偉い方々がみな会議やらで出払っている夕方の終業時間なら、そりゃ早く退社することを考えますよね。パソコン持ち帰ることとして、家でメールチェックするつもり。で、まだ明るい夕方のうちに帰宅します。そこへ妻からメールがあり、子どもとと実家で食事してから帰るとのこと。なんだせっかく平日家で晩飯と思っていたのだが、ちと寂しいです。そんな気分もあってか、女性が切り盛りしている家庭的な店「好日」さんに行きたい!と思ったのかもしれません・・・。引き寄せられるように東中野で途中下車です。
消費税が上がって、軒並み価格アップしているラーメン業界ですが、こちらは以前と変わらない価格を維持で嬉しい。小さい生ビールも300円のままだ。麺と合わせて英世1枚を越えないようにと、「らあめん・並」と「生ビールグラス」をチョイスです。嗚呼・・・生ビールの入れ方も上手!写真では伝わらない旨さがそこにある!
【スープ:柔らかさの中に淡麗さ、昔ながらのようで、一周回って来たような新しさを知りますな】
<クラシカル&クール!じんわり染み入る淡麗清湯醤油>
やはり贔屓目をさっ引いても、こちらの店の雰囲気は和む・・・。女性の落ち着いて明るい接客と、中央に配置してある大きな丸テーブルと花飾り。そして何よりも掃除により清潔さがキッチリと保たれている。こういうところに、製造業の現場力というものを感じるのは職業病だろう。自家製麺の店と言えば、ところどころ粉が床や隅っこに残っていたりするのだが、そういうのも一切ないし、注意力の高さを感じて、コレから出て来る一杯への期待度も高まります。
それは、小さめのお盆にのって恭しくやってきます。見るからに定番の東京風な醤油ラーメン。「らあめん」というところが、どこか新宿名店とイメージがダブるところもあるが、麺顔のスッキリと柔らかい雰囲気も似ているような気がします。店先に無化調のふれこみがありますが、見ただけでなんとなくそれっぽい。レンゲをリフトしてまずは最初の儀式のように、ゆったりとまずはひと啜り・・・・・。
うわ・・・これは淡麗な醤油味!尖ったところがまるで無い。まさしくスルスルと染み込むような淡麗な味わい。醤油のカエシもとても滑らかで、もはや出汁と化している。スープ表面に浮かぶ脂の輪をみても、じっくりと煮出された豚コクと鶏ガラエキスを感じる。魚介はあまり表にでてこないような感覚だが、この落ち着きようはきっと魚介が奇麗に使われているのだろうね・・・。後味も柔らかで酸味や塩気の残存を感じず、ただナチュラルな旨味のみ淡く舌の上で佇むのみ。ただ・・・嗚呼、旨しと心の中でゆっくりとつぶやきだしますな。
<ライト&クリアなラード!乾物系旨味がハーモナイズ>
淡麗のようで淡麗過ぎない。食べ応えや腹持ちの良さもライトに感じる。よく見るとスープ表層にクリアなラードがラッピングの如く薄い膜を貼っている。これが決して重くない。薬味ネギの味わいさえ映えるかのような透明度あるラードの存在感です。そしてその一方で、乾物の旨味を仄かに感じる余裕度も持ち合わせた感じがいいね〜。
昆布系の旨味成分が落ち着きを感じさせているのだろうか?いやそれだけでは、説明がつかないもう少し複雑さもあり・・・。椎茸の旨味か? 節系のような香ばしさは隠し味程度か、ほとんど全面にでてこないが、和風の出汁感を感じる、ライトな旨味成分が、日々疲れたオッサンには堪らないほど馴染む。いや〜・・・この東中野駅エリアでは、これ食ってりゃ間違いないのかもしれない。
【麺:やさしいだけではない!バランスときっちり作り込みを感じる自家製麺】
<モチモチ度感じつつ、キッチリとした密度感覚>
麺がまた良い!ここでは、たまに「つけめん」も食するのですが、私は俄然「らあめん」派です。見るからに中太ストレートの多加水系ですし、期待通りのモチモチした弾力性があります。しかしその弾力に密度を感じるしっかりとした歯応えがある。切り口を視認しても、芯はないですが、最後の千切る段階では、クシリと感じるカタメのテンピュールに似た反発を覚えます。モチモチ度、そしてクシリ度が、見事にキッチリと表現されております。ますます見直す自家製麺といった感想。
<滑り込みも豊かで三拍子揃った自家製麺>
しかもツルツルとした滑り込みがまた気持ちよいほどに決まるね!きめ細かい地肌感もあるのだが、汁は染み込みやすいタイプなれど、全体的なしなりは、時間経過と比例せず、ほどよくキープされたまま最後まで味わえます。最後まで一定で高速にすべるタイプで、ごつごつとした抵抗感なく一気にするすると啜り食える感覚です。
いやはや、これはすごいぞ。モチモチ弾力と、クシリな千切れ感、そしてゆったりとしたしなり感覚と、高速で滑らかに滑るタッチ感。なんとなく三拍子そろったような完成度を覚えるのだがいかに!
【具:気を衒わない、当たりまえな仕上がりが、また一層心を和ませますな・・・そんなトッピング達】
<チャーシューが安定感ある優しい味わい>
チャーシューメンに適切と思われる定番な作り込みを感じるチャーシュー。ロース部分で適度な脂のさしを感じる肉感覚。大きさ・厚さともに文句はありません。味わいは薄味で塩気というより、醤油ダレの味わいの染み込みを感じます。熱の入りで後半になると解けるように崩れ、箸でリフトすると自重で筋にそって分かれます。いろいろチャーシューも調理法が味付けが進化していますが、こういう薄味醤油系のチャーシューってのは、永遠に好きと思えます。
<クラシックで上質コリコリ感覚あるメンマ>
メンマも写真で見るよりは遥かにクラシカルな表情です。淡麗な醤油ダレをふんだんに吸い込んでいるので、色合いよりは遥かにライトでナチュラルな味わい。そして小さめサイズでスリムながらも、コリコリとした歯応え小気味良い。ああ、これなら生ビールに合うし、焼酎にも絶対に合いそうです。旨し。
総じまして、「オヤジの憩いを感じさせてくれる、どこまでも優しい醤油のらあめん」という感想(そのまま過ぎるか)。その「そのまま」な感覚が、いかにも和ませてくれる一方で、異様に眩しくも感じる次第であります。やはり、人間らしい生活時間で、落ち着いて食事をするというのが、非常にいいね〜。この数年、こういう小さくも当たりまえの事が、とても大切に思えてくるわ・・・。旨いものをちゃんと食うと、感謝を覚えるものですね。なので詠います!
夕刻の
和むムードと
生ビール
くだける気持ち
解けるチャーシュー
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
- 作者: ながいのりあき
- 出版社/メーカー: ゴマブックス株式会社
- 発売日: 2014/05/23
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る
- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/04/01
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
- 作者: 三好十郎
- 発売日: 2012/10/05
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (1件) を見る