雨が降って・・・今日は一日、遠出もせず、当然休日出勤もせず、しんみりと落ち着いた気分で過ごそうとしました。するとですな・・・・日頃の疲れか寝不足か、ぐっすりと昼寝が過ぎまして置きたら昼を過ぎています。妻が気をつかってくれて起こさずにいたようです。朝から何もクチに入れていなかったので、少し食事をしてクルマにガソリンを入れにプチ外出して、何も考えずにボーとした時間を過ごしましたわ・・・。すると午後2時過ぎて、体が起きて来たというか、少し空腹を覚える。そう思いものも食えず、「とっても普通で、しかしとってもイイ一杯を食いたい」という衝動にかられます。すると思いつくのは、もうこの界隈ではここしかありませんな。「ラーメン専門 くぼ田」さん。しかも、味玉塩ラーメンというメニューまで頭に浮かびます。今回は素直に衝動の通りに行動してみた次第。
しかし、雨降りの午後遅くというのは、実にありがたいね。いつも並んでいる名店であっても、この余裕あるスキ加減がよい。小さい店舗に先客2名のみ。さびしくもない。一番手前の端の席に座っていろいろ週刊誌やら読んで社会勉強をしながら麺を待つ。一週間で一番すきな過ごし方だね〜。永遠に続いてほしいとも思うけど、そういうわけにはいかない。AKB総選挙絡みの記事を読み終えたころに、配膳が完了。一気に集中力が高まります。高台から受け取って・・・いざ実食です。ああ・・・いつもの通りであります。このいつもの通りってのがいいね〜・・。唸るばかり。
うう・・・、いつ来ても同じお出迎えな麺顔!この安定度はハンパなく、見た瞬間に旨さの記憶が呼び起こされまっせ!!
【スープ:ふんだんでやさしい魚介感が、円やかな塩気と感じるけど・・・そこには丁寧な仕事ぶりがある】
<魚介の効いた優しい塩ダレ!オーソドックス極まると、かえって崇高と思えるカエシのエッジングが丸くてGOOD!>
麺顔がいつも同じで具のパーツたちが、ぴっちりといつもの定位置にある。ご店主の実直な性格が伺えるようで、気を衒わない質実さをひしひしと感じます。その質実さはスープの味わいにも現れていて、まさに「淡麗な魚介感」でして「苦みのない煮干し」が、しっとりとした味わいを醸し出します。そして、塩ダレには、白醤油を思わせる円やかな塩気を感じますし、煮干し感に厚みを増すような働きかけがそこにあるような・・・。
とにかく流行を追わないという感覚がいい。かといってノスタルジーに縛られていることもなく、明るさも見え隠れする味わい。やさしい味わいがしっかりと出されている・・・そんな塩ラーメンスープ。これは間違いなく飽きが来ない。
<淡く、鶏ガラ・豚肉の旨味が染みていればこそ、食べ応え感あるスープ感>
魚介ばかり褒めると、動物系についても少し触れておかないといけなくなります。こちらもオーソドックスに、鶏ガラがすっきりとしていまして、しっかりと煮出された感覚があります。しかし鶏油やモミジのようなコッテリ出汁は感じず、むしろ豚肉エキスの味わいを微妙に感じて和む感じがしています。チャーシューの脂身から滲む部分は、とても芳醇なエキスが存在し、淡麗の中にも華やかさを感じる部分かと思います。
また、食べ進めるほどに、麺から受けるグルテンの風味が徐々に溶け出し、出汁がやや濁りつつも旨味を肉厚に、そしてより円やかに感じ出す・・・。淡麗塩スープって、いろいろ食べ終えるまでストーリーを感じ取れるもんですね。
【麺:フォルム・歯応え・風合い・・・・それぞれが皆、柔らかく、落ち着きを感じる】
<多加水ではあるけれど、柔らかいグルテン感を少し思わせるクシリと優しい歯応えが嬉しい>
一言で語ると「熟成度を感じる」ということか。とてもキレイなストレート麺で、地肌の色合いもやや白めでスープと対比して映える感じが食欲をさそう。そして啜り上げて前歯で千切ると、一見スパスパとリズミカルに切断されそうだが、亀裂の間際に淡い弾力を感じる。そして小麦・・・・グルテンの風合いを淡く感じる。モチモチとした弾力ではなく、極度に低反発なテンピュールのような圧力感。そんな優しい歯応え感覚に、どこかしら麺の熟成度と結びつけて感じてしまう。
クシクシ、クツクツした密度感もいいが、ときにはシルキーな麺も啜ってみたい気分もある。この日は雨が朝からしとしと降っていて、なぜだかやさしい食べ物にありつきたかった気分だったが、そんなフィーリングもあってか、すごく気分に馴染んだ麺であったようなです。
<地肌のきめ細かく、やや表面のみ滑った部分で一気に啜れる・・・やさしい抵抗感>
まぁ、そんな「熟成」が効いた麺であるから、地肌のきめも相当細かく、するすると滑り込むよう。ややスープを吸い込んだところも、全体的にしなやかさを増していて、やさしく啜り上げるといった感覚。これなら、女性にも受けるだろうな・・・と思うけど、一度も妻を連れて来たことがない。こちらの行列に加わってみると、よく壮年のご夫婦が並んでおられるのを目にするが、そういうのもイイね・・・と実は正直思っている。
【具:味玉は、一回食ってみろと広くアピールしたいのだが・・・・かえって迷惑か?】
<バラ肉ロールのやや醤油系の風味が効いた味わいが、この一杯では箸休めになっているかも>
「これ位がちょうど良い」という感覚と「スタンダード」な感覚が共存するような印象です。最近、チャーシューが2種類あったり、また鶏と豚など種類も分けたりして、チャーシューの分野においても進化が止まりませんが、重くもなく、脇役をわきまえつつ、落ち着いた感覚がとてもいいです。
バラ肉ロールという定番なる形も良いですし味わいも芳醇。しかも醤油ダレの香ばしさが漂い、塩気とはまた別の次元で食欲をそそります。今となってはやや薄めのスライスですが、数年前ではそれがとても一般的であったかと・・・。また肉は厚すぎても全体バランスから言って崩れそうなので、私個人的にはベストなサイズと感じます。
<大きさ・固さ・味の染み具合・とろみ等・・・非常にバランス感あり、味わい濃厚!>
実は、ここの味玉が大好きで、いろいろ関東で食って来たがトップクラスかと思っております。漬け込み出汁が薄味であるが、しっかりと染み込んでいて白身がふるふる状態になっておる。黄身の茹で上がり方も固めな部分からトロミにかけるまで、ソリッドからゲル・ジェルに至まで・・・・見事なグレデーションを表現している。しかも、味わいが深い。漬け込みタレが淡麗であるから、玉子自身の味わいも感じ取れるよう。
更に、サイズが大きめであることも見逃せない。
またメンマも何故か見逃せない。極めてオーソドックスなのだが、見ていて旨そうと・・・そう単純に思うだけなのだが。これは贔屓目によるものか??
総じまして、「武蔵野台地が誇る・・・定番オーソドックス塩ラーメン」といったところか。あ、(醤油)ラーメンもそんな感じやね。ぐいぐいと魔力感がなくとも惹き付ける何かがある一杯。または安らぎを求められる一杯。西武沿線の各駅停車駅の鄙びた場所に、ひっそりと佇む小さい店舗。ラーメン自身も、店自身も、そしてご店主も・・・出来ることをキッチリとやっている真面目さとゆとりを感じる次第であります。これからもまた、思い立ったら訪問して同じメニューを食い続けます。なので詠います!
梅雨空に
路地の隠れ家
しんみりと
落ち着き染みる
汁(つゆ)と雨音
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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