ソニーのPC事業について・・・・売却報道がされましたが、事業継続としての大きな柱への成長が期待されたビジネスが、売却という憂き目に遭うというのは、実に忍びない。かつて青臭いころ・・・・ソニーのラジカセで青春を謳歌して、大学生になってWALKMANで難聴が懸念されるほどに音楽に泥酔し、社会人になってPlayStationや、VAIOに慣れ親しんだソニー信者だった私として、とっても切ないものを感じる。
「ラジカセ」は、私にとって青春そのもの。FM放送のチェックをかかさず、カセットテープに小遣いを投資して、POPミュージックを録音することに命をかけてたあのころ(笑)。右手の人差し指と、薬指で録音ボタンと再生ボタンを同時に押す録音の瞬間。指がつった。 WALKMANは、「2」から虜になった。今にして思えば・・・実にしょぼいヘッドホンと電池の持ち時間。ただ「ステレオ・サウンド」と「ドルビー搭載」というだけで、ありがたくその音に酔いしれていてたわ・・・。 PlayStaion は、「パラッパラッパー」というゲームソフトを試しに大型電気店でやってみて、その瞬間にはまった。今では、BGMのCDまでネットオークションで手に入れて、時々通勤のBGMとして聴いている。
そして・・・・・VAIOは・・・・WINDOWSファミリーの中で、「COOL JAPAN」PCとしてこよなく愛していた。一時期、Let’s note に浮気していたこともあったけど(笑)。とにかく、VAIO には愛着があった。すごく寂しい・・・・・。責任者はだれか・・・・。
などと考えながら、実は銀座のApple store なんかい居たりする私。実は薄情なのかもしれない。
Androidがシェアではどうのこうのと言われていても、やはりAppleの製品ラインアップには、整然さがあり魂を感じる。かつて、SONY製品に興奮を覚えたときのような、何かがここにはある。家電や情報機器には、頑固さが必要だ。時に、顧客がどうのこうの言おうと、「こういうものだ」という主張がないと次第に陳腐になっていくものなのかもしれないね・・・。
そんな気分で銀座を早めの帰宅を許された夜は、新しい店を開拓せんと闊歩するのです。狙うは「むぎとオリーブ」。はて・・・・この名称、どこぞのイタリアンの店と同じだが、関連性があるのかないのか。場所も割と分かりやすく「じゃんがら」の並びとある。ともあれ、最初は一番ユニークな一杯「蛤SOBA」で攻めてみたかった! 幡ヶ谷の名店とも比較してみたかったし・・・。そんな軽い気分で味わってみたものの、最初のひとくちでどえらい感動を覚えてしまった次第だが・・・・、今回も思わず心の中で叫んでしもうた・・・・・・。
うわーーーーーー!めさ・・・・・めさめさめさ!旨いやんけ!さすが銀座でんがな!!悔しいけど・・・北新地、祇園、先斗町では食えないと思うわな・・・。心酔するほどに、うまいがな!!!
【スープ:貝の滋味が・・・・・醤油タレと鶏コクという個性を突き抜けて・・・崇高なまでに高めます!】
<これは参った!貝の深い滋味溢れ、明るく円やかな醤油が映える!>
これは、スープを啜る前から「イケるやつ!」と直感します。醤油スープの色合いを確かめようと白いレンゲでひとさじすくいあげると、すぐさまアピールをしてくる積極性を感じます。
まず、基本の醤油ブラウンの透明感。もやは琥珀の色合いかと思えるほどに、透き通ったなかに醤油のじっとりとした感覚もあり、きらきらとしたところがあります。そして次に、表面を覆う大小のきらめきの輪っか・・・・鶏のエキス感!これだけでもはやボーダー越えの質実さを感じますし、さすが銀座の一杯!と思える高級感も漂います。そして最後に・・・・貝類の出汁を感じる少しかげりを感じるエキス感・・・・そこには、仄かな深緑色の心象を受けますな・・・。
写真では分かり難いのですが、実際は、少し明るいだけでなく陰りの部分もありまして、それが貝類の滋味を感じさせるところです。醤油は、わりとキッパリとした醸造感でほんのり甘味を残す後味。崇高なまでにまろやかに感じる醤油ダレ。このまま醤油でノックアウトしても良かったのだが、あとからジワジワとくる・・・・貝の味わい。醤油を突き抜けて「確かに貝!はまぐり!!」と感じさせる風味が絶品です。尖ったところがどこにもない、つやつやなスープ感。仕上がりが全体的に明るくて、ナイスとしか言いようがありません。
<円やかなながらしっかりとした旨味溢れる鶏のエキス感がたまらん!>
さらに忘れてはいけないのは「鶏エキス」の豊かさ!丸鶏のごとくのゆったりとした鶏スープでありまして、それでいて時折濃厚さとも思えるしっかりとした旨みがある。分厚い鶏のコク。されどジャンキーな部分はこれっぽっちもなく、崇高。なんというか・・・きっちりとしたレストランで食する正統派コンソメという感覚がいたしますね・・・。
濃いようであっさり、あっさりのようで濃い・・・・・「濃ゆい」という表現が適切かは不明ですが、ゴクゴクと飲み干してしまうと勿体ないと思える質実さを感じる。それも鮮やかに感じる・・・・・といったところか。もうスープを味わっているだけで、メロメロでありますな・・・。
<エシャロットオリーブオイルの華やかさも捨てがたい>
店員さんが是非とおっしゃるので素直に従うか迷った。テーブルセットにある「エシャロットオリーブオイル」を足すと味が変って楽しめるとのこと。いやはや、投入前のこの時点で完成型と思っていますから大変迷ったのですが、店名が「むぎとオリーブ」と言うからこれは試さずにはおれんなということで素直に投入。
なるほど・・・・実に洋風にまったり感が増しますし、オリーブ風味がとても面白い方向性で楽しめます。確かに旨し!日本と南欧の融合といった感じで、鶏コクと共謀して蛤や醤油の感覚をコーティングするような感覚です。エシャロットの酸味と爽やかさが風味のエッジングを研ぎすまします。しかし、これはもう一つの看板「鶏SOBA」ならもっとストレートに、エシャロットオリーブの個性が映えたなと感じたことも確か。日本人味覚と蛤味の間には、強い絆があるようで・・・むしろそっちのダイレクトさが好きだったために、「悪くない」という程度に感じた。しかし、普通に考えるとすごい薬味油であることには変わりないと思える。
【麺:強度のスーパースター麺!「棣鄂」に泣く・・・・、そこに転職してもいい!】
<さすが京都のカリスマ麺!くっしりとしつつもSOBAライクなニュアンス>
麺屋棣鄂。ラーメン好きな京都人として、全国に誇れる麺工房です。このブランドをここ東京・銀座で堂々と掲げられていることろに、なんだか郷土人としては胸が熱い。いや〜、実に今回も旨かった感じがする。「ふすま」が配合されていたりした風流麺がお得意と感じてて、そういうの系統を期待しがちなのだけど、きめ細かく押し潰し感たかめのクッシリ強度麺もなかなかいい感じであります。この界隈にある「伊藤系」とまではいかないのだけど、麺密度の高さはやはりいい!しかも、醤油スープに染まったようでそうでないような・・・やや褐色めいた地肌が、妙にそそるのであります。こういう色合いも麺屋棣鄂らしさを感じる次第。
歯応えがいい。前歯での切れ込みに、クシクシとかパツパツとまではいかない「クツクツ」っとした感覚があって感覚的に楽しい。そして、奥歯でのクシクシとしたハードなテンピュール感がたまらん。このあたりに、蕎麦ではなく「固い中華そば」たる由縁を感じる。Japanese SOBA!! It's so fantastic!! COOL JAPAN とはこのことか・・・・。
<汁の吸い込み少なく、固い地肌でスルスルときめ細かく滑る>
若干はしゃぎすぎと自認するが、やはりいい。やや固めな地肌感。ぬめりが一切無いようにも思える潔さのなかに、スルスル〜っとしたスベリ感覚が楽しい。きっぱりとしたのど越しがいい。汁を吸わないとは言わぬが、吸い込みの少なさがほどよいキッパリとしたしなりと化し、麺ラバーの心を捉えますな・・・・。
【具:手抜かりなしな具!とうレベルではないな・・・・・】
<しっとり低音鶏チャーシュー!それと豚もなんと上品な色気・・・これも低音調理の賜物>
具に手抜かりがないどころか、ストーリーを感じさせます。まず、豚の低温調理チャーシュー。この色合いだけ見て崇高さを感じさせられる。なかなかのサイズ間なのだけど、きちっと成型されているようにも感じる。そして繊維質がきめ細かいどころかシルキー。さらに適度に歯応えがあり凛々しい。塩味加減が絶妙で淡い。肉の旨みに「風合い」を感じるのはあまりないけど・・・これはロースハム以上にシルキーに感じる。肉の有難味を知る思い。
そして鶏肉のチャーシュー。どこの部位なのかは不明。なれど柔らかさがどことなく高級感を感じるのだが・・・・。ふわふわ感とパフパル感が共存するかのような歯ごたえ。そして味わいは淡泊でスープをまとって丁度旨さのMAXを感じる設計。この10年でラーメンにおけるチャーシューのレベルの高さってすごく上がったな・・・・としみじみ思う。
<長芋の素揚げがまた嬉しい>
ちょっとした工夫がとっても嬉しい。それがこの「長芋の素揚げ」。サクサクとしていて、どことなくホクホクとした感覚。何気なく普通にラーメントッピングとして配されている。しかも3つほど投入されていて、どれも中々のサイズ間。モスバーガーのポテトのサイズ以上にはありましたぜ! 素揚げの表面の舌触りも長芋の粘りを若干感じさせて嬉しい。これは、単体で食っても旨いはず。
<ざっくざくの蛤!量も質も満足>
さてさて・・・最後に、主役の蛤に触れておこう。こいつは、出汁の抜け殻感が前面にでる「しじみ」とは違い、プリプリ感覚があってちょいと嬉しい。貝合わせサイズの蛤が一つ二つあるより、こういう馴染みあるサイズの蛤がごろごろごろごろごろ・・・・・っとあった方が醍醐味があってよろしい! じゃぶりつくように身をかぶりつき、前歯でそぎ落とす。後は奥歯でやわ噛みして、嚥下の寸前でグニリと強くすり潰してごくり・・・・。エキスを十二分に楽しむ・・・・。
いくつ入っていただろうか?5つどころではなかったような。「蛤SOBA」と銘打っただけはあり!950円という価格帯もここ銀座でこの仕上がりなら気持ち良く払える。まさに「今夜はやられたわ」という気持ち良いノックダウンを感じた一杯。
総じまして、これからの私にとって「わざわざ銀座に足を向けさせる」一杯かもしれません。すでに油そばもラインナップされているということからも、モチベーションを上げさせます。ここは、しばらく在京のラーメンラバーが試食に訪れることでしょうが、「篝」とのかぶりがないだけに、銀座ではウケるかもなと思えます。
「篝」「朧月」「伊藤」「いし井」・・・ちょいと離れて「ひょっとこ」など、銀座も個人的には面白く思えてならない。「ちょっと銀座で一杯ひっかけて帰る」・・・・お酒でなくて、私は「ラーメン」のことであるが、今度知人の前でさらっと言ってのけてから帰ろうか(笑)。そうそう・・・まだ銀座で宿題もあった。「だんだん麺」・・・・。なので詠います!
疲れては
宵の銀座の
崇高な
SOBAを啜りて
ため息ひとつ
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!!今日も本当にごちそうさまでした!!!
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