雨・・・・・、いきなり強制的に取得させられたような休暇の朝。唐突に休んでも家族も都合とかありまして、ではどこかへ遊びに行きましょう!というわけにはいかないのよね・・・・学校もあるし、いろいろ約束事もあるそうな。なのでぶらぶらと昼飯を一人で探しまわるという、いかにも成長のない私の行動パターンです。今回は、こころのままに「何を食いたい!?」と自問して導き出したのが、「めん屋平右衛門」の「生醤油スーパースター」という一品。以前食って、その円やかでスッキリとした醤油が印象的であったのです。場所は、中央線東小金井駅。ここは、「宝華」という名店中華と、超新星のように現れた「くじら食堂」がひしめき合う構図でして、ちょっと熱いことになっとります。ちょっと応援気分もありまして、平右衛門さんへと歩を進めました。
それにしても、この1ヶ月はまさに「じ○く」でありましたわ。いろいろなプレッシャーや、○ラス○ントなどありつつも、チームワークでよく乗り切ったものだと思いますよ。ただ、達成感が薄いっつーのがいかんのですが。いろいろあったことを走馬灯のごとく思い出しながら、カウンターに座ってたたずむ自分が、どこか異邦人のように思えて自らを笑います。
・・・などと考えつつも、やはりこお店の雰囲気がいい。明るいご店主と、そこそこな客入りという、暑苦しくも寂しくもないほど良い人の気配感がいい。何の緊張も覚えない空間とはこのことで、ここで崇高な一杯など食えるとなれば、それはもはやオアシスそのものでありましょう。そんなオアシスな一杯は、まさに円やかな醤油味でありまして・・・オヤジの心をまたしても鷲掴みして離さないのでありました。
【スープ:生醤油の柔らかさ!それをベースに節系の味わいが広がる豊かさ!】
<確かに柔らかなカエシのエッジングだね・・・生醤油!>
いやはや、重圧からやや解放された身としては、こういう麺顔を望んでしまうものですよ。ハンドメイド感ある優しさの中に、どこか凛とした整然な雰囲気を醸し出す麺顔は、お疲れさま・・・などと私に語りかけて来るようにも感じてしまう。人並みに、普通の時間に普通の場所で、自分の好きな物を食べるという幸せを感じる瞬間ですな・・・。
醤油スープは以前もチェック済ですが、無になってもう一度味わいますと、なるほどこれは「生」醤油を豪語するだけあって、非常に円やかとしか言いようが無いカエシのエッジングです。カエシすら甘みと感じる発酵系の滑らかな塩気。それがパンチを一切感じさせずすーっと味蕾ひとつひとつに染み入るように広がるではありませんか・・・。しかも、そこそこの塩気を忘れずにいるのが嬉しい。大体、色合いもいい。まさしく醤油ブラウンと命名したくなるその見慣れた茶色は、何度見ても飽きがこない。
主体的には、このスープは魚介がメインだなと思うその風合い。しかし、妙に食欲がそそられるのは、魚介以外の何かアクセルを感じますが・・・・これは香味油の仕業か?? 鶏ガラ系のあっさり油だと思うのだけど、それだけでなくどこか魚介以外の香ばしさを微かに感じる。玉ねぎのエキスでもなし、擂り下ろしニンニクのようなシャープな切れ味でもなし。ガーリックオイルのようにも感じるのだが、それはあまりにも洋風なもの。この全体的な和風の味わいとはかけ離れていると感じ・・・・、いやいや少し足を運ばなくなったうちに、レベルアップしたようにも思えてならない。
などと考えていたら、そういった一切含めて、生醤油というプラットフォームに、いろいろな味わいそれぞれが実に伸びやかなのかが分かるような気もしますな。生醤油というOSがしっかりとしているが故に、いろいろな味わいというアプリケーションが非常に個性的でありつつも一体感があります。個性的なアプリとは・・・・私としては「節まわし」だと感じています。
<実は複雑に節系を駆使しているのかも?そこが華やかな味の奥ゆき!>
奥行きと華やかさを今回は妙に感じますのは、やはり久しぶりの御対麺からか・・・。イワシ系の出汁の甘みある豊かさもベースに感じながらも、そこに節の風味をぶわっと感じます。いつもの馴染みある節まわしもありますが、二重にも感じる広がりは別の個性的な節も使われているのかと勝手な推測が頭をよぎります。例えば、サバ節とかアゴ出汁とか少ない知識から思い出されますが・・・真偽は不明。でもこのイキイキとした節まわしが、実に楽しい一杯!
節に思いを寄せていると・・・だんだんとチャーシューの色合いが変わってくる。熱を帯びて肉の旨味も汁にだんだんと溶け出していくよう。じょじょに濁りが増してゆき、じっとりとした旨味に厚みが加わる。麺の風合いもスープに移る。脂身部分が甘く足されていき、前半の華やかさをキープしながらも、旨味に奥行きが増すという感覚です。白髪葱すら熱で後半にはさっぱりエキスを放出といった感覚でして、淡麗醤油の粋が極まれリといったスープ感。個人的には大変すきなタイプです。
【麺:ほどよくキッパリとした固さがナイス!食べ応えもある細麺ストレート!】
<誠に気持ちのよいストレート感とちょいカタメな歯ごたえ感がナイス!>
大盛り(210g)はサービスとのこと。これは嬉しい!安っぽい麺なら何とも思わないけど、この品質感ならかなりお得と思えます。是非、大盛りで存分に堪能していただきたいです。基本的には中加水という感覚で、麺全体に密度感を感じさせるところもあります。いわゆるクッシリとした感覚を得意とする感じですが、見たところ芯とかアルデンテ感を推して来るほどでもありません。茹で上げタイミングの絶妙さを感じさせますな・・・。
全体的にはキッパリとしたストレートなフォルムも見ていて気持ちよく、歯ごたえと相通じるものもあります。キッパリとした前歯での切れ味が印象的ですし、麺の潰し込みの更に上をいく咀嚼力でブチブチと千切るところが、まさしく快感!といったところ。奥歯でのクシリとしたすり潰しのあと、粉の風合いもふぉわっと感じまして余韻がとても良い印象であります。
<後半に汁を吸い込み・・・しなやかになった部分もまた楽しい二面性>
意外にも汁の吸い込みが早いと感じました。半ばまではキッパリとした歯ごたえが持続しますが、後半三分の二を過ぎたあたりから、しなやかな感覚が徐々に増えてきます。ただ、だらしなくなったというようなしなやかさではなく、ちゅるりん!とした別の良い顔を覗かせるといった変化の仕方か・・・・。このあたりから、出汁と麺との一体感を強く感じます。具の旨味も適度に溶け込んでいますし、ちょっぴりご飯的な感覚もでてくるかもと・・・。
もともと、細麺できめ細やかさも持ち合わせているため、スベリもとてもよく、のど越しにいたってもややハードなキャラクターが良い方向に印象を与えます。小腹が減ったから、ちょっと麺をツルツルーっとすすりたい!という蕎麦感覚でも通じるところあるような粋なキッパリさを個人的には感じています。
【具:どれも手抜かりなし・・・上質なレアチャーシューに魅了!】
<すっかりと上質が板についた感がある、ちょいレアなロース肉の存在感>
もはや、珍しくもなくなったレアなピンク色したチャーシュー。調理法の進歩と普及が加速したと思えるこの10年来のスピード感を覚えます。もともと淡麗で崇高な味わいを目指した汁ですから・・・・それをベースにしたチャーシューの漬け込みは、まさしく一品料理級レベルかもと(大げさか:笑)。旨くないわけがないのです。大きさ、肉厚さ、色合い、味の淡麗さ・・・など、まさしく個人的には好みでありまして、「オールスター」をチョイスしたことに安堵感を覚えます。脂身の多い部位や、赤身をしっかりと味わう部位など、構成としても飽きない。洋わさびをつけて・・・・じっくり味わってみても美味しいだろうな・・・。
<あっさり醤油ダレ仕立てで卵本来の味重視って感覚>
あっさり醤油ダレなためか・・・それほど深い漬け込み度を感じませんが、そのタレの薄味がとても全体的には貢献していると思えるのです。それは、黄身自体の甘みが前にでてきたかと思える味わい。卵本来の味わいがメインという感覚を覚えます。タレの漬け込みにより、その深さにより、味噌漬けぽいような濃厚な味わいもいい。されど、こういった浅漬けっぽい味玉もまた、卵の味わいをストレートに出して来るようで、贔屓目なしに旨そうに思える。浅漬けってのは表現に誤解を与えるかも。比較的薄めの味わいをじっくり時間をかけて漬け込んだ?というような感覚かと。ま、駄舌の私が言うことなので正確でないところは、ご容赦いただき度。
総じまして、久しぶりにゆったりとした気分で食う、ゆったりとした生醤油の風合い。時間がゆっくりと進むなか、ただボーっとしては、麺を啜っておりました。まさに放心状態をやさしく包んでくれたお店でありまして、非常に感謝!それにしても、ここで気を抜きすぎると、これまた後から手痛いしっぺカエシを受けること必定なので、ある程度気を引き締めていかねばなりませんな。休みのウチは、いろいろ仕事への弾込めとか、教養を深めるとかしていかないと・・・つまらない結果になりそうで怖い。なので詠います!
気が抜けて
とぼとぼ辿る
麺求め
優しさ感じる
生醤油染み入る
お粗末!ということで家族にも感謝しながら合掌!今日も本当にごちそうさまでした!
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