全く個人的な感覚では・・・2018年度は地味に「山椒ブーム」だったような気がする
- 大人の休日の過ごし方・・・純米吟醸「奥の松」
- 琥珀色の白出汁醤油に、和山椒のフレッシュグリーンが染み入る美味さ!ほのかな日本の味風景が見事!
- 湿りしつつもほのかに渇きと風味を感じさせるストレート細麺!汁を吸って迫力進化の美味さの勢い!
- ピンク色した肉地肌に、フレッシュグリーンの粗挽き和山椒の散らばりに味の錦を見る!
- 総じまして「繊細なる味の色表現の見事さ!まさに4K8Kクラスの質実ラーメン!」
師走になると、2018年のラーメン活動を振り個人的に返ったりいたします。私的には2017年は「冷やし中華」回帰が印象的で、2018年は一転して「冷しラーメンが完全に一般化」したようなラーメン事情と思ってます。そんな中、今年は一年を通して地味に「山椒のラーメン」がプレゼンスを表しているのが印象的です。
一番わかりやすいのは「麻婆ラーメン」の浸透。数年前なら探すのに一苦労だったものが、今では楽に探し食べられる。一般的に意識されたのは「新潟麻婆ラーメン」の東京進出でしょう。大衆町中華の片隅にあったこの一品も、注目されたら嬉しいです。そしてもう一つ、さらに地味にファンを獲得しているのが「和山椒」。痺れではなくて、香りある刺激として捉えたような山椒テクニック。詳しくは以下にてまとめてみました。
そんな中、完璧に見逃している山椒ラーメンを、今更ながらピックアップします。それがこの店この一杯です。「Kinari」は四季毎にメニュー見直しをしておられるようで、この「山椒 白醤油」は秋から定着化したメニューと記憶(間違ってたらごめん)。それが冬にも引き継がれたので、今回食い逃したリベンジを兼ねて行ってまいりました。実は最近、新所沢の同店新店舗を訪問したばかりで、そちらの影響意識も働いたのが本音ですがー。
大人の休日の過ごし方・・・純米吟醸「奥の松」
とは言っても、せっかくの休日なのだから酒だ酒!まず冷酒だ!!。ハートランドもいいんだが、どうも朝から曇り空で冬気分な天候なので、寒くてならん。今回は冷酒とさせてもらいましょう。福島県の二本松にある蔵ですね。近年、賞を獲ったりして妙に覚えています。
純米酒の野趣を残しつつ、吟醸なりのキレも持ち合わせるバランスの良い酒。辛口にもズドンとくる重みがあるようで、キレがあるとは矛盾しているようす。なんだが、そんなアンバランスのようなバランスの良さが、純米吟醸と一般的に呼ばれるジャンルの良さなんでしょう。サービスのアテをつまみながら食うとまたうまし。鶏胸肉のコンフィを整形した時の端っこかのかな?。純和風な酒に妙に華やかな液浸透があり、合わせて食うと和魂洋才のような旨味あり。
琥珀色の白出汁醤油に、和山椒のフレッシュグリーンが染み入る美味さ!ほのかな日本の味風景が見事!
店内は、案外狭いのだがスペースの使い方がとても旨い。グループ客の大小で器用に対応可能なテーブル席がナイスでして、学生4人組のガヤガヤ客から、小さい子供連れのファミリー、しっとりカップル客、そしてオレみたいな単独ラヲタまで器用に運び入れます。それでいて案外待たされ感がないから、ちょっと感心しました。コートをかけるプチクロークや、ベンチシートがスペースの有効性を発揮してますな・・・。最近、改装の見積もりとったから、ちょっと店の作りの方が気になっただけー。そんな興味本位爆裂なタイミングで、配膳が完了。それはこんな麺顔です。
おおお!これは和の穏やかさや落ち着きを一面に感じさせますが、肉の色気といい、山椒の散らばりといい、洋風装いも感じられる。今のトレンディさにズッポリハマっていると感じつつも、その完成度には息を呑む。和山椒は汁に浮いているか溶けやすくなってるかと思い込んでたら、なんと肉の上ですよ。それだけに、スープにも肉にもこの影響が楽しみに思えます。
さて・・・肉の上の山椒どうしようか。一応半分だけ箸で山椒を払って汁へと投入し、ちょとだ間を置いてスープを楽しみ始めました。
前半は白出汁、白醤油のまろやかさを存分に堪能です。もっと透明感あると思ってたら、しっかりめの琥珀色ですね。透明感にはうっすらと霞がかってまして、それだけにエキス感を連想させます。そして和だしの中でも、昆布類とか節系の乾物旨味が芳醇なのがわるような気がしてきた・・・。白醤油なりの輪郭丸めのカエシ感覚も想定内。鶏ガラエキスの豊かさがしっかりとありますが、鶏油とか派手な色気がない。鶏系よりも魚介系の旨味が微妙に過半数を超えたか・・・そんな味風景です。
そこにゆっくりと和山椒風味の溶け出しを感じ始める!?。山椒だから痺れないわけはないが、もともと刺激よりも香りが得意な山椒ですから、汁に溶けると生き生きと能力を発揮します。柚子のような果実系のフレッシュさを併せ持ちながら、洋風スパイスの身の詰まったような香ばしさもキープしており、鼻腔を抜ける雰囲気は華やかさがずば抜けている。しかも低刺激。もはや山椒はスパイスではなく「出汁の素」と化してます。
しかし、「はんなり」として「ほのか」な山椒風味だから、味が段々と慣れてきます。刺激を感じなくなるのが少し早いかも。そうなればオススメはテーブルセットの市販七味を少し入れることでしょう。一種のカンフル剤にも似た効能で、刺激が少し蘇ると共に、七味の風味がプラスされて微妙に味変化が生まれます。これは最早、関西うどんの出汁ですな。産まれの京都では、実は山椒好き・七味好きな人が多く、庭で山椒の木を植えては葉をもぎって冷奴や丼物やうどんに入れてたもの。七味だって山椒が生き生き。だから山椒ラーメンにオレがハマるのかもしれません。
湿りしつつもほのかに渇きと風味を感じさせるストレート細麺!汁を吸って迫力進化の美味さの勢い!
麺がまた旨い。いわゆる中加水のストレート細麺と思われます。ねり水の個性は極めて低く、粉の風味感をストレートに伝えるところが旨さの本質。表層がうっすらと透明感ある滑りです。中は芯があるのかと思って、千切って見ると、アルデンテが今まさに消えゆくといったイメージ。湿り気と乾いた風味が入れ替わる瞬間のようです。そこですでに汁の浸透が始まってます。
前半は残り香のような麺の風味、グルテンの風合いを楽しみますが、中盤以降は汁と麺が一体化した旨味が高まります。炭水化物だけでは旨さに限界があり、おかずやふりかけがあってシフトアップするもの。そんな瞬間に食欲が刺激されると感じてます。おかずやふりかけには、動物系タンパク質や各種アミノ酸が含まれているので、新たな刺激を受けるのは当たり前ですな。そんな味風景の下克上が、ラーメンの汁と麺の関係にも展開されているように思えてしまう。ほとんど病気な発想ですが・・・。
ピンク色した肉地肌に、フレッシュグリーンの粗挽き和山椒の散らばりに味の錦を見る!
中学か高校で、色環というのを習った覚えがあります。確か赤と緑は真逆な色合い。確か補色関係って言ったっけ。白と黒のようにコントラストを強く感じさせる相性だと記憶してます。学術的には「合わない組み合わせ」でしょうが、ファッション的にはこれが「刺激」と捉えられ、また広告宣伝の世界では「高いメッセージ性」と捉えられうようですな。私の普段のプレゼンで使うパワポでは、絶対に使ってはいけない禁忌な組み合わせなんですが・・・・。その爆裂な組み合わせが、このレアチャーシューと和山椒クラッシュの間では調和している。こんなに長閑なコントラストが、この世の食べ物の中にあったのだろうか。
残ってた山椒を落とさずに、そっとレアチャーシューを食らう。嗚呼!!!痺れ低刺激とフレッシュな香味が駆け抜ける一方で、しっとりでレアな豚肩ロース肉の身と脂の旨味がこれを覆う。もし味の世界にもコントラストとうものがあるとしたら、山椒の刺激と、肉脂の甘み旨味の相性はまさにそれなのか!?。普段絶対に遭わない味がこれほどに超絶うまいのか!。もしも、ここに粟国島の塩がひとかけらあるとしたら、完全に完成して昇華しますな・・・・。
これだけで終わりませんでした。隠れていたから気がつかなかったが、豚肉の下には「鶏胸肉のコンフィ」が備わっておりました。しかもサイズよりは肉厚ぶりがハンパない。それに汁を十分に吸いまくっており、オレが見つけた時には準備万全で、すぐ食えと待ち構えておりました。前歯を当てて軽く力を入れますが、その瞬間に肉繊維がプチプチプチプチプチプチ・・・と避けてゆき、その後奥歯で噛んだらスポンジのようにジューシー。まじかよ!・・・、実はこの時、「奥の松」が一番回ってた瞬間でしたがー。
総じまして「繊細なる味の色表現の見事さ!まさに4K8Kクラスの質実ラーメン!」
・・・と言うしかありませぬな。唐突な例えですが、ちょうど妻子が買え買えとうるさいもので、あしからず。でも細かい味風景の表現や計算が見事だし、味の移り変わりもしっかりわかる。唐突だったが、そう外れてもないと思うのだが。ま、今年一年の山椒の振り返りもできましたし、来て食って本当に満足です。そんな・・・はや来年へと繋げる気分で、とっとと最後に詠って、いつものように締めたいと思います!。
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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