やつのクレーム対応は、秀逸である。入社時は製造現場での管理部門に配属されたのだが、そのころから同期の間では一目置かれていた存在であった。キツいことを言われそうな局面でも、とりあえずニコリと嫌みない笑顔で突進していくようなやつ。天性の叱られ上手というやつだろうか、そうやって、上司やお客様からも結局信頼を勝ち取ってきたような気がする。ただ、私だけには、時々弱音を吐いてくる。役職としては何もしてやれないのだけど、やつもそれを分かって聞いてもらいたいのだろうといつも思う。
天性の叱られ上手。実はそんなの存在しないようだ。
やつに言わせると、管理部門から営業部門への希望人事とは言え、いろいろ苦労はそれなりにあったようだ。人間関係が元々好きな男だから営業は合っていると思う。だけど、そんなやつにしても、顧客クレームには本当に手を焼いて来たようだ。いろいろ悩んだこともあったようだが、根が純粋というか、単純というか、シンプルで気持ちがいいというか、可愛らしいバカというべきか、当たって砕けろで乗り切ってきたようだ。しかし、見直したのは、それら経験をちゃんと記憶していて、ある種の自分なりの原理原則を作り上げているということだ。やつの中では、クレーム対応は、3つのステップを意識するだけらしい。
1.クレームがあったら、何が何でも最速で現場にかけつける
当たり前のようだが中々これができない。事前に細かい事情とか状況確認をできるだけ手に入れたいものだ。
やつもそれには手を抜かないが、それより、まず分からなくても、一刻も早くかけつけること。これが大事。
そして「まず最初に、ぼろかすに怒られること」が大切らしい。何も情報が無くても駆けつける。それでま
た時には、火に油を注ぐこともあろうが、「早く頭を下げに行く」ことが、その会社のレスポンスの早さを
印象づける。
2.本日午後/明日の午前中までに必ず一方を入れますと伝え切る
その日の午後に駆けつけたらな、本日中か朝9時までに報告。その次の対応は、なるべく6時間刻みでまめ
に状況報告をすること。おなじように駆けつけることがベストだが電話でもいい。報告すべき進捗がなくて
も進捗がないことを報告する。進捗ないときでも、お客様のことはいつも第一優先ですと印象づける。定期
的に連絡を入れてつづけることで、信頼度を少しづつ獲得する。
3.しつこく対応する
上述2を繰り返し繰り返し繰り返す。そうすることで、「ここまで一生懸命にやってくれるのだ」という気持
ちにさせれば勝ち。そのサインがもうこんなにマメに来なくていいよ、メールでいいから・・などという言動
らしいのだ。この時点で、そのトラブルが自責であろうが他責であろうが、殺伐としたやりとりは陰を潜める。
結局、雨降って地固まるが如く、次の案件にも声がかかる。「この前は強く言い過ぎたね」などという言葉を
もし引き出せたとしたら、これはもう完全勝利以上である。
クレーム対応なる書籍は巷に溢れていて、これと似たようなことをもっと体系的にまとめてあるだろうと思うが、リアルビジネスのトラブルを幾度もくぐり抜けて来た男の生の口からこれを聞くことにはかなうまい。やつの熱く語っている姿は、男でもほれぼれするところがある。実際口に出すと調子にのるから、口が裂けても絶対に言わないが。
・・・などとついこの前あったトラブル対応のことを自宅で一人考えていた。妻子が実家へ外出ということで、一人ぽかんと時間が空いた休日。昼飯は外で食べて来てとのこと。ならそろそろ、もう一度、今東京で一番ホットな台湾まぜそばを食いに行かん!と大岡山へと今回は出没させていただきました。思えば、汁なしロード活動の途上でこの店に出会い、台湾まぜそばにどハマり。そうこうしているうちにタイミングよく名古屋出張。そこで、本場の台湾まぜそばを食って感動。帰京しても興奮が覚めやらずで、台湾まぜそば連食とあいなってる。もはや、東京エリアに限っては『台湾まぜそばエヴァンジェリスト』になってしまったのでは?と勝手に自分で夢想しては、ほくそ笑んでいる始末。この仕事の大変な時期によくこんな私生活パワーがあったものだと笑ってやってご容赦いただきたい。
そんなわけで、開店時間に合わせて到着して店の扉を開けると「ぎっしり満席!」。あわわ、ひょっとして台まぜブームが本格化? 私以外にエヴァンジェリストは多数おるのではないかと思える盛況ぶりです。狙いのカレー台湾をチョイスして・・・・気が引けたけど、昼間から缶ビールもポチッと押させていただきました。昼間であろうと、開店直後であろうと、麺を待つ間はビールで喉を潤すという習慣は、「中華そば みたか」でのスタイルが染み付いとるのかもしれんな(最近行ってない)。
客層は、「(おそらく)東工大の学生さん」「ご夫婦/カップル」「おじさんと子ども」というなんとも週末の微笑ましい感覚。私一人が、台湾まぜそばに取り付かれたラヲタというスタンスで一人ビールをあおる。カレーを味わうまえに、アルコールと加齢のオーラを垂れ流してしまったかもしれない・・・。などと多少肩身の狭い思いでまった10分程度で配膳は完了。調理の手順など眺めてビールをやっていると、あっという間に時間は流れるものだね。さてと・・・・箸とレンゲをとって撮影を一通り終えたあと、麺を一口すするが、これまた期待通りの旨さに唸るばかり!昼間からよった勢いをおさえつつ、心の中で叫ぶ。
めっさめさ旨いやんけ!やっぱカレーに外れなしやけど期待以上やがな!お口の中がとってもホットで晴れやか!旨し!
【タレ:台湾ミンチとカレー味という、アジア最強同士が絡み合う最高のカオスを頂く】
<爽快なるカレーの香ばしさと台湾系パンチが響き合う!食欲爆走族!>
思えば、都内で台湾まぜそばをレギュラー化している中で、「カレー台湾」をもレギュラー化しているところは、他には無いのかもしれない。そんなスペシャリティを感じてか、今回は少し自分の中でテンションの高さを感じてしまう。味わいの質感は大体前回でつかんでいるし、カレーを投入してどう変化するのが非常に楽しみである一杯でありました。そして、期待に多いに応えてくれたと申せましょう。
カレーは、タレを丼に投入時点で投入されます。そして、こちらは調理過程で、手際良く麺とタレをまぜまぜして提供してくれますので、カレーが完璧に撹拌されてます。いわばカレーソースのごとくな感覚で仕上がりきっている。そこをズボボとたぐって食うと、かなりスパイスが効く系の鮮烈系でピリリと際立ちます。このピリリな感覚は、やっぱり台湾系では定番のエッセンスなので非常にwelcomeであります。
そして、ところどころで赤唐辛子のチリリとした感覚が馴染む。カレーパウダーとの相性も抜群です。元々、デフォルトの台湾まぜそばでは、赤唐辛子のホット感が引き締まっていて好印象でありましたし、山椒のようなスパイシーなジリリとした味わいが仄か〜〜〜・・・にあったと記憶。カレーパウダーを投入すると、赤唐辛子のホット感がコラボする一方、元々のスパイシー感覚はカレーに飲み込まれるという図式か、飲み込まれて一層に別の面持ちで大きく化けるといった図式でしょうか。食欲をそそる「台湾系」と「カレー系」という二つのマジックが際立ちまして非常に響き合います。ああ・・・これは、春先から胃拡張がますます酷くなる。この勢いでいけば、ゴールデンウィークあたりには、二郎へ復活の狼煙を上げることができるかもしれない:笑。
<酢でよりキリリ!と引き締まるチューニング感がナイス!>
すでに仕上がりきっているタレ感なので、薬味は投入するか、どうしたものか迷います。しかし、油そばの感覚が呼び覚まされ、後半に遊び半分で酢を投入してみた。時々、酢というものは計算を誤って金属的な味わいになってしまうこともあるからちと心配したものの、それは単なる老婆心。酢を投入すると、台湾ミンチの旨味は円やかになる一方で、カレーの辛味がアクセラレートされるといった感覚であります。
うう・・・、見事な辛さのチューニング感ではないか!やはり酢は天才であります。辛味がアクセルされた一方で、どことなく引き締まった感も高めます。何というか、エンジンシリンダーのボアをアップした一方で、燃料噴射を多くしよりピーキーに出力を高めたような感覚。ちっともエコじゃなくもっともっとと燃料をほしがるように、私はもっともっとと、麺とタレとそして追い飯を欲するのでありました。
【麺:タレに最高に合う「にゅるつき」感覚に今回も心ほぐされる】
<多加水太麺が素朴なもっちり感で、カレーうどんバリにクチリと潰れ和む>
さて麺でありますが、前回も感じましたが、太麺がたおやかであります。穏やかなモチモチ感が味わえます。けっして高反発という類いではありませんが、柔らかに弾むといった感覚は、広く受け入れられやすいことでありましょう。事実、女性客もしっかりと確保しているようでして、中には子どももいて、とても分かりやすく「おいしい麺」と感じさせるに違いありません。
前歯ではスパスパと切れ込む断末魔に、クチクチっとした部分も感じさせますし、奥歯でのすり潰しもクチリ!とした感覚。なんとなく・・・大阪のカレーうどんを思い出してしまったが、どこがどう似ているというのでもないのですがね・・・。
<偉大なるにゅるつき感:笑>
にゅるつきが嬉しいのであります。湯釜から引き上げられたテボは、一旦湯切りをされたあと、丼に投入するまえにかなり念入りに麺箸で中をかき回す。それにどういう訳があるのかは不明ですが、非常に地肌がソフティーな感じに仕上がりまして、そしてタレと台湾ミンチと卵黄の醸し出すトロリとしたタレとまじりあって非常にリンクする。ソフトとトロリが融合すると、偉大にも思えるにゅるつきが誕生する訳だが、この感動はどう言い伝えてよいかもはやわからん(自分でも何を語っているのかも分からんようになってきたが)。
【具他:さらに旨さが発展する追い飯!・・・さて次なるは?】
<追い飯:4倍旨いわ!>
半沢が倍返し、シャアが3倍速なら、この追い飯は4杯旨いわ! 台湾ミンチとカレーパウダー投入による相乗効果で2の二乗ということでよろしくおねがいします。そこにニンニクがしっかりと下支えしておりますからなお旨しです。さて、ここまで来ると更に手を加えるのはもう旨さのチューニングとしては限界か? ・・・いやいや、ちょっと企んでいるのは「チーズ」を混ぜてみようかしらと。この上に更に、発酵乳製品の塩気あるコクと、トロリ度合いを増すとろけるチーズを投入すると、もっと化けるかも:笑。
昼のビールのビールをあおりながら、この4倍旨い追い飯を食う。「どうぞごゆっくり」というお言葉に少々甘えてしまって、しばしまったりとさせていただきましたが、そろそろ待ち客が店内から溢れそうになりまして、これは日本人の美徳である譲り合いの精神も必要であろうと、最後の2口を一気にごくりごくりと胃袋に流し込む。嗚呼、良き春の日かな・・・。
<やはり、ニンニクは刻みに限るな、この系統なら>
しかしやはり、ニンニクは、擂り下ろしより俄然刻みの方が良いね。擂り下ろしよりも尖った部分が格段に低いし、香ばしさは2倍以上の鮮度にも感じる。舌のあたりもあるし、まれに感じる歯応えも刻みであればこその感覚だからね。もはや台湾まぜそばには、ニンニクは欠かせない。これからは、平日であれば夜しか食わんかもだね。
総じまして、「都内ではまだレアなカレー台湾まぜそば!今ならここでっせ!」と少し肩入れ気味に宣伝したくもなる浮かれ気分をさそう旨さの一杯です。
さてさて、これからどこまでここ関東で台湾まぜそばが認知されるか、そしてどこまで関東のお客に合わせた味わいを開発できるかがこれかの課題ですかな。ぜひ永く続けていただきたい。息子が東工大に通うことになれば、是非一緒に食いに来たい。親ばか(笑)!まだ小学生じゃ・・・親の無念をどうしても期待してしまう。東京でどうどうと学生謳歌してくれ!って言っても東京はどこもレベル高いね・・・。などと逸脱発展して空想してしまうのは、やはり昼間のビールのせいだろう。頭を冷すとして・・・・・なので詠います!
春分ける
暖かき日の
散歩にて
嵐吹く前
しばし享楽
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!

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