JR蒲田駅西口を下りて線路沿いの商店街へ足を向けますと、以下にも蒲田らしい雑然とした商店街が広がります。お昼時ですから、どこの店も行列が発生しており活気に溢れている。この分だと目指すお店は混雑だろうなと、休み時間との兼ね合いを心配しつつ訪問すると、なんと先客ゼロ!一筋路地裏になっただけで、これほどまでに影響するのかとちょいと心配になってしまいます。さてこのお店「図南」さんですが、諸先輩方のレポートを拝読し何となく心惹かれた訳ですが、これは一体どうしたことか・・・。
入店して券売機の前に立ちます。これまでは醤油系を食うつもりで、ボタンのポールポジションそれがあるのですが、「おすすめ」という文字が塩の方をさしておりまして、瞬時に心変わりしてしまいます。ワンタンにも「おすすめ」マークがあったので、それも素直にしたがって、ポチリと押した次第。手渡したあとも、後客が来ないので少しさびしい。暇つぶしに、メニュー類やらコダワリ説明やらに目を通すが、中々それなりに丁寧な仕事ぶりがうかがえるではありませんか! ひょっとして、昼よりも夜の方がメインなお店なのかもしれんなと、心配を払拭していたところに着丼です。おお!中々の質感が伝わる!! そしてまずスープを啜ってから、旨さを確信しました!心の中で唸る・・・。
これは染みる〜!そして気分もほぐれる〜!ぶわっと広がる鶏コクに魅了されまくり!!メニュー制覇したい気分でっせ!!ここは旨し!
【スープ:透明感ある中に豊かな鶏の旨み!凝縮された鶏清湯に淡い魚介のWスープ】
<クリア感ある一方で濃厚な旨味をどっしり感じる鶏コク、無化調で後味もよし>
配膳の瞬間、わんたんが別皿で提供を受け、麺丼に早々に投入して「わんたんめん」にしてしまおうかと動作しようとしたが、別 皿にはタレがかかっておりますので、そのまま食べてくださいと忠告を受けてしまいました。なのでそれに素直に従い、スープを味 わい次第ですが、いやはや・・・これだけで見事に芳醇な鶏コクを感じます。丸鶏を煮込んだのかと思ったりするが、脂にぎらつき もそうなく、すごく淡麗な色合いです。相当丁寧に鶏ガラの煮出し処理をしたものと思われます。こんなにクリアーに仕上げ、しかも濃厚なのに、これほどにもクリアーなんて、相当に下処理やら工程のチェックをしたんでしょうね・・・。そんな感じで美しさの
中に、手作り感に似た温もりを感じます。
それにしても、軽やかな見栄えなのに、どっしりとした鶏コクです。ラードを投入すれば簡単にこれくらいのコクが再現できるか もしれませんが、これほど鶏だけで円やかというのは、実に久しぶり。フライドオニオンなど投入したくなる気分もあるが、なぜだかこのままのナチュラル感ある芳醇さを愉しみたい!そんな気分にさせてくれます。素顔が一番きれいとかいう感覚に似ているかな・・・。
<魚介は殆ど感じない程度のWスープ感、風味というより「落ち着き度」を感じる>
淡麗のようで実は塩気は程よい感じです。しかし、説明書きでは鶏の濃度を極力あげて、出来る限り塩を使わないようにしたとのことです。これは魚介系から自然に出る塩ダレのカエシがきっちりと効いているということでしょうか。なかなかの動物系のコクにキッチリとした旨みの輪郭が効いています。
エグミのない煮干しもとてもナチュラルなので、とてもスッキリとしたWスープ感覚。この一杯では、煮干しを単独で感じることは殆どないけれど、全体に溶け込んで落ち着いた風合いと化している。そんな印象を覚えます。見栄えはクリア、味わって淡麗から芳醇、後味はさっぱりで落ち着かせる。そんな流れでしょうか。
【麺:クッシリと感じる細麺はややハード系!粉の風味をほどよく感じる三河屋製麺】
<加水低めで芯を感じさせるハードなストレート細麺!スープの芳醇さに負けない>
またこの麺にも私は心を奪われたような感覚を覚えます。こういうタイプって多加水系や平打ち等の個性を連想してしまいますが、気持ち良いほどのクッチリ感な密度ある加水低めな、ストレート細麺。三河屋製麺の麺箱がどこか誇らしげ。この風合いが、噛むほどに旨さが広がる。
スープに合せ浸るというより、コントラスト感ある麺の存在感。その拮抗したようなバランス感がなぜか凛とした緊張感と結びつき、全体的に引き締まっているような感覚を覚えます。意外に熱ダレにも強いようで、最後まで歯応えがクッチリと感じることができましたし。
<粉っぽい風味が実に好みに合う!流麗さとザラツキを感じさせるスベリ感が新鮮>
またスベリ感が心地よい抵抗感といえるかもしれません。食むと粉っぽい風合いが広がり、これが私がそそられるところ。そしてザラツキ感を同時に感じて、スープとの絡み度合いが楽しめます。麺自体の全体的はフォルムは細麺でストレートなので、スベリ自体は流麗にも感じます。だけど、小麦の風合いをふわっと感じるだけで、ザラツキなイメージを結びつくような錯覚感。スープの持ち上げ度合もほどほどで、内頬を駆け抜けるタッチも滑らか。咀嚼と舌触りに若干の粉風合い。そんな印象を個人的には受けています。
【具:デフォルトもとても頑張っている作りこみあるが、是非とも追加で「わんたん」を!】
<2種チャーシューがボリューミィーであり味わいも深い>
この一杯は、700円。それにしてはご立派なチャーシューが二種も盛られていて実にうれしい。一つは、鶏肉!チャーシューといより、蒸し鶏のような胸?の半ブロック状態な筋肉質な部分。味付けは薄い。それが少し固めのテンピュールの如くの歯切れで、スープが肉繊維にそって程よく染みこんでいる。それを、少々大きく口を開けないと千切れないほどの分厚さが特徴的であります。食べ応えあります。別皿で辣油垂らして醤油2〜3滴たらせば、ビールのアテになりそうなくらい、ボリューミィーであります。
そしてもう一方は、豚の肩ロースチャーシュー。これも分厚さと大きさがほどほどあり、ボリューミィー。そしてこちらは、箸を入れるとすぐにほぐれるほどの柔らかさ。肉の脂がとても甘味を放出して旨い。白飯にとても合うタイプでして、醤油タレの染みこみ度合もしっかりとしているよう。スープに浸ってより味わいが緩やかになるところが、また旨さをそそります。
<度肝を抜くわんたんの旨さ!生姜と肉の粗挽き歯応えありつつ、タレも旨い>
この「わんたん」は、慌てて麺丼に放り込まないで本当によかったよかった・・・。この肉餡のピンク色の何たることや!半レアっぽいワンタンでありまして、そして粗挽き加減がぽくぽくとした歯応えであります。その上、生姜の荒微塵が非常に効いている次第でして、風味はもちろんのこと、こちらも歯応えをとてもリズミカルに感じさせます。また更に、この軽くかかっているタレの塩加減がまたよい・・・・。鶏油が少しブレンドされているのか不明だけれど、このタレもなかなか食欲をそそる味わいでグッドです。これは、この店に来ると注文しないと損!と言えましょう!!
総じまして、「恐るべし蒲田界隈!激戦区の期待の星」と言えましょう。このJR蒲田駅西口エリアは、なかなかそそる店が多いのでして、定期券がもし使えれば新橋同様にかなり訪問頻度を上げたい場所。その中で競争は厳しいのは分かるが、「もっと流行ってよい店」だと思うのですよね・・・。若いご店主がコシ据えて頑張っているようだし、食後は応援モード満開で気分よく、京浜東北線にのって、オフィスにかえることとしました。頑張れ!図南さん!!そんな気分なので詠います!
学生と
オヤジが多い
商店街
突き抜け左折
旨しワンタン (もうちょっと流行ってもいいはず!宣伝)
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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