<京都に新たな醤油の風>
漢字で書くと「藤七」。読み方は「とうひち」。関東だったら「とうしち」になりますね。このお店は関西というか、京都の北山エリアにどっぷりハマった地区にありまして、京都市の中でも冬はとても寒いイメージがあります。そんな場所で「神奈川淡麗系」を思わせるような醤油系が食せるということで、実家に帰ったついでに時間をやりくりして、突撃訪問してみました。
とてもすがすがしい午前中に行列が発生しておりまして、人気店なら仕方のない。京都北山エリアを自転車で流すのも気持ちよさそうな季節だなーっと思ってたら、いかにもチャリライダーな先客並びの女性がおられて、そのすぐあとに連結します。今回は、「鶏醤油つけそば」とさせていただきました。なんでも「飯田商店@湯河原」をオマージュした一杯だとのこと。そんなのが京都市民に受け入れられるのかが不安でしたが、京都生まれのラヲタとしては見逃せません。結論を先に言うと、こりゃなかなか研究重ねてるのが分かる!極旨ですやん!
<神奈川 hommage ? な醤油系が完璧なまでに表現!>
金短髪で愛想がよく、脂の乗り切った料理人みたいなご店主と、娘たちのような3人の女性というオペレーションスタイル。中々教育が行き届いているようで、接客いい感じです。カウンターメインのお店ですが、テーブル席もあって、カップル客にも使い勝手が良い店内です。麺場はご店主、スープ担当はメインの女性という感じで、連携よく準備と配膳が進みます。こちらは「鶏」がウリなので、から揚げも名物らしく、どんどんとオーダーが入って揚げ物準備も忙しそうです。でもそこそこ回転がよくてこれも好印象です。
さて配膳されたその麺顔。昆布水に浸ったストレート細麺に、一反木綿ワンタンが貼りつくように流れる。そしてつけだれは、醤油ブラウンがとても深くて柔らかい印象で、旨みを表すコクも浮かぶ。見た目からして完璧に美味そう。堪らずまずは、つけだれから味わいます。それがまた完璧な味わい!。「鶏油」と「生揚げ醤油」の色気が抜群です!。
「鶏油」の雰囲気はまさしく「神奈川淡麗系」に代表される仕上がりでして、深い鶏ガラの煮出汁に加えて、「ぼんじり」等から抽出された脂の甘みが深い。透明感すら感じる甘味でキレがあると言ってもいいくらい。この鶏油の感覚が、京都在住のラーメンラバーには斬新に映るかもしれません。今でこそ横浜イメージの「家系」が京都でも広がりつつありますが、普通の醤油ラーメンなら京都では「豚背脂」がテッパンな文化圏。そこに、鶏油の明るさはとても斬新に感じられるに違いないです。これは当分流行るなーっと強く感じました。
また「生揚げ醤油」もなかなか!。難しい醤油をまたよりによって使ったものです。詳しく説明されたものもカウンターにありましたが、「生醤油」は関東ではそこそこあるものの、「生揚げ」は関東でもそんなにない。京都なら「薄口」「白醤油」が醤油的にはメジャーなのだけど、醸造感より「塩気」イメージでとらえてますからねー。この点も、ご店主はよく京都で勝負をかけたよなーって深く感銘してしまいます。
下味のコクは、鶏ガラ以外には、魚介は封じた感じが強く(節系は少しあるだろうが)、昆布等の乾物系の旨みが漂っている感じ。麺丼の汁を味わうまではそう感じていた・・・。
<フコイダンの中で泳ぐ極上ストレート細麺!>
麺を蕎麦か刺身のようにして、まずは塩のみで食らう。これが実に旨い!。かん水が低めに抑えられている上に、熟成が深いため嫌味が全く飛んでいる。ふくよかな小麦の風味がストレートに感じられて、それが塩味ととても合う!。この塩もどこぞのブランド海塩に違いないのだが、泡のようにきめ細かくて、麺に貼りつくと溶けて無くなるほどに上品な塩です。
また表面がすべすべな上に、アルデンテは一切感じさせず、麺全体で引き締まったイメージ。しなやかなコシつきの中に、密度感がしっかりのこってて、微妙に正方形かえら崩れた形状が、舌の絡みつきに好印象を与えます。前歯ではプツプツっと淡い弾力でリズミカルに切れ込み、束になったそれを奥歯でプレスすると、整理されつつ横ずれしながら、端から順番に潰れます。
さらに大切なところは、麺が浸った「昆布水」。これがまた堪らん!。この昆布水だけを啜るために、また訪問してもよい。すばらしい。初めてみる演出でもないのだが、昆布水の純粋なエキス感が高い上に、それを証明するが如く「フコイダン」の粘りが濃厚。濃厚だけど心地よい。私は、芽カブが大好きな人ですから・・・・この感覚にはノックアウトさせられました。これから夏に向かうにつれ、こういう冷え冷えなフコイダンは、たまりませんね!。
このフコイダンをふんだんに纏った・・・・一反木綿ワンタン。ちゅるちゅるちゅるりん!ちゅるちゅるちゅるりん!!ちゅるちゅるちゅるりん!!!っと滑らかにスベる感覚は極上すぎる!ああ・・・飯田商店にも思いを馳せるが、とてもこの店の質感の高さを感じてしまいます。
<鶏豚二種チャーシュー完璧! 白材木メンマは斬新で旨し>
つけだれの醤油感覚と鶏油のコク。麺の上品さと一反木綿にフコイダン。これらに意識が圧倒されてしまったが、チャーシューにしてもこれは中々よく出来ています。軽くピンク色が残った肩ロース肉。大きさ厚さも文句なしで、薄味な上に肉質のきめ細やかさがナイス。鶏肉は胸肉だったか、コンフィっぽい仕上げ方で、つけだれの底からサルべージすると、タレを適度に染み込まされており、これが中々旨いのです。普通に入ってたら「酒を欲する」と強く思わせる仕上がりがいいね。
また感心するのは「メンマ」です。醤油系のタレんに付け込まれた感がとても低くて「白メンマ」と呼びたいくらい。素材の味わいがダイレクトに響きますし、繊維質が細かい上に、デカい材木タイプです。これだけでも冷酒が美味しく楽しめそうですし、この一杯は本当に隅から隅まで隙がない。
<フコイダンと山葵が効いて So Good ! >
スープ割は、麺が浸ってた昆布水を注ぎます。これがこれで旨すぎる・・・・。冷めた温度感覚だからこそ、昆布水の旨みがしっかりと伝わりますし、鶏系のエキスとの融合が楽しめる。その上、フコイダンの揺らめきがこれまた完成度を高める・・・・。いやーーー最後の最後まで旨かった!!!
総じまして、「飯田商店完コピ以上の満足度!」と言うそのまま何のひねりもない感想でごめんちゃい。オマージュだけでも上等な仕上がりな上に、ちょっとづつ独自性も含まれていて、「入魂」っていう心意気も感じましたぜ。こりゃすぐにでも再訪したい!のだが・・・・東京在住の身ゆえ、宣伝だけはさせていただきますー。次回は、唐揚げもセットでいただきます!そしてハートランドビールもね!ク――――――堪らん!想像するだけで。てなことで、冒頭いろんなことがあったことをすっかり忘れて上機嫌なままで詠いますー。
北山の
青葉眩しき
清かかな
山紫水明
醤油のつけそば
お粗末!と言うことで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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