かせてくれて、特製トッピングは先に出しましょうか?と尋ねてくれたが、そこまでせっかちではないので、丁重にお断りした数分後・・・配膳されたのがこの麺顔です!。
おおお!これは派手さ抑え目の渋い面持ち!かなり本格路線いってますな!。辛さを示す赤や、コクを連想させる胡麻感が、内部にロックダウンされたかのような面持ち。担々麺では、辣油や唐辛子で赤色を滲ませて辛さと刺激をアピールするもんですが、挽肉と薬味だけの質素とすら覚えます。挽肉と水菜は他にもあるパターンだが、何と行っても芽菜(ヤーツァイ)がこれだけしっかりと入っているのは、本格中華料理屋以外では初めてかもしれません。それだけでも本格志向な一杯と感じてしまう。そして、何気ないネギの上には、やはりこれだね!と言わんばかりに花椒塩が散らばる。そして具材の深い色合いと、水菜ネギの瑞々しい明るさがコントラスト感でくっきり鮮やかもも感じるかな?。写真よりかなり実物は迫力感あり!。
<具材①> 挽肉!甘味と辛味の合間に醬の発酵感??豆板醤のような刺激と甜麺醤みたいな甘味?滲み出る肉汁が旨し!
いわゆる肉味噌ってやつです。牛肉の店もあるがこちらは定番の豚粗挽き肉。粒が大きめでソフトな食感が残るタイプ。意外と肉汁をタレと一緒に感じるかも。さてこの味噌感が面白い。本当に味噌が入っているのか?少しは入ってない?と思える芳醇な発酵感が滲みます。
辛さがあるのでそれは豆板醤か?。ナッツの香ばしさとよくマッチする刺激です。しかしそんな単純な味風景ではなく、甘味に微かに麹のような風合いがあるのかないのか?。多少甜麺醤も溶けているのか?。実にカオスで面白い旨さ!混ぜ返すとこの味わいに花椒塩が混じり合うから、さらに旨さ複雑!。この肉のひと匙程度で、茶碗飯一杯くらいは楽に食えそうな旨さかと!。
<具材②> 芽菜(ヤーツァイ)!極細微塵切り!高菜のような食感と搾菜のような発酵感!タレに混じると絶妙!
実はここ数年前にその存在を知った「 芽菜(ヤーツァイ)」。それまでは高菜の刻みとか思ってた。数年前実家に帰省した時に行った四川料理店の蘊蓄説明で知ったのだが、唐菜だったか?青菜の芽を使った漬物だそう。なので高菜っぽく感じるのも仕方のなかったことかも。味も唐辛子を抜いた高菜漬けに少し似ている気がします。
ただやっぱり発酵感が独特で、雰囲気的には搾菜に似たような風合いもあるようでないような、不思議な風合い。これがタレに絡み合うと辛さと痺れの味わいがコク深く広がるのが素晴らしいのです。これだけしっかりとボリューミーなのも珍しくも感じており、来て並んだ甲斐があったと言うものです。
<具材③> 水菜!パクチー!ネギ!それぞれが濃厚で刺激的な味わいの中で清涼感でハーモニー!
まぁ、汁なし系ではよくあるパターン。野菜系薬味トッピング三銃士と行ったところでしょうか。3つ合わさると清涼パワー炸裂です。水菜は、痺れや辛さを中和しつつもパキパキ歯応えが面白い。食欲をアシストしてくれます。それはネギも同じことなのですが、ネギは、挽肉と絡んで肉味と高めるような気がしてそこがいい!。特に花椒塩が絡んでおりますので、肉には最適でございます。そしてパクチー!これは担々麺のプレゼンス全体を高めてくれる清涼スパイシーな感覚がいいね!。和名"カメムシソウ”。昔々、誰かがカメムシを食ってそれに似ていたからだとしたら、食欲半減するね・・・。
<タレ> 麻芝醤のコクに辣油感強めな絡み!溶ける花椒塩は程よい痺れの爽快感!具材の旨味も絡んで実にカオスな旨さ!
さて、汁なし担々麺を食らうと、どうしても「正宗式」か「成都式」かどちらに軸があるかを探ってしまうのがヲタクの性。ググってもらうと分かることですが、どちらも造語っぽくて混乱しがち・・・。なのでここは、神保町「成都正宗担々麺 つじ田」さんとこの流儀を流用させてもらうこととします。
「正宗」は胡麻っぽくてコクが分厚く甘味あるタイプ。「成都」は麻辣でシャープな辛さと痺れがあるタイプ。だとしたら後者に近い味風景でしょうか。とは言えねっとりした感覚には胡麻の溶けているような気がします。なので胡麻ベースにしつつもたっぷり辣油で辛さが広がる味わいとここでは述べておきましょう。特に自家製辣油がかなり旨く、辛さの中に山椒の痺れる旨さも溶けているようで、食欲が刺激されまくり!。
かき混ぜればかき混ぜるほど・・・挽肉のタレに含まれる”醤”の深み、そして"芽菜"の風合いが混じり、タレがますます深いカオスとなる旨さ!。そして酸味も少しあると感じるのだが、黒酢を少しでも使っているのではないでしょうか??。嗚呼、言葉で因数分解のように語ることができない旨さですよ。
<麺> 自家製手揉み麺!タレも具材も徹底的に絡み付かせる中太縮れ麺!辛味痺れの中でしっかり伝える麺の甘味!
東十条時代も中太だったけどストレートだったような記憶(気のせい?)。秋葉原で初めて食しますが、手揉み麺に変わっておりました。ほん田ってこういう素朴な麺も出すのね・・・正直言って、いい店だと再認識!。
それにしてもタレが絡みまくるぜ(笑)!ねっとりでもなく、とろとろもなく、分厚くちぢれ麺にコーティングするかのように貼り付くイメージ。これだとかなり麻辣な味に支配されると思いきや、噛み締めると刺激を受け止める懐というか・・・仄かに甘味すら感じる風合いが素晴らしい!。タレに支配され切らないところが妙に旨さと感じます。噛み締めを重ねて味わいが深まる?高まる?ような変化が生まれて、食らうこと自体がアミューズと思えてならない!。
また手揉みによる凹みやピロピロな部分が、やたらめったら挽肉と芽菜、そして水菜を引っ掛けます。挽肉のソフトな感触と、麺の明るい歯応えがマッチするのは当然ながら、水菜のサクサクパリパリ感と混じると複雑な歯応となって、それがまた嬉しい。時々、花椒塩の塊とぶつかると刺激が炸裂して驚く旨さ。淡い酸味のような辛さが麺の風合いにもよくマッチするが、芽菜の風合いも残っていつまでも楽しませてくれる旨さです。デフォルトでも200g弱はあると思われ、食べ応え十分!。
<チャーシュー①> 釜焼豚ロース!釜焼のロースト感が香ばしい!飴色脂身の甘さと赤身の肉味をそれぞれ噛み締めてたんおう!
ここは「肉が得意」な店。特製か肉増しはしたほうが良いです。まず豚のロース。周囲は軽く赤ばんでおり、釜焼っぽさを感じさせます。秀逸なのが脂身。釜焼時に燻されたかのような色合いが滲んでおり、飴色にも感じる透明感が見事!。まず脂を噛み締めるといきなりロースト感たっぷりの香りが押し寄せ、その後に溶ける脂の甘味が素晴らしくて、心メロメロ状態です。
赤身もロースト感が染み込んでいるような香り高さ!見た目以上に実にソフトな感触で、噛み締めると肉汁が滲む仕上がりです。嗚呼、赤身由来の肉本来の味って奴が実に上品に口の中に広がってゆくではないか・・・赤星もう一本追加してもよかったかもしれません。
<チャーシュー②> 釜焼豚肩ロース!同じくロースト感広がる風合いにソフトな赤身と蕩ける脂身が合致する芳醇な旨さ!
豚の肩ロースも同じく釜焼タイプ。こちらは少し半レアな状態が残っています。半レアの肉汁と差した脂身の蕩け。噛み締めると赤身と脂身の旨さが溶け合ってすげー旨いのだが・・・それの上にロースト香ばしさが広がり、もう悶絶する旨さでございます。
焼きの香ばしさ!半レアの艶かしさ!それら背反やら矛盾するやらのエッセンスが、しっかりこの一枚の中で成立しとるがな・・・。そして、肩ロースにはもう一枚!半レアじゃない大判スライスも追加!。こちらはより脂身が多めで、赤身はしっかり火入りされたもの。こちらもまさに王道の肉旨さって言う感覚で白飯に合う旨さ!。実は特製にすると、てっきり担々麺の上に乗せられると思ったのですが、それだと麻辣な味と混じってしまう。別皿提供が正解ですね!。いやぁ〜、最初違和感あったんだけど、激しく納得です。
<チャーシュー③> 鶏もも肉!ソテーした皮の旨味が引き締まるモモ肉にも浸透!ソフトな食感に野趣を感じる肉味!
鶏肉が旨いのよ!ここは!。ほん田ってそんなイメージ無かったんですがね・・・秋葉原に移転してからそんな私的感覚。皮がしっかりとソテーされており、それがまた釜焼とは違った香ばしさを表現します。カリカリから少し柔らかくなったような状態で、それが柔らかいようでしっかり歯応えで旨い!。鶏皮苦手って人でもきっと大丈夫。
そしてモモ肉がいいね!。胸肉とは違った少し野趣っぽさもある感覚で、さらに皮の旨味が浸透しているのもいい感じ。肉身が滋味深いのはもちろんだが、皮の脂の旨さも浸透した旨さがここにはある。焼き鳥をもっとジューシーにした感覚。激しくオススメです!。
<味玉にハズレなし!> 温もりとトロトロ濃密さを感じる卵黄はマチュアな甘味あり!少し崩して全体に絡めて堪能!
燻玉?じゃないと思うけど、肉の印象がまだ頭と舌に残ってたみたい。さてこの味玉はまたマチュアな甘味が濃密で旨いね。卵本来味わいと言うより味付け?出汁感が素晴らしく、まるであんぽ柿のような柔らかくて濃ゆい甘さ!。担々麺の麻辣な味わいも、これを食らえば退散するかのようで、まさに贅沢な箸休めとしても機能ます。
ちょっと勿体無いんだが・・・半分は崩して汁なし担々麺にまぜまぜしてみました。麻辣の味に濃密な甘味を混ぜてみたかったんだが、良し悪しだったかも。一瞬面白い味に変化したんだけど、全体の刺激の味にに埋もれてしまった(汗)。
<〆飯> めし割風に半ライスを投入!旨さテッパン!即席担々ご飯!米粒一つ一つに浸透して魂が宿る旨さ也!
ライスにも鶏肉が一つ付きます。それ諸共、残ったタレと具材の中に放り込む!。カチャカチャと、レンゲをぶつけて音を立てながらよく攪拌してゆきます。担々風飯割の完成!。
もうこれは説明不要な旨さかと!。これまでの麻辣担々なる味が、ご飯粒一つ一つに絡んで浸透し、お米の甘味と一体化!。やはり日本人なら米で締めたいという満足感もあって、ソウルフルにも感じる旨さの展開です。後で気が付きましたが、「担々丼」と言うサイドメニューもあるようです。フツーに醤油や塩の汁系食った後でも、これと似た感覚を楽しめるようですし、そちらも激しくオススメかも!。
総じまして「間違いなく東京トップクラスの汁無し系担々麺!タンタン好きなら一回食っとけ!」
・・・と言う感動の嵐!。どれ食っても旨い店ですが、汁無し担々麺も看板メニューと言うプレゼンスの高さです。これから暖かくなってくると、こんな汁無し系で冷たいビールを合わせながらってのはいかが?激しくオススメ!旨し!なので・・・とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!