【東京都内で「ニラソバ」ならここ!シリーズ その8】
<まず屋号が最高に良いよね!何となく定期的にゲンを担ぎに訪れたい!>
今回はまた「美しいニラそばをを求めて」みました。大体、「ニラそば_東京」などでネット検索すると、画像が出て来るのがこちら「多来福」の「ニラそば」でして、そのいかにも韮々しい麺顔の碧さは、一度見ると脳裏から離れません。この一杯が今回のニラそば連食企画のクライマックスでも良かったのですが、我慢できずにとある休日に、突撃してみました。
とにかく、こちらの屋号がいいね!。「多く、来る、幸福=多来福」とは実に縁起がいい。食べログなどでこの単語で検索すると、意外に日本全国で数店舗しか存在しません。なんだか厄除けか招福祈願の様な面持ちで訪問してしまうオレです。そんな神々しい屋号の店内に潜入すると、すごく居心地のよい町中華の風景が広がり、そしてBGMの様にお昼のテレビニュースの音声が静かに迎えてくれます。さらに例外なく、昼間から町中華で瓶ビールをあおってる地元オヤジさんがおられて・・・そのオヤジ含めて風景の中ではセットになってる。こうでなくちゃ、休日昼間の町中華屋は!。
こちらは、昭和のノスタルジーと清潔感が両方マッチしていい店みたい。またフロア担当の奥さんは、手持ちぶたさだったら、永福町大勝軒の様にお冷が減ったのを継ぎ足しにまわったりして、とてもいい感じです。ほんといい店だな・・・これから験を担ぎに定期的に訪れようかしら、と感じ入ってしまった流れです。
<まさしくニラをストレートに味わうために生まれて来た!>
まさしく、写真サンプルやネット上の紹介画像と寸分の狂いもなく、期待通りの麺顔が配膳されます。奥さんのごゆっくりどうぞとの添え言葉も、実に感じいるね。そんな麺顔がこれです。
大衆的な美しさと言うのがあるとしたら、これか!と思うほど完成度が高いと思いませんか?。あるのはただ「ニラ」だけです。中華屋での炒めものの様な、調理中の・・偶然や妙による「どこかバランスあるワイルド感」とは別物。整然とニラが静かに麺顔を埋め尽くしております。昔、絵の具の中に「ビリジアン」と言うのがありましたが、なんとなくそれを連想してしまうほどの、鮮やかな深緑。中央にはハーフ味玉が満月の様にポカンと浮かんでいる。卵黄が月なら、白身がそれにかかる霞雲の様な心象。町中華の絵画ですな。
このニラがまたいいサイズ感。ザクザクと歯応えを感じるサイズと、歯に明らかに貼り付きマヌケヅラを演出する刻みサイズが、双方非常に似ている感じです。前歯で千切る必要がないため、ダイレクトで奥歯へと運んでじりじりとすり潰しながら韮を食う。そしたら、これがまた韮がとても優しいほどに甘いのに驚くのですわ!。韮が甘いと言っても相対的には苦いはずなのですが、中の汁がとてもすんなりと旨味として甘いのがいい感じですよ。
ひとしきり韮の感動をかみしめたところで、「箸休め」の様な味玉ハーフをいただきましょう。気味が芋羊羹の様なスカスカとしたねっとり感があり、塩ダレ系の深い浸透による深い味の馴染みがナイスです。シャバシャバとした韮の海を一通り味わった後に、このねっとりした卵黄の味わいが、実に味展開の幅広さを感じさせます。韮と対極的な卵黄の熟成感、濃密感で、旨さに震えてしまうかも・・・。そして、ハーフサイズという刹那を思わせるところも、侘び寂びに通じるか?それは言い過ぎ。
<ナチュラルなモチモチさがこの上なく優しい!和みの多加水ストレート麺!>
次なる麺ですが、この一杯だけではない、麺メニュー共通の品だとは思いますが、ニラとの絡み合いの薄さが妙に印象に残りました。つまり、あまり韮トッピングに「絡もうとしない」ところがこれまでの韮そばとは違う個性です。
ツルツルさが伺える光沢から、これは多加水麺だと判断するは容易です。しかも密度感があまりない上に、汁を吸い込みがちが個性がありありですから、とてもしなやかな腰つき。前歯ではスパスパと安易でリズミカルな切れ味を演出させつつ、奥歯のプレスでは短いタップで呆気なく潰れます。その際の汁を吸いきったグルテンの旨味はまた格別なのです。
しかし、一向に韮と麺が絡み合おうとしないので、ここが全体での面白いポイントでした。韮と麺をからめて食うなら、レンゲで小ラーメンを作って双方を入れ込み、一気に食うしかありませぬ。いい年齢して女子の様な食い方をひたすら続けるオレ。あまり他人には見せたくない食い方ですが、これがベストな食い方でした。
<ベースの鶏ガラ清湯に忍び寄るニラの甘さと辣油の穏やかさが最高!>
さて最後にスープなのですが、調理系町中華麺を食い続けると、どうしてもスープは後回しに評価してしまうものの・・・今回はスープのうまさが光りました。
何が光るかと言うと、ベースの鶏ガラ系醤油清湯の穏やかさはすごいものの、韮炒めには辣油が少しばかり入っていると思われ、それと炒め油と韮のエキスが混合し、とても言葉では表現しきれない、「韮甘さ、ベースのコク、醤油の塩気、辣油の辛さ、麺が吐き出すグルテンの甘み」が渾然一体となって、味蕾に沁み渡る・・・・。それらを総合的に一言でまとめようとすると「穏やか」となるわけだが、どうも説明がしずらい。学生の頃から、物理・化学・数学が苦手なもので・・・・論理だって説明や証明が今でもできないオレです。
総じまして、「韮正統派にして王道なる穏やかさが沁み入る和みのエバーグリーン!」と言う何だか食った後でもじわじわ来る優しさがいい一杯。これはまた、別バージョンの「とじたスタイル」のニラそばにも期待が高まります。そして他の面白く独創的なラーメンにも興味がそそられる。ここはまた必ず来ますよ。近くにコインPが多いものの、なぜかいつも「満」状態で困るのですが、気にしてられない。屋号にあやかって年末か年明けにまた来たいと思う次第です。と言うことで・・・感動を忘れないうちに、とっとと最後に詠って締めたいと思います!。
年末に
今年の苦労
洗い出し
願いを込める
来る年多来福
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!