さてそろそろ煮干しばかりでなく、塩にも食指がわいて来たのであり、また新店舗開拓をしたい気分がもたげます。それでも会社帰りに遠征などできる状況でもないため、ちょいと路線変更してせめられる範囲内でとの条件付きで・・・。そんな気分で京王井の頭線に目標を絞ってネット検索したところ、下北沢にこんなお店がヒット。それが「そると」さん。下北沢は全く縁がないのですが、なんとなく街を闊歩していると、歩く若い方が少しばかり個性的かもしれないと漠然と感じたりします。また吉祥寺とは違った雰囲気が非常にナイスな街です。
駅から歩くこと5分少々でこちらのお店にたどり着きます。なるほどやっぱり若者の街・・・・。時間帯のせいもあってか、先客すべてカップル!偶然空いていた1席にすべりこみ、店内唯一オッサンな私はそこからラヲタオーラを垂れ流してみました。たまたま会社の紙袋を持参していたのですが、あの会社の社員はこんな感じ〜・・・と思われたとしたら、非常に不本意。社長、すみません・・・。
【スープ:穀物のような風合いある珍しい鶏清湯・・・さらに味の変化を愉しむアミューズ性】
<まさにトウモロコシの風合いの如く軽やかな香ばしさ>
配膳の瞬間には・・・今やはりの鶏そばという感覚でしかなかったこの一杯。しかし、いろいろと七変化させてくれる一杯であり、単調な味わいを予測させながらも、実に複雑かつ面白い旨味を醸し出すのであります。まずはそのまま素でいただくそのスープですが、こだわりの塩ということもあってなかなかスッキリとした尖りのない味わいが広がります。そして風味はまるで「トウモロコシ」の如くの香ばしさ・・・。でも、店のうんちく説明によると、これはイタリアの岩塩とさまざまな乾物の味わいが、そのように気にさせるとのこと。世界にはいろいろな塩があるものです。ちなみこの岩塩は、そのままではピンク色していると思われ、レジの前にはその実物のお姿が見て取れます。ただし、誰もそんな岩塩の塊を気にしていないから・・・まだそれはそれで皮肉であります。
<洋風にも感じるサラサラな鶏のコク!極めてクリアーで明るい味わい>
ベースの動物系は、鶏系と思われ出しの取り方の丁寧さを感じる淡い濁り感・・・・。手作り感ありありな感じがするオーラ感を感じます。全体的にとってもクリアリーであり、表面浮かぶ脂の輪の奇麗さがそれを物語っております。節や魚介の輪郭を感じないためか・・・全体的に洋風に感じ取れなくもない。しかも、さらっとしているから、これまた飲みやすいのです。
トッピングで気になっているのが鶏肉の挽肉。具というには物足りないそれを、出汁の塊と解すれば、コンソメの原型の様にも感じる。骨からというより肉からじんわり度にじみ出す動物形の旨味が濾されたように透き通っていて好感がとてももてます。
<薬味の変化をマニュアルにそってためしてみた>
「卓上調味料について」という但し書きがありまして、いろいろある調味料を順に試して行き、味の変化を愉しんでみようという趣向であります。ここは素直に従ってみたいと思った次第。だいたい天邪鬼な私がなぜ?というなら、確かに軽やかなスープも後半には味に慣れてしまうかもと思ったから・・・・。
(第1投)黒胡椒 :これは定番な和風のピリリ感。予想範囲の味の変化で塩気が引き立つ。
(第2投)お酢 :ここで一気に変化! なんと酸味とうより甘みが凄く増す!一気にレベルアップ。
(第3投)ラー油 :更に甘さと辛さが混じり合い一応の達成感あり。辛さに肉厚さが増す感覚がナイス。
(第4投)柚子胡椒:入れてみると辛さが強調されるよりは、辛さの風味が落ち着く感じ。
個人的には、第3投で止めておくか、またラー油の代わりに七味もいい感じかもしれないと感じた次第。お酢は絶対投入すべしであります。
【麺:固ゆで大歓迎!明るい風味とシッカリした歯応え、そして意外な滑らかさ・・・】
<見事な固茹でクッシリタイプ!予告通りのド・ストライク!>
こちらは、固めの茹で上げがデフォルトのようで、店内の但し書きでは、柔らかめが好きな方は申し出てくださいとのこと。好みな感覚を予測します。配膳直後に、麺をリフトして感覚を確認しますが、奇麗な細麺ストレートさが見事で、期待を裏切りません。芯を感じさせるというよりは、全体的に均一なクッシリ度合いを愉しむという感覚です。前歯の当たりは、カツカツというより、クシクシといった乾いた粘りを感じる切れ味。そして奥歯ではややハードなクニリ!とした潰れ感を感じるといった感覚。咀嚼時の風合い的にも、見た目通りの爽やかさを与える熟成度合い。・・・・なんとなく、明るさをイメージする風合いは、やはり若者の街「下北沢」という土地柄から感じてしまうのかもしれません・・・。
<表層の極薄い透明層が・・・・妙にゆったりとしたスベリ感を与える>
こちら、ハードな固ゆで麺という感覚ではあるのだけど、食後感としてはそれほど極まったハードさとは思えないというのが、個人的感想。ハードな中に・・・どこかしなやかさがあるのです。それは、すべりがハードな割に意外にしなやかであったということか。記憶を辿れば、麺の表層に軽い・・・ごくわずかな透明な層があって、それが貼り付いたようになっていたかと・・・。スベリとしては、ハードな割に滑らかであったという感覚。しかし、汁の吸い込みはほどほどありまして、後半にはその透明層もすっかり消失してしまうのですが・・・・。
【具:ちょっと甘めな淡白な味わいが程よい!鶏チャーシュー】
この一杯の中で、唯一ハッキリと「甘さ」を感じる部分かも。甘いといっても甘ったるくなく、じんわりとしたような感覚。さすがに鶏の専門だけあって鶏肉なのですが、とても柔らかな歯応えはナイスです。しかし、個人的にはもう少しサイズ感が欲しいところ。600円という価格からすると、とてもよく出来た一杯なので、そこまで求めるのは、ちょっとずうずうしいかもですが・・・。甘いはタレが染み込んだと思われる皮の部分と脂の甘さのマッチングの部分です。京風に言うと、はんなりした甘さ加減で、ちょうどよろしいかと・・・・。
総じまして、「嫁はんとデートするならこんな店」という感想ですな・・・・。
お酒類がそこそこ安めで、鶏をうたうだけあって、ちょこっとつまんでビール・ハイボール・サワーという展開でも楽しそうです。しかも、店員さんがみなお若くて、はつらつとしている雰囲気もいいし。それに、味を重ね合わせて変化を愉しむというのも、ちょっとラーメン食いながらでも和気あいあいとできそうじゃないですか(上島竜兵の「ワキ、アイ!アイ!」って古いやつとは別)。なので詠います!
夜がふけて
まだ活気付く
若者の
街にピッタリ
合わせ味かな
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした!!