ラーメン食べて詠います

ご訪問いただきありがとうございます。仕事の合間や、休日余暇を利用してラーメン探訪をつづけております。ラーメン食べて感じる、小さな喜びやストレス解放を、最後に詠って締めくくりますー。

【今週のラーメン1425】 旅人の木 (東京・荻窪) 油そば・普通盛+ベビースター+シンハービール

 なんだかんだで・・・また荻窪だ。まだ残雪がところどころ残っていたりする。

  



 そしていつもの「旅人の木」へ。もう最近通いつめている。





 しかしながら、改めて考えるに「ホスピタリティ」ってのは難しい。どれほど誠意をつくしていても、客同士のいざこざまでは、予測もつかんし対応も難しい。今回、私は休日の楽しみとして油そばを堪能している最中に、「席をつめてくれませんか?」と促された。4〜5人のお若い集団でして、確かに丁度私の両端が空いたので、「おっさんどけよ」という感覚で「他客」から言われた。言葉遣いは、悪くなかった。むしろ丁寧だった。だけど、丁寧であっても「どいて当然」的な意志は確かにあったのだ。普通食っている最中に席を移れと言うかな・・・・。後から考えても仕方ないのだが、なんとなく譲ってしまった。

  しかも・・・・ビールもやっている最中だったりする。



 飯食っているとき邪魔されるのは、一番もやもやするね。ましてや・・・・などと考えたが、抵抗していい結果にならないのは明白だ。ムカムカして食うのは悲しすぎる。なので無言で席を詰めて譲ったのだ。以前、切れて上司を殴ったこともある男としては堪えられる程度は成長である・・・というか老いたのかもしれない。そんなことがあって・・・・ちょっと嫌な感じで食い続けた今回の油そばでありました。


 食い続けていてもどこか、もやもやっとしてしまったが。そこでいろいろと考え出す。その中でひとつ思い出したことがあって、気を抑えることができたりする。これまで数々あったラーメン屋での事件なのだが、もうかなり前の話なので解禁してもよかろう。題して・・・・







 「JR○○○駅近くの鬼瓦権造事件」
 (以前別の店で遭遇した話)



 当時、とあるJRの大きなターミナルの近くにあるその店は、新進気鋭ということで、数々のラーメン賞を獲ってたりしていた。そこで、喜び勇んで残業後に駆けつけ、閉店間近に辿りついたのだが、さすがにこの時間帯はガラ空き!店を貸し切り状態!!滑り込みセーフ!!!ってのもあったし、有名店で貸し切りってのもあって、ちょっと有頂天だったりしていた私。この時点では、幸せそのもの。そこに、この日、最後の客となってしまったあの男が来店してしまったのであります。


 その男、風貌を例えるなら、体の骨格やら外見は、マツコ・デラックス。そして、中身は・・・・・北野武がむかし、ひょうきん族で演じていた「鬼瓦権造」そのものであった・・・。口調も似ていた。たしか、以下のような会話をしていた。


 (入店するなり・・・)
 鬼瓦:「やっと食いに来てやったぜ。この前を通るけどいつも行列じゃねえか。いつも食えねえからわざわざこんな時間に来てやったたぜ」
    「いつも行列ってことは、相当儲けているだろ!?な、兄ちゃん・・・」
 店主:「そこそこ、頑張らせていただいています。」
 鬼瓦:「でどんなラーメンなんだよ、ここはよ」
 店主:「・・・・(それなりに丁寧に説明をする)・・・・」
 鬼瓦:「じゃ、それでいいわ(・・・・・結局説明した割には、一番定番なやつ)」


 (この男性、ちっともじっとしていられない、すぐに店内をうろうろとし出す。)

 鬼瓦:「で、どのくらい儲けているんだい。」
 店主:「・・・・」
 鬼瓦:「言えねえってか!?かなり溜め込んでいるんだろうな・・・・!」
    「で、この賞状ってのは何だい? おめえの店ってそんなにうまいのかい!?」
 店主:「・・・・(とあるランキングで2位になったことを丁寧に説明)」
 鬼瓦:「で、1位はどこだ、オレは麺にはうるせえんだ。」
 店主:「・・・・(1位を説明)」
 鬼瓦:「知らね〜な〜。で、3位は?」
 
 (こんなどうでもいい会話が永遠につづく・・・)

 鬼瓦:「で、結局おめえの店は2位だって天狗になってねえか?」
    「で、このサインはダレのだい?」
 店主:「・・・・(忘れた:中川翔子だったかそんな感じの芸能人)」
 鬼瓦:「ダレだよそれは!そんな訳分かんないやつのサインありがたがっているんだな(笑)」
    「で、お前んところは、何味なんだよ」

 (さっき説明したやん・・・・この時点で、もう空気は変だった・・・、まだまだいろいろな物をさしては、質問攻めが続く・・)
 店主辛抱しきれないのが、背中で分かる。少しづつ、沈黙を作ろうとしている・・・。


 店主:「・・・・今、麺を茹でているところなので、申し訳ありませんが集中させてください」
 鬼瓦:「ああ?このオレがしゃべっているんだぞ、応えろよ!」
 店主:「今、麺を茹でているところなので、誠に申し訳ありませんが集中させてください」」
 鬼瓦:「口と手は別だろ! オイ!オレが話しているんだ!応えろよ!!」
 店主:「・・・・・・・・(以降、店主応えず)」
 鬼瓦:「おい、この野郎!応えろよ!!!」


  そこから鬼瓦氏がブチ切れで、数々の罵声が飛びまくる。しかし、店主は耐えてるようだった。あいにく・・・・その間に調理されているのは、私が注文したそれでありまして、鬼瓦氏がブチ切れる中を、冷静に淡々と作業し、私に供せられるた。「○○○○、でございます」ってとても落ち着いた様子。その淡々としている様子に鬼瓦氏もますますヒートアップするしかないようだった。


 鬼瓦:「だいたい、客を不愉快にさせるお前のようなやつが、つくるラーメンが旨いわけないわ。」
    「おれが食って、まずいって証明してやるよ、まずいに決まっているよ、この野郎」 

 (まだ止まらない・・・さんざん罵倒しつづけたあげく・・・)

 鬼瓦:「そこの兄さんもオレの言っていることわかるよな!な!な!な!」


 そこの兄さんってのは、私でありまして、嗚呼・・・・・こっちにまで火の粉が降り掛かって来たわとこの時点で私の気持ちが落胆する。そんなタイミングで、その鬼瓦氏向けの一杯が完成し、配膳されようとしていた。店主が怒りまくっている鬼瓦に、すごすごと一杯を配膳せんとしている。そして、その瞬間は訪れた!


 鬼瓦:「まずいに決まっている一杯、食ってやる!」


 その言葉を聞いた瞬間、その後はまるでスローモーションのようであった。店主は、まさに、すーっとその鬼瓦へ配膳寸前の一杯を、逆に引き下げてしまい、ちょうど目の前のシンクか何かへ、それをズサッと全部すててしまったのだ。鬼瓦は、お預け状態になってしまう・・・・。鬼瓦は、一瞬呆然としてたけど、たちまち怒りが爆発してもうそれは治まりがつかなかった。


 鬼瓦:「てめーーーー、なにをしやがる!ふざけるな!」
 店主:「本日はこれにて閉店でございます、誠に申し訳ございませんが、お帰りくださいませ。」

 と告げて、店の前へとたち、扉を自ら開けてドアボーイのように恐縮して立っているばかり。そこからの鬼瓦氏の怒りは火山の爆発そのものでありました。それでも、店主は姿勢を変えません。

 鬼瓦:「こんなひどい仕打ちはないぜ」
    「よし、警察をよぶからな。おれは、○○○署には顔がきくんだ。」
    「そこの兄さん(オレのこと)! 証人になてくれよな!!」



 などと言って本当に警察に電話している。ある程度電話での話がこちらにも伝わり、本当にパトカーが来るような事態になってしまった。どうだこの野郎などと・・・罵声はまだまだ続く。嗚呼本当に妙な事件に巻き込まれてしまったものだ。


 ・・・などと私が深いため息をついていると、店主が私の方にやってきて、「本日は、本当に不愉快な思いそさせてしまいました。お詫びにもなりませんが、お代は頂くわけにはいきませんので、お返しさせてください」と深々と頭をさげている。まあ、ラーメンには罪がないので、固辞したけれど(というかビビリながらもしっかり完食する余裕はあったから)、さっさとお帰りになった方がいいですよ的な目の合図があったりした。それに乗じて、私はひとまず退散した。



 帰りの電車でこの出来事を一人反芻していたが、なぜ、冷静な店主があれほどまでに、無礼とは言え、客に対峙したのでありましょうか。おそらく、それは、私が巻き込まれた段階であるていどカチンと来たのではないかと感じる。自分のラーメンとかポリシーをバカにされるのも相当ツラかっただろうと思われる事態であったが、客商売なら耐えねばならぬのかもしれない。だけど、明らかに他のお客へ影響を及ぼし、不愉快な思いをさせたのなら、それには毅然と対峙すべきなのかもしれない。あの店主はそこにこだわったのかもしれない。などと考えている。私の心の中の100点満点のお店は、今でもその店主そのお店なのであります。
 








 この「鬼瓦権造事件」のその後は知らない。でもその店は、いまでも実力点として名を馳せている。私は、これまで千杯二千杯ととラーメンを食って来たわけだが、この事件以来、他客の予測つかない横暴、また店の不行き届きな対応も、それほど怒らなくなってしまったのかも。今回、食べているところを、どけと言われて引き下がるのも、考えると大した話ではない。ホスピタリティとは、誠に難しい。100%の客に実現させることは不可能だ。ただ、矜持としてそれを目指すか目指さないかで、店全体の雰囲気というのが決まってしまうのかもしれない。今回は瞬間的な出来事だったので、対応不可能だったろうが、この店のホスピタリティ自体は変わらない。この包まれるような安堵感はそうそうないものだしね。いろいろあったけど、結局はゆったりとした気分で、今回も堪能させていただきました。いつもの油そばを啜りて・・・心の中で叫ぶしかない。



 めさ!めっさめさ旨いがな!ぬるりぬるりとした中にコツコツっとした歯応えがあるだけで、味がこうも変化して感じるとは!誠に旨し!!


 



【タレ:やや醤油が勝ちな甘辛な味わいが実に飽きない・・・定番の油そば感あり】


 うむ・・・いつもの醤油タレであります。醤油の香ばしさと魚介の甘さが広がりますし、ラードのクリアな旨味がいつもの通り和む感覚がいい。魚介感は、トッピングにもある通り、フィッシュパウダーの仕業なのでありますが、風味については粉が広がるのごとくそよそよと感じる。そして麺に貼り付く感覚で歯応えとともに鼻孔をくすぐる淡い甘さがあります。などと感じながらも、醤油ダレのしっかりしているところを感じては、甘辛い醤油の特製を感じます。醤油は、辛くても甘くても、どちらの味わいにも旨く響き合う・・・・。


 もはや定番なる味付けの油そば。辣油はポリシーでテーブルセットに置かないのでありましょう。醤油タレを調合しているところをちょいと盗み見いたしましたが、配合されている辣油は、中々の旨味感じる深いブラチックを感じさせる透明感でありましたな・・・。その色合いにシャープさを感じる(笑)。







【麺:ベビースターのコリコリ感と、やや平な中太麺のクニクニ感が、ミスマッチのようで・・・ベストマッチ】


 もっとジャンキーに感じるかもと思っていたけど、ニンニクパンチを抑えたこちらの上品な系譜にあっては、凄く全体にマッチしていたと思えます。割と旨い具合に地肌に細かいベビースターが貼り付きます。よく混ぜ合わせたあとには、麺と麺のスキマからちょろり!という感じで、海底にいるガーデンイールか、珊瑚礁で身を守る熱帯小魚のごとく、合間に見えます。

  



 歯応えも、ヌチリとした前歯の感覚のあとに、コツコツっとしたやや湿り気混じりの乾燥感を感じる歯応えがあります。そこにフレッシュ玉ねぎも混じり合い、さりさりさり・・・・っとした玉ねぎの感触ともコントラストを与える歯応え。ベビースターは、この丼の中でダレとでもミスマッチでありながら、妙な一体感を感じさせるところが偉いと思う。







【具:定番なる安定感ありなむが・・・フレッシュ玉ねぎの清涼感に新たな魅了】


 もはや語尽くした具材達ですが、今回、妙にフレッシュ玉ねぎのみじん切りに興味を覚える。後半に酢を投入して酸味とまろやかさを楽しむのが最近習慣づいているけど、それにある程度玉ねぎの汁の余韻も感じたりして・・・・。チャーシューの香ばしさとカスっとした感覚にも合うし、フィッシュパウダーに適度に混じりあって、麺とも結合するところで、歯応えを楽しませているのかもしれません。いやはや・・・次の食べ方は決まったな・・・。

  








 総じまして、「つぎは増量攻撃で・・・・まずは玉ネギ増しにて!」と興味はつきないこの一杯。いやはや・・・・いつまでも続かないと思うけど、週末はこちらでシンハービールとともにゆったりさせていただきますわ。


 それにしても、団体行動するときは、周囲のことも考えましょうとだけはお伝えしたい。混み合っていて人数が多いときは、別々に座ろうよ・・・・。なので詠います!



   ぞろぞろと
   たむろし食らう
   楽しみと


   やれやれ思う
   一般客なり




 お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!





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