ラーメン食べて詠います

ご訪問いただきありがとうございます。仕事の合間や、休日余暇を利用してラーメン探訪をつづけております。ラーメン食べて感じる、小さな喜びやストレス解放を、最後に詠って締めくくりますー。

【今週のラーメン1622】 中華蕎麦 きみの (東京・飯田橋) 塩・大盛り


 まだまだ蒸し暑さが残る平日の夜にちょこっと飯田橋で途中下車。お茶の水からこのエリアまでの一体が、何となく好きです。本来はもう少しこの近辺のお店レビューが多くても良いのですが、行きやすいとついつい後回しになってしまっております。なぜここに来たのかと言えば、夏バテが蓄積しているのか、コッテリ系なスープには最近意欲がわかないことがその理由の一端。ついつい食べやすいものをということで、昼間は冷たいものばかり食っているのがいけないかも。なので温かくてしんみりくる一杯・・・ということで、何となく思いついたのが、こちら「中華蕎麦 きみの」さんでありました。前回訪問時の印象が極めて良かったしね・・・。


  







 神楽坂を昇る前の角を右に曲がると、そこはすでにいい感じの路地裏が広がります。ぼんやりと電光看板が重なり合っていて、そこをもう一つ右に曲がると、明るく迎えてくれそうな店が浮かび上がる。白い暖簾と白木っぽい作りが清潔感を与えて感じがいいです。店に入ると先客が1名でお若い女性の方。店の清潔感と誠実さに、妙にマッチした先客さんでありました。この先客さんに負けず劣らず、ご店主夫婦もとても感じが良くて、とにかく座っていても落ち着くといったところも好きです。さて、ここで一丁・・・一杯アルコールを胃に流しておくか・・・・と思う。しかしこの後、家に仕事を持ち帰る予定だったので止めときましたよ(とほほ)。この店は、軽く一杯だけでも利用したい気もいたします。では、いよいよ麺に集中するかと、気持ちを切り替えます。


  











【スープ:まさに「淡麗」という言葉が浮かぶ!まさに「オトナ」の塩ダレスープ】


ナチュラルで淡麗感覚極まる塩ダレの風合い!オヤジ殺しの染み入る優しさ>


 それにしても、今年の新店の中でもこの店は個人的にツボにハマっております。なので、もっと来ても良かったのだけど、浮気な心が頭をもたげて久しぶりに食ったという運びならが、やはり旨し!ということで啜った間なしから唸る次第です。この淡麗さの透き通った見栄えと味わい。そして、汁自体にホスピタリティすら感じ入る優しい味わい。日頃仕事で疲弊しているオヤジの胃袋には、やさしさすら感じ入る。まさに、オヤジ殺しの優しさという感じで、罪ですらありますな。







 ひとえに「淡麗」。これを薄いと言うのも理解できるが、尺度の問題ですかね。この塩汁は実に良く出来ていますよ・・・。まず、感じる魚介が円やかで「旨味の上澄み」のようなキレがあります。昆布のようなじんわりさとも違う煮干の円やかさがありつつ、吸い物とかお出汁といった「椀物」の風合いを連想します。しかし、よくよく感覚をこらすと動物系の旨味もしっとりと煮出されており、そこに地鶏ならではの旨味から食べ応えを薄らと感じます。表面に浮かぶ鶏系の脂の輪もゆったりと漂う。


 塩の中華蕎麦でありつつも「塩」を意識させないのがアンチテーゼ。むしろ「旨味」を塩気と感じる程度で、それを構成するのは節系の味わいかと勝手に推察したりして、味空想の庭で遊ぶが如しでっせ・・・。もはや、こちらのご店主を見る目が変わるね。ラーメン屋の大将というより、日本料理職人という羨望の眼差しかと(・・・・私、店の関係者でもわましものでもありませんのであしからず)。さて、説明書きによりますと、塩も幾種類が配合されておるとのこと。旨味が塩気と感じた私でしたが、真実は、塩気が旨味と化していたようです。まだまだ、ラヲタとして、「塩」を感じ取れないとは「甘い」ね〜、私も。










<すだちで補強してもなお淡麗バランスは崩れず>


 それでも、いくら淡麗好きとは言え、和食のコース料理ででてくる分量以上の汁気を味わうと、他に味の変化も試したくなるものです。おもむろに、薬味ボックスを開けてみると、色合いが違った七味が順列良く並べられております。一番右端は塩だったっけな。でも、私はそのすぐそばに配置されていた「すだち汁」を投入してみました。前回訪問時に、女将サンがとても勧めておられましたし、味の変化も好きだったし。







 レンゲに四分の一弱程度を汁に投入・・・・、微妙に華やぐ酸味の補強ですが、汁に溶かし込むとやや清涼感が漂うといった感覚。うん!塩淡麗と柑橘系のバランスは、これが基本かなとつくづく感じるバランス感です。はっきりと酸味を感じない程度が、清涼感の儚さを演出できていて一番旨い味わい。やはり、ベースの塩気バランスを崩してはなりませんな。












【麺:色白で素朴で「風情を感じさせる」見栄え!蕎麦の風合いを感じますね】


<粉の品の良さがはんなりと香るりつつ、クツクツとした歯応え嬉し>


 やや角ばった麺で、基本的にはストレート麺。粉の素性と練り水の低さからか、とってもナチュラルな色白さが印象的な麺です。微妙に捩れているフォルムがまた素朴さと映って品が高まる。加水は割と低めですが、低加水というほどでもない一方、グルテンの感覚がカスっとしていて密度感がそんなに高くない。茹で上げのタイミングに気を使うだろうと言う感じで、前歯での千切り感覚が、クツクツとする。蕎麦という感覚が少し脳裏をよぎったりします。


 奥歯で、束になったそれをプレスしすり潰しにかかると・・・はんなりと粉の風味を感じるところがまた旨し。スープ感とよく調和が取れていると感じるポイントですね。そこにところどころ、薬味葱のフレッシュ感が入り交じると、麺の風合いが格段に上がります。ツユも淡麗なら、麺の風味も淡麗系ではなやか。ますます私を嬉しがらせる麺です。









<「和蕎麦」に近い感覚で、つーーーーっと啜りあげる楽しさよ>

 
 啜りの感覚は、誤解を与えるかもしれませんが更級蕎麦っぽい、細かいザラツキを感じさせるようなフィーリング。何と言うか・・・啜り上げる擬音語を探すと「つーーーーーっ」とした感覚と申せましょうか・・・・、ボキャブラリーに限界を感じます。このあたりが、ラーメンというより、中華蕎麦と言わんとするということろかと・・・・。イワンのバカ〜!


  











【具:う!豚肉の一番旨いところを心得ておりますがな・・・・】


<豚のコラーゲンを何気にキープ!外皮を残した本格チャーシュー>


 塩の一杯の中で、唯一醤油感を感じるのがこの肉。すこし濃いめの醤油ダレを程よく染み込ませて、強めの炙りか・・・醤油の香ばしさがたちます。この香ばしさは飯に絶対に合う!しかも、秀逸と思えるのは脂身の処理。当たっているかは微妙ですが、豚肉の皮を極力削がずに調理していると思えてなりません。皮膚のすぐ下にある脂身が最高に旨い脂身!この部分をしっかりと残していて、アピールする品です。一方で肉質の部分も解れるほどに柔らかく、筋繊維が裂けるがごとく解れるさまが、歯応えとしては泣かせる旨さ・・・・。もはや、私は信者と化しているのかもしれません。









<アピール感少ないところが、とっても「箸休め」として機能するメンマ>


 正直申して、極淡麗の一杯の中で、あちこち味わっていては、旨いと興奮しつづけるのはしんどいのです(苦笑)。そんな時に、このメンマはとても気楽に食えて良かったかもしれません。特筆するポイントが少ないけれど、質が低いわけではない。歯応え柔らか系のクニャリとしたタイプでして、味付けもオーディナリー。箸休めとか中継ぎピッチャーとしては、十二分な働きをしてくれております。












 総じまして、「オトナの淡麗塩蕎麦」。私の中では、着実に応援したい店であり、その一杯であります。他に醤油とか、冷しとかもあり、それだけ好きならいろいろ食えよと言われると思いますが、「これ食ってりゃ満足」という感覚。同じものを食い続けたいと思わせるオーラを感じますな・・・・。


 それにしても、個人的な環境変化で、仕事上で東京を離れるのはツラいな・・・・。例えば、きっとこの店には足が遠のいてしまうしだろうしね。ゆるせよ、また必ず食いにくるからと心に誓いながら、また来た道を引き返すのであります。嗚呼、来た道すがらよりも、足取りが重いぜ・・・。そう言えば、感じの良さそうな女性の先客より、随分早く先に店から出たけれど、私の食う早さももう少し考えないといけないかな。次回はもう少しゆったりと味わいたい。また来ることを心に浮かべながら、なので詠います!




   肩で切る
   暑い空気と
   人混みを



   進んで目指すは
   大人の塩ダレ




 お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!



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