超朝型の私が、出社直後から猛ダッシュでタスクを片付け、各種調整を整えて、昼飯時も忘れて駆け抜けたとある週末。さすがにガス欠気分の夕方になると、「今日だけは浴びるように酒のみたい!」とか「ええもん食いたいわ〜!」と思う。こういうときに限って・・・みな都合悪くて発散が出来ずじまいで悶々といたしました。とっても良い秋の夜なのにね〜・・・。仕方が無いので、また一人、いつものように麺探訪といきますか。ってな感じで、課題店へと足を向けてみました。向かうは「もりの中華そば」さん。これまで訪問して2度、フラレてます。
訪問時には、空き1席だけという絶妙のタイミング。近くの家族連れとか、オヤジ達が気持ち良さそうに啜っておられます。たちまち後客に待ちが発生しまして、今回はついているなという感覚。ついつい「特製」のボタンを押そうとするが「1030円」という表示にビビる私。小心者ですね・・・・
【スープ:あっさり系のようで、しっかりとした豚鶏&魚介の出汁バランスが光る】
<しっかり丁寧煮出しの豚鶏ガラの出汁、落ち着いた魚介感>
でも今回は、「特製」に致しましたから豪勢に見えますが、基本的には「昔ながら」的な穏やかな醤油ブラウンが魅力的な色合い。あっさり鶏ガラ系の味わいと予測しながら、まず最初の一口。当たらずも遠からず・・・。実に落ち着いた味わいが深く染み込みます。豚鶏の動物系の旨味と、魚介の穏やかさが、とても拮抗してバランス良いというか・・・。しかし、私は豚コクのしっとりで丁寧な煮出し感が濃ゆいと、個人的には感じました。
鶏ガラも投入されておると思うのだが、豚のしっとりとしたコクが霞のような濁りに連想して感じるような。コクに甘みすら覚える、丁寧な煮出し感がとてもあっさりとして、しっかりとしているように思えます。単なる淡麗とはちと違う印象なのです。そして鶏ガラっぽいサッパリしたの味わいも印象的。鶏油のような色気は一切排除。素朴さがむしろ色っぽいような裏腹なコクが実にいいですね〜。
また動物系だけとも思えぬ魚介の落ち着き感があるようにも感じます。煮干のようなかっつりとした苦みや、また甘い風味はなしでして、節とか昆布・・・ひょっとして椎茸??(はないか)を入れたようなDNAに訴えかけるような落ち着き感。これらが、動物系とあいまって、どちらが濃いか分からないほどに、ピッチリとしたバランス感が秀逸と思えますね。味が濃いめなのか、薄めなのかも、判断つきかねる。
<醤油ダレの円やかさが光る>
一方、醤油ダレの円やかさも秀逸!むしろ決め手となっているかもです。カエシを効かせた塩気で香ばしくも感じる?というタイプより、とにかく角が丸い味わいで、まろやかな印象。しかし、円やか過ぎないところもまたセンスあるな〜と思わせてくれる、ハイセンスな感じです。もう一歩突き詰めれば、「素朴!」と決めつけてしまいたいのですが、どこか一歩手前の寸止め海峡。
塩気がなくもないけど、動物系に結びついたような味わいで、むしろ食欲をそそる。次第にチャーシューの脂旨味がスープに溶け込んだりしますので、醤油ダレの醸造感もより淡くなっていく感覚ですが。
【麺:素朴さを感じさせる細かいウェーブ、密度感の高さでより風合いの良さを感じる】
<密度感を印象づけるクシリとした歯応えが印象的>
麺をリフトすると、細い麺ながらも細かい縮れが印象的。見るからに素朴と感じさせる逸品です。これを見て理由なく、クチリとした淡白な潰れ方が頭にひらめきます。しかし、事実は逆でクッシリとした歯応え。前歯の当たりがカツカツというより、クシクシクシリといった切れ込み方で、残像感があるような歯応え。意外だったので、千切った断面を見てみると淡く芯のようなものが視認できます。アルデンテというほどでもない芯。ここに麺のグルテンの風味があり、素材感や熟成度を結びつけたりしますな・・・。奥歯でのプレスは、クニクニと高反発かと思わせながらも、実は低反発で潰すことに負担を感じない。いや〜、この麺はいいですよ。
<やや細ウェービィーなフォルムが見栄えもスベリも素朴!>
マイクロウェービィーとでも言いたいような、細かい縮れ方がまた啜っていて楽しさを与えます。内頬のタッチ感より、私は、唇に当たる感覚が、さも、ぼそぼそぼそぼそ〜!っとした連続した細かい当たり方のように感じてなりませんな。そこに訳もなく「素朴なタッチ!」とか結びつけた乾燥。意外に汁の吸い込みを感じさせないところもあって、このぼそぼそぼそぼそ〜!とっとした感覚は、最後まで持続したりして。
【具:どれもシッカリと作り込まれたパーツたち!満足感を高さに値ごろ感を再認識】
<圧巻の3つの部位で肉厚なチャーシュー!さすが特製!>
「特製」を注文して一番楽しみなのは、チャーシューでこのワシをどこまで楽しませてくれねん!というところでしょうね。これは圧巻でした。3枚の大判の肉が、実に「厚く」、そして「多種」なのです。肩ロースあたりの部位が2種あって、脂と肉質の部分がいいバランスで入り交じったのが1枚。そして、脂身少なく、肉質の部分の旨味で噛みしめて旨しと思わすクッシリ系な1枚。そして、いかにもバラ肉ロールで脂の旨味を楽しめ!的なのが1枚。
醤油ダレが薄らと外周に染みていますが、基本的に薄味。それだけに、肉本来の旨味を食っているという充実感を与えるといったところかもです。何にしても厚みも申し分ないところが、英世1枚以上出した甲斐というものを感じさせます。
<深染み味玉!甘くも感じる出来具合いがグッド!>
一転して、味玉がまた深い染み込みで旨かった。最初から、キャメルブラウンよりも濃いめの色合いが旨そう。白身にも深く染み込んでいて、白身だけでもぷるぷると旨い。その上に、黄身は緩い芋ようかんのようなタイプで、ネトリとした液状はギリギリないという熱の通り加減。これがまた黄身だけ食って、醤油ダレの風味と相まって・・・・甘し!とすら感じる出来具合い。これは・・・甘口の日本酒で胃の中へ流し込みたい気分にかられる。日本酒置いてないけど。
また、特製らしく海苔も大判で3枚もあって非常にうまかったりする。海苔自体も肉厚で、1枚1枚が食べ応えすら感じます。スープに接しても溶け込んだりしませんし、何より風味が抜群!やっぱり、躊躇したけど特製にして良かったと心底思える瞬間ですね。
総じまして、「たまに食いたいご褒美特製ならココ!」と思える仕上がり感。単なる中華そばに英世一枚!と思えど、何かを達成したなら、これをまた食いに来たいと思える仕上がり感ですよこれは! こうなれば、次はつけ麺かな。もち、特製のね。
仕事は山積で、休日出勤確定したにもかかわらず、食って帰る夜道が妙に気持ちよかったりする。寒くなる前に、もういちど来るか・・・。なので詠います!
月明かり
秋の夜風も
優しげに
週を乗り越え
ご褒美特製
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!